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鈴木誠のハイブリッド展望

【中野カップレース】初日の特選と同じように先行する新山を、後方から脇本が捲れるか?双方のラインの番手となった新田、東口にも勝機あり!

2023/06/27 (火) 12:00 12

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は久留米競輪場で開催されている中野カップレースの決勝レース展望です。

シューズの深さや角度で走りも変わってくる!8レースに出てくる吉田選手の走りにも注目!

 開催初日に行われた特選の三連単の配当が98,450円と、高配当が続出している【中野カップレース】ですが、その特選で素晴らしい捲りを見せてくれたのが、72周年大会の優勝者となった吉田選手でした。

 久留米競輪場は平均的な400バンクで、先行、逃げ、追込とどの戦法でも決まりやすいという特徴があるのですが、それが吉田選手の脚質に合っているのかもしれません。

 また、吉田選手は今大会から、同期の新山選手のアドバイスを受けて、シューズを変えたとのコメントが出ていました。

 シューズはフィット感だけでなく、裏には桟(サン)と呼ばれる、ペダルのプレートにはめ込むスパイクのような部分もあるのですが、踏み込む位置を浅くするのか深くするのかだけでなく、角度によっても走りに違いが出てきます。

 スパイクの素材もプラスティックからカーボンまで色々な種類があり、また流行りもあったりするので、現役だった頃には、どんなスパイクを使っているのかを確かめるために、他の選手のシューズを見せてもらっていました。

 吉田選手は準決勝で早めに動かされるレースとなり、決勝進出とはなりませんでした。ただシューズを変えて、走りも変えたことがいい方向に出ていると思えるだけに、最終日の8レースは実力通りの走りを見せてくれるはずです。

 決勝メンバーは北日本ラインが4名(新山選手-新田選手-成田選手-渡部選手)、近畿ラインが2名(脇本選手-東口選手)。そして、坂井選手の後ろには、地元の坂本選手、津村選手が付ける混成ラインとなりました。

 初日の特選もそうでしたが、この決勝でも新山選手が逃げて、中段の坂井選手が捲り。そして、前受けをしてから後方に下げた脇本選手が、その上から更に捲っていけるかといった流れになります。

 特選こそ先に捲っていった吉田選手を、捉え切れなかった脇本選手ではありますが、二次予選では10秒8、準決勝では10秒6の捲りを繰り出して勝利。決して万全の状態にあるとは言えませんが、それでもスピードの違いは明らかです。

 ただ、脇本選手の捲りを不発に終わらせる走りができるのが、北日本ラインの先頭を任された新山選手です。

 高松宮記念杯競輪の決勝では前を切りに行くのを躊躇したことで、脇本選手の突っ張り先行を許す形となりました。その失敗があったからこそ、初日の特選では早めに仕掛けていったのでしょうし、この決勝でも4車の利を生かして、脇本選手を後方に下げてから、その差を広げていくはずです。

 こうなれば番手となった新田選手、そして成田選手に勝機が生まれてきます。ただ、先行した北日本ラインが少しでも流してしまうようだと、後方に控えている脇本選手が一気にカマシていきます。

 その際は近畿ラインでのワンツーだけでなく、3番手となった新山選手と、今大会では調子の良さが目立つ、東口選手との裏表での三連単という波乱の目も出てきます。

 特選でいうところの吉田選手的なポジションとなった坂井選手ですが、いい頃のスピードまでには戻っていない印象を受けます。ただ、地元の2人が後ろに付けてくれただけに、意地を見せてもらいたいです。

 今大会以降も脇本選手と、新山選手の戦いは続いていくことになります。勿論、双方にどんなラインができているかにもよりますが、その都度の駆け引きや、前回はどんな結果だったを踏まえて、互いがその時の反省を払拭するようなレースを見せてくれるのは間違いなさそうです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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