2025/12/03 (水) 12:00 6
12月4〜7日に佐世保競輪場で「開設75周年記念 九十九島賞争奪戦(GIII)」が開催される。2025年のKEIRINグランプリへの戦いが「競輪祭(GI)」で終わったわけだが、常に競輪は進んでいく。かつて山口富生(55歳・岐阜=68期)は「競輪祭が終わって、12月は来年への時間」と、迫りくる再びのグランプリ出場争いへと、気持ちを切らすことがなかった。
荒井崇博(47歳・長崎=82期)と松本貴治(32歳・愛媛=111期)。競輪祭決勝でラインを組み、松本が駆けて、荒井は「優勝だ…」と思われた、その瞬間を阿部拓真(35歳・宮城=107期)にさらわれての準優勝だった。勝てないのか…。47歳にして、ついに…の時は訪れなかったが、この地元戦は常に優勝あるのみだ。
そして松本…。グランプリ出場の賞金ボーダーの中、その5走は感銘を受けるものだった。普段なら好プレーコーナーでどれかのレースをピックアップするものだが、今回はその枠を超えていて、とにかくこのコラムで「松本の戦いの素晴らしさ」に心が震えたと記したい。
この戦いを続け、「松本が松本であるために」ーー。GI優勝しか、目指すものはない。佐世保でも変わらない走りを見せることが、そこにつながる。特に来年8月は地元松山でのオールスターが待っている。
山崎賢人(32歳・長崎=111期)は競輪祭が、6月岸和田「高松宮記念杯競輪(GI)」2日目の誘導妨害によるあっせん停止からの復帰戦だった。なんともすべてがかみ合わず、期待に応える走りができなかった。目もうつろだった。
ただ「次にすぐ佐世保記念があるので」と奥歯をかんでいた。今回の佐世保記念はケントにとって非常に大事だ。競輪祭からの巻き返しは無論、これからもある。
「(嘉永)泰斗がGIを優勝して九州に波が来ている。本来ならケントがそこに一緒にいて、だから。佐世保記念を逃げ切って優勝するくらいの走りを見せれば、来年は泰斗にケントが絡み合って、もっといい流れを作れるから」
こう話すと、ケントの目がキラリと光った。本来なら押しも押されもしない九州のエースであっていい男だ。来年に向かう走りを見せてほしい。
今回は注目選手が多く、何よりも新山響平(32歳・広島=98期)、清水裕友(31歳・山口=105期)、犬伏湧也(30歳・徳島=119期)と松浦悠士(35歳・広島=98期)もいる。新山と清水はS班を来年は明け渡し、今年の繰り上がりだった犬伏と松浦も来年は1班に戻る。
再出発に向けて。喜びを他の誰かと分かりあう、それだけがこの世の中を熱くする。新山と清水の終盤の戦いに向けて送られた声援に対し、これからまた応え、ファンと喜びをともに…。それだけしかない。痛快な走りでブギーバックだ。
犬伏は課題を埋めるしかない。松浦はケガさえなければ…だろう。ケガといえば佐藤慎太郎(49歳・福島=78期)も…。一昨年の競輪祭で落車し、復帰したのがこの佐世保記念。翌年はS班陥落の戦いで、1月に骨盤骨折の重傷からのスタートとなってしまった。
しかし負けない。「限界?気のせいだよ!」の言葉は、これからより深い世界に入っていく。より重みを帯びていく。佐世保から始まるまた新たな戦いがある。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。
