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前田睦生の感情移入

【全プロ記念競輪】コロナ明け4年ぶりのお祭り、「このオジサン、どこにそんな体力あるの!?」

2023/05/26 (金) 12:00 41

くじ引きも見どころのひとつ

富山初の全プロ開催

 富山競輪場で27、28日に「2023年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪(FII)」が開催される。29日には4年ぶりに「第70回全日本プロ選手権自転車競技大会」も実施される。全プロ記念、全プロ競技大会、などと呼ばれるシリーズになる。

 全プロ記念の方は2日制で、初日優秀3個レースの上位3着選手が2日目の「スーパープロピストレーサー賞」に進出する。これを勝てば何、というものはないのだが、どうあれ壮絶なメンバーの争いになるので、勝った時の価値は高い。

 2日間だけだが、超ハイレベルな戦いを楽しめるものだ。かつては、競技大会の方に力を入れている選手が「落車はできない」という心理もどこかにある走りをしたりするのが車券の推理につながったものだが、近年はそうでもない。賞金も上がり、そもそも点数の高いシリーズなので、そこはガチだ。

お祭りの雰囲気

和気藹々の雰囲気もいい

 基本的に地区プロという全国各地区の自転車競技の予選を勝ち抜いた選手が出場し、その先にある「寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメン(GI)」の出場権、または理事長杯、特選シードを目指していく。このシードはデカいので、いつも熾烈だ。チームスプリントの優勝で特選から走れるとなれば、若手選手でも上位との戦いを経験できるわけだ。

 ケイリンは勝ち上がることに必死な選手と、シードを持っている選手の差があり、ちょっとした奇怪な現象が生まれることもある。昔、追い込み型のトップ選手である山口幸二さん(引退=62期)が先行する姿は、ここでしか見られなかった。いつだったか、100mくらいは先頭にいたと思う。

 競輪選手の多くは自転車競技も経験しているので、こうした大会を楽しみ、またどうしても負けず嫌いの思いで白熱する。それをみんなが楽しんでいる雰囲気がある。富山の温かい雰囲気と、熱心なファンの熱気が織り交ざり、29日も大いに面白い1日になりそうだ。

ベテラン競技者にも注目

小林潤二(左)と舛井幹雄

 近年は若手選手の勃興が激しく、競技大会の方でもうねりを起こしそうだ。しかし、長く競技の方でも活躍するベテランが大会をずっと盛り上げてきた。

 特にエリミネイション。今年も小林潤二(50歳・群馬=75期)と舛井幹雄(51歳・三重=71期)がエントリーしている。強地脚を武器に、またテクを駆使し若者を引きずり下ろしていく。「このオジサン、どこにそんな体力あるの!?」と驚かされる。

 時折、書いていることだが、やっぱりエリミネイションの車券発売はやってほしい。大きく競輪界が再前進への動きを見せようとしている今こそ、新たな試みとしてピッタリだと思う。毎周誰が脱落するかを見るもので、ある意味“悪趣味”なのだが、日本人はこういうの大好き。推理とスリルの両方を楽しめる究極の競技なのだ。

 橋本英也(29歳・岐阜=113期)が絶賛、悲願とする「エリミ競輪」の車券発売。この富山の戦いが、その引き金を引くことを期待したい。

萩原操(引退)も沸かせるレーサーだった


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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