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前田睦生の感情移入

【全日本トラック】世界に冠たる日本「目標は世界のランキングを揺るがすこと」

2023/05/20 (土) 12:00 19

ブノワ・ベトゥと脇本雄太

世界に冠たる日本

 5月12〜15日の4日間、伊豆ベロドロームで「2023全日本自転車競技選手権大会トラック」が開催された。“全日本トラック”と呼ばれ日本一を決める大会だ。優勝者には誇るべきチャンピオンジャージーも準備され、格調高いものがある。

 ネーションズカップのエジプト大会、男子ケイリンの決勝に日本人選手が3人勝ち上がった。中野慎詞(23歳・岩手=121期)が金メダルで太田海也(23歳・岡山=121期)が銅メダル、寺崎浩平(29歳・福井=117期)が4位という結果だった。ネーションズカップは各国がポイントの獲得を計算したり、状態面の調整もあったりで、必ずしもすべての国が全力というわけではない。

 とはいえ、日本の選手がこれだけ活躍している事実は世界を揺るがす。全日本トラックの最中に行われたコーチ陣の会見で短距離テクニカルディレクターのブノワ・ベトゥが「日本は有望なチーム。目標は世界のランキングを揺るがすこと」と語った言葉の重みがある。

 ナショナルチームの選手に会う機会は少ない。世界で活躍しても驚かないようにしているが、それでも、やっていることのすごさは重大なので、会うことができると感動する。

世界トップクラスの選手たち

久米詩の挑戦の意味

 女子は短距離では佐藤水菜(24歳・神奈川=114期)を筆頭に太田りゆ(28歳・埼玉=112期)、梅川風子(32歳・東京=112期)と世界で戦える選手がいる。中距離はもちろん梶原悠未(26歳・TeamYumi)がいて、この大会で3kmタイムトライアルの日本記録を更新した内野艶和(21歳・福岡=120期)も急成長中だ。大学生になったばかりの垣田真穂、池田瑞紀という超逸材の若手もいて、期待大だ。

 気になったのは久米詩(23歳・静岡=116期)の出場で、これはとても大事なことだと思う。選手にとっては過酷だが、ナショナルチーム内の競走こそ、強さにつながる。下から、後からの突き上げは現在活躍する選手に必要なもの。

 なかなか簡単に挑戦できるものではないが、久米のような形でナショナルチームとガールズケイリンの距離をつなげる選手がもっと増えてほしい。どちらも盛り上がることが、願いのすべてだ。

そして、125期…

森田一郎にも注目

 中石湊、山崎歩夢、阿部英斗の名前はすぐに広く世に出るだろう。日本競輪選手養成所に26日に125回生の選手候補生として入所する。しかしもう、高校時代からの実績がすごい。

 全日本トラックでも「Eighteen years old」というチーム名でチームスプリントを走るなどし、各種目でも沸かせた。阿部がケイリンで前にいた脇本雄太(34歳・福井=94期)の内をしゃくったときはドキドキした。早期卒業して、一気に活躍の場を…に期待したい。

 21歳の吉田有希(茨城=119期)ですら「どんどん新しい選手が出て来るんで」とダービー(日本選手権競輪)の時に危機感を口にしていた。この年齢でも、追いかけるだけでなく、追われている現実がある。これはしかし、素晴らしいこと。競技レベルの向上は常に求められる。

 自転車大国ニッポン。その時は目の前に迫っている。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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