アプリ限定 2023/03/16 (木) 18:00 42
今年2月の地元記念で完全優勝を果たすと、GI・全日本選抜競輪では3着。競輪界の頂点を極めた2018年以降、不調に陥っていた三谷竜生選手が復活ののろしを上げました。18日から開幕するウィナーズカップ前にインタビューを2回に渡ってお届けします。前編は競輪人生に影を落とした怪我と復活までの道のりをうかがいました。インタビュー後編はこちら
(取材・文=アオケイ・八角あすか)
ーー2018年以来5年ぶり2度目の優勝を飾った地元・奈良記念。レースを振り返り、ゴールした瞬間の気持ちを教えてください。
三谷 地元記念を優勝するつもりで臨みましたし、優勝できて嬉しかったです。ゴールした瞬間に気持ちがこみ上げてきましたね。
ーー近畿の結束力を示した4日間でしたね。
三谷 初日は自力で1着が取れて調子の良さを確認できました。その後の3日間は中西大君が先頭を走ってくれて、ラインで決めることができた。決勝は中西君ー山田(久徳)君ー僕ー栗山(俊介)君という並びになりましたけど、しっかりラインが機能して“競輪”ができたと思います。
ーー決勝での新田祐大選手との対決は見応えがありました。
三谷 準決勝で新田さんが凄いレースをしていたので、絶対に来るだろうなと。新田さんは来るべきところで仕掛けてきて、強さを感じました。ハイレベルな戦いだったと思います。
ーーゴール後にはガッツポーズが飛び出しました。どんな思いがありましたか?
三谷 やっぱり地元ですし、しっかりとガッツポーズをして嬉しい気持ちを表現できたらいいなと思っていました。
ーー優勝インタビューでは「グランプリを獲れるように頑張ります」とファンの前で宣言も。地元でのファンの声援はいかがでしたか?
三谷 お客さんが多くて、声援もすごく多かったので本当に嬉しかったです。グランプリは競輪選手である以上、目指さないといけないと思っています。
ーー奈良記念の後は、高知の全日本選抜競輪でした。3年ぶりのGI決勝の舞台、4日間を振り返ってどうですか?
三谷 初日の特別選抜予選(2着)は脇本君の後ろでスタールビー賞(4着)へ勝ち上がれたのは大きかったです。脇本君のスピードはいつもすごいし、絶対に行くだろうなという信頼感はあるので、あとはゴールで抜けるか抜けないかという感じですね。準決勝(3着)は組み立てを失敗してしまったけど、諦めずに走って何とか3着に届いたかなという感じでした。
決勝(3着)では脇本君と新田さんのやり合い、もしくはイン粘りになりそうだと思っていたので、しっかり対応できたと思います。4日間を通して調子自体は本当に良かったです。GIの決勝を走っているという緊張感がありましたし、その中で盛り上がりというのも感じられて楽しかったですね。
ーー競輪界の頂点を極めた2018年以降、グレード戦線のみならずFI戦で苦戦する時期が続きました。低迷の要因を三谷選手ご自身はどう捉えていますか?
三谷 左肩鎖関節を脱臼して、その怪我が長引いたことが大きかったですね。そこから調子がなかなか戻らなかったことは要因のひとつだと思います。
年度 | 勝利数 | 獲得賞金 |
---|---|---|
2022 | 28勝 | 4020万9千400円 |
2021 | 19勝 | 2452万9千円 |
2020 | 17勝 | 2376万8千円 |
2019 | 19勝 | 4848万4千円 |
2018 | 26勝 | 2億5531万3千円 |
ーー「左肩鎖関節脱臼」、いつ頃の怪我ですか?
三谷 いつだったかな、2019年の2月ぐらいだったかな…たしか別府の全日本選抜だったと思います。そこで落車し、脱臼してからずっと戻らなくて今でもまだ浮いたままです。
ーー怪我をしたことで走りにどういった影響があったのでしょうか?
三谷 脱臼した左肩が安定しないと言いますか、力を入れた時に痛みが出て気にはなりましたね。今は大丈夫ですけど、当時は普段の練習でも痛みを感じて大変でした。
ーー当時の診断はどういった結果だったのでしょうか?
三谷 怪我は長引くとは言われていたんですけど、そこから調子は全然上がらず、体の動き自体が悪かったです。もう今は痛みがないですし、気になることはあまりないですね。
ーーこれまでの怪我の中でも一番の大怪我ですか?
三谷 ろっ骨骨折とか腰椎横突起骨折はありますけど、肩鎖関節脱臼が僕の中では一番しんどかったかな。
ーー怪我の回復に伴って、昨年から全盛期にちかいような走りに見受けられます。やはり完治した影響が大きいですか?
三谷 完治して、しっかりと良い練習ができているのが大きいと思います。それが結果、成績に繋がってきているのかなと。
ーーモチベーションの維持するにあたって、どういった意識で日々を過ごしていましたか?
三谷 怪我をしても調子が悪くても、モチベーション自体は下がることはなかったですし、しっかり練習して状態を戻していこうと思っていました。
ーー練習への取り組みを変えたりすることはありましたか?
三谷 練習への取り組み方はそこまで大きく変えたことはないですけど、バンクに入ることは多くなったかもしれないですね。選手のスピード、レース全体のスピードが上がってきているので。
ーースピードが上がったというのは、9車立てから7車立てが主流になったことが影響しているのでしょうか?
三谷 7車立てはレースのスタイル自体が違うから何とも言えないんですけど、グレードレースになると残り2周からのタイムが上がってきているので、そこは以前と比べて変わってきたところかなと感じますね。
ーーつまりは現代のスピード競輪に対応するためにバンク練習に?
三谷 そうですね。頭打ちではないですけど、少し環境を変えるというか。それまでは街道練習が多かったんですが、やり方を変えないといけないっていう風には思いましたね。奈良競輪場に来ている選手と一緒に練習しています。
メンバーはS級だと栗山(俊介)、佐山(寛明)、吉田(篤史)や伊代野(貴照)さんとか兄貴、あとは(山本)伸一さんも。だいたいは若手、いや、もう若手じゃない(苦笑)。僕ぐらいの世代が集まっていますね。大阪に阪奈グループっていうのがあって、大阪の選手がちょこちょこ来ることもありますね。
ーー周囲からアドバイスを受けることはありましたか?
三谷 周りに練習方法とかを聞いてはいました。あとは2回ぐらい西武園で平原康多さんと一緒に練習させてもらうこともありましたね。
ーー平原選手にはどんなアドバイスや刺激を受けたのでしょうか?
三谷 平原さんは練習でもめちゃくちゃ強くて。強い選手は練習でも強いんだなと実感しましたね。話を聞きに行くたびに毎回違うセッティングになっていたりすることも。平原さんの何でも試して、その中で自分に合ったものを見つけていくという姿勢は本当にすごいなと感じますね。
後編は3月17日(金)18時公開です
netkeirin特派員
netkeirin Tokuhain
netkeirin特派員による本格的読み物コーナー。競輪に関わる人や出来事を取材し、競輪の世界にまつわるドラマをお届けします