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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

別線は“即決”で!脇本のすべてを知り尽くした古性の作戦は…/ヤマコウ展望

2023/05/28 (日) 12:00 32

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 富山競輪場で行われている全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪、スーパープロピストレーサー賞(以下SPR賞)のメンバーが出揃いました。

 メンバー、ライン構成は以下の通りです。

①脇本雄太(福井・94期)ー⑥山田久徳(京都・93期)
②松浦悠士(広島・98期)
③新山響平(青森・107期)ー⑨新田祐大(福島・90期)
⑤浅井康太(三重・90期)
⑦古性優作(大阪・100期)ー④稲川翔(大阪・90期)ー⑧東口善朋(和歌山・85期)

 SPR賞は①脇本と⑦古性が別れて走ることになりました。脇本ー古性のラインは定番で、前後が変わることがあっても別線で走るのは、2016年岸和田記念以来です。この時は、先行する原田研太朗の3番手からまくり追い込んで古性が2着、脇本は8番手まくりが不発で9着という結果でした。決勝は脇本の番手を回り優勝しています。

 古性は、2018年のいわき平オールスター競輪の決勝で脇本に離れ、私生活から練習方法まで見直してタイトルを獲った経緯があります。古性にとっては思い入れがあるラインですね。

 近畿5人が勝ち上がったとはいえ、簡単に「別で」と決められることではないです。しかし、古性は即決で「別線で走ります」とコメントしました。これには記者さん達も「え?」と言う感じに包まれました。ある記者さんが「悩んだのですか?」と聞くと「一瞬で決めました」と淡々と答えました。そこに古性の勝負師としての覚悟を感じたのです。古性に「脇本の長所も短所も知り尽くした古性が打つ手は何?」と私が聞くと「脇本さんより前にいることですね」と至極当然の答えでした。

 ③新山の後ろを回る⑨新田は「常に前を回ることしか考えていないですが新山くんが『前で走りたい』と言うので尊重しました」とジョークを交えて話しました。一方で③新山は「前を走るので自分がやれることをしっかりやって‥」と言っている時に、横から和田圭(宮城・92期)が「声が小さい!」とガヤを入れられ、「自分がやれることをしっかりやります!」と大きな声で笑いを取りました。普段の開催と違い、こんなところにもリラックスムードを感じます。

 レースは、「調子は悪くないけど先頭に出てから流しすぎたのが反省点」(清水裕友がホームで仕掛けて隊列が短くなった所を脇本が外を捲る)と言う③新山が先行勝負するでしょう。あえて別線を選んだ⑦古性は、②松浦までは入れて4番手から先捲りで①脇本と勝負すると考えました。

S.①⑥ ② ③⑨ ⑦④⑧ ⑤

2.③⑨ ②
    ⑦④⑧ ⑤ ①⑥

       ←①⑥
H.③⑨ ② ⑦④⑧ ⑤

       ←①⑥
     ←⑦④⑧
B.③⑨ ② ⑤

・狙い目
7ー4ー892
7=9ー245

 ⑦古性の捲りに併せて⑨新田が前に踏む展開になると④稲川が内に突っ込んで、
9ー4ー285
も考えました。

 全プロ競輪は、この次に控える高松宮記念杯競輪の前哨戦の意味合いもあります。この大会で精神的優位に立てる選手は誰なのか、興味は尽きません。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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