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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【施設整備等協賛京都向日町カップ予想】なぜ“自在のような自力”が現れるのか?佐々木眞也を例に解説/ヤマコウ展望

2023/06/11 (日) 12:00 33

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 施設整備等協賛京都向日町カップGIII決勝メンバーが出揃いました。メンバー、ライン構成は以下の通りです。

①佐々木眞也(神奈川・117期)ー⑦佐藤龍二(神奈川・94期)ー⑥小島歩(神奈川・97期)
②朝倉智仁(茨城・115期)ー⑤黒沢征治(埼玉・113期)ー⑧志村太賀(山梨・90期)
③阿部将大(大分・117期)
⑨簗田一輝(静岡・107期)ー④二藤元太(静岡・95期)

 今節は、高松宮記念杯(岸和田競輪場)が直後に控えているので主力級の選手は出ていません。それでもGIII優勝には違いないので、このチャンスをモノにしたい気持ちの選手は多かったでしょうね。

 ①佐々木と③阿部が面白いコメントをしていました。佐々木は自力を出しながらも捌きもできて、今の競輪競走に合った走りが出来る選手です。その彼が「自在」と付けないのか? と聞かれた答えは「自分はまだ自力なので‥」でした。そして、③阿部将大は「僕はもう自在選手なので‥」と正反対のコメントをしていました。やっていることは同じように見えても、何が違うのでしょうか。

 ①佐々木は自力を出そうと思って走っているが、叩かれたから位置にこだわるレーススタイルですね。③阿部は狙った位置を取って自力を出したい。昨年高知GIIIを優勝してGIを経験し、これからの自分には位置取りも大切だと思ったのでしょう。自力と自在の優先順位が違います。

「捌くなら最初から『自在』とコメント出せ」と言う意見もありますが、優先順位が違うので一括りにできないと私は思います。例えば先行選手が3人先頭の3分戦なら1人しか先行できません。先行しなかった2人を叩くと今度は選手が「自力」と保険を掛けてコメントするようになり、そうするとさらに走り方が読めなくなります。「あー、この選手はこういう走りをするな」と頭の片隅において、コメントに振り回されないことが大切だと思います。その意味で①佐々木はストイックに自分を追い込んでいるとも言えます。頭の片隅に「佐々木は粘ることもする」と思ってレースを考えて下さい。

 関東の前を志願した②朝倉が先行意欲が強そうです。②朝倉は前から組み立てるのか、それとも後ろ攻めか。前受けなら、後ろから⑨簗田が一度抑えにくるので、突っ張れば簗田も無理しないと思います。関東勢が主導権を取れそうですね。後攻めだったら車番がいい①佐々木が中団で前が⑨簗田です。このパターンは⑤黒沢が狙われそうなので、関東勢は分断される可能性が高い。せっかく前を志願した②朝倉にとって得策ではないですね。関東勢前受けで考えます。

S.②⑤⑧ ①⑦⑥ ③ ⑨④

     ←⑨④
打鐘.←②⑤⑧ ①⑦⑥ ③

H.②⑤⑧ ①⑦⑥ ③ ⑨④

 GIII優勝のチャンスが到来した⑤黒沢が番手から発進。

         ←⑨④
B.←⑤⑧ ①⑦⑥ ③
    ②

・本線
5ー178ー13789

 関東勢が後ろ攻めだとしたら、⑤黒沢が絡まれる可能性が高くなります。

   ⑤⑧
H.② ①⑦⑥ ③
    ⑨④

 混戦になったら脚を溜めているのは③阿部ですね。②朝倉の番手を奪った①佐々木との踏み合いです。

・別線
3=1ー794

 GIに縁がない選手でも、3着まで入れば競輪祭の権利を獲ることが出来ます。少々格下の選手でもモチベーションは高く挑むでしょう。みなさんも、①佐々木と③阿部の戦法の違い等を読み取って、「自力」の中に潜んでいる「自在」の本音を探って下さいね。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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