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【郡司浩平を徹底解剖】大丈夫かな? が原動力! ひとことで言えば「僕は心配性の努力家」/特別インタビューVol.3

アプリ限定 2023/03/14 (火) 18:00 19

4年連続S級S班として戦う南関東地区のエース・郡司浩平選手の特別インタビュー(全3回)をお届けします。最終回となる今回は郡司選手のルーツを探るべく「競輪選手を決意した時」や「親子の師弟関係」、「競輪の魅力」などについてお聞きしました。記事内の写真はすべてnetkeirinの撮り下ろし! 今回も「スペシャル待ち受け壁紙」や「サイン入りチェキ」のプレゼント(※)もありますので、ぜひ最後までご覧ください。※壁紙のダウンロードおよびサイン入りチェキへの応募はnetkeirinアプリ(無料)のインストールが必要です(取材日:2023年2月7日)

高校三年の夏「寂しくも野球にひと区切り」

ーー神奈川の強豪校・横浜商業で野球に打ち込んだ郡司選手。ベスト8まで進んだ高校最後の年、本当に神奈川は激戦区でしたね。この時期のことを教えてください。

郡司 高校三年の夏、最後の大会はセンターでスタメンでした。練習も厳しかったし、敗退は悔しかったです。ただ、なんでしょうね。悔しさよりも「野球に区切りをつける気持ち」の印象が強いです。ずっと野球一筋でやってきたので「本気で野球ができるのも最後になったんだな」と寂しさとか切なさとか、そういう感情がありました。

ーー「区切る」と決意したのはいつ頃でしょうか? 大学や社会人で続けようとは思わなかったですか?

郡司 高校三年って進路を決めるムードも高まりますよね。進学か、就職か。進学するなら何を目指すか、就職するならどういう仕事か。その時期に「野球を続けるとしてその先にある可能性」も真剣に考えました。進路選択のさらにその先を。その結果、野球は高校で終わりにすると決断しました。夏の神奈川予選が始まる前には「負けたらここで終わり」と心の整理はついていました。

ーーその時期に競輪選手を目指し始めたのですか?

郡司 はい。消防士や警察官を目指している友達が周りにいて、体を使う仕事だし、「自分にも合っているのかも」と考えたことはあります。でもそれは人の影響であって自分の中から「なりたい!」と考えているわけではなかったので、どこか決断にまでは至らなかったです。体を動かす仕事、専門的な仕事、と的を絞っていった結果、競輪選手という職業にピントが合った感じです。

ーー「最初はルールもラインもすべてわからなかった」とのことですが、それまで競輪選手のお父さんとは競輪の話はしませんでしたか?

郡司 レースをテレビで観て「お父さん頑張れー」みたいなのはありましたけど、ルールどうのラインがどうのってところまでは興味がありませんでしたし、親父も家で競輪の話はしなかったです。自転車を始めた時に知識的なアドバンテージはなく、完全に初心者状態からのスタートでした。

涙の誓約書、変わる親子関係

ーー競輪選手を目指すと決意し、親子で師弟関係になったとき、涙しながら誓約書にサインをしたと聞いたことがあります。

郡司 競輪をやると決めて親父に相談したのですが、師弟関係を結ぶ前に誓約書を書いたんです。親父も覚悟を決めて鍛えるつもりだったと思いますし、自分の覚悟を測る意味もあったと思います。競輪を目指すと伝えてからは親父の優しい雰囲気は消えて、ガラッと厳しくなりました。親子でする他愛もない無駄話もなくなりました。誓約書に「敬語を使う」とあって、なんか寂しくなったというか(笑)。今ではその意味がわかりますけど、師弟関係になるために親子関係を解消する感じに「別れ」の意味を感じ取ってしまい、涙が出ましたね。

ーー今でも厳しいままですか?

郡司 これは「いいえ」かな。競輪選手を目指し始めた当初は厳しかったですが、今では軟化してきた部分もあります。普通の親子としての会話も増えましたね。ただ、競輪の話を師匠と弟子の関係でするので、やはり普通の親子とはいかないです。

ーータイトル獲得まで見せることができて、師匠としてお父さんとして嬉しいですよね。

郡司 タイトル獲得といった意味では親父と自分では立場が逆転したかもしれないと図に乗りたくなる気持ちもあります(笑)。それは冗談としても、親父に対して尊敬と感謝の気持ちがあるので、GIを勝利した姿を見てもらえて本当に良かったと思いますし、これからもっと強くなりたいです。

“プロフェッショナル”ということ

ーー競輪は「お客さんがお金を賭ける」という意味で、野球とスポーツ性や背景が異なります。このギャップに戸惑うことはなかったですか?

郡司 自分の中で戸惑いは一切ありませんでした。お客さんが自分達にお金を賭けてくれて、その上でレースをしているわけですから、確かにアマチュア野球と背景は異なります。でもこれは自分の考えなのですが、野球やサッカーもプロになれば本質は同じではないかと思います。お金を払ってもらい自分たちのプレーを見せるわけですから、変なプレーはできないはず。そう考えると公営競技としてのスポーツもそうでないスポーツもプロフェッショナルとしての感覚は同じではないかと思います。

ーー競輪選手を職業にしてみて楽しさとツラさの比率はどんな感じでしょう?

郡司 感じている時間を単純に数値化すると楽しさ「2」、ツラさ「8」くらいですかね。ただ、楽しさの「2」がめちゃくちゃ濃いです。ツラさの「8」を吹き飛ばすほどのデカさがあります。

ーー競輪選手になって一番嬉しかったことはなんですか?

郡司 一番はやっぱりタイトル獲得でしょうか。でも節目の優勝も嬉しくなるんですよね。

ーーちなみに「これは職業病だな」はありますか?

郡司 見通しの良い長い直線道路を見つけると、「練習場所に良さそうだな」とか「ここ全力でもがきたいな」とか「ここスピード出そうだな」とか自転車で走る前提で道路を見てしまいます(笑)。

ーープロとしてのスタンスを聞いてみたいです。「細く長く続けていきたい」のか「太く短く出し切りたい」のか。郡司選手のスタンスはどちらでしょうか?

郡司 その時その時で考えて判断するタイプなのでスタンスは特にないです。でも今の感覚だけで答えるなら「太く短く」を求めるタイプかなと思います。40歳くらいで「すべてやり切った」と思える環境になっていたら、違うこともやってみたくなるのかなぁ、と想像することがあります。

競輪はドラマ「人間のストーリーが交錯する」

ーー今まで心が折れたことはないですか?

郡司 何回も折れています。何十回何百回と「やめたいな〜」と考えていると思います。でもやめなかったので、本気で折れたことはないってことですね。

ーー過去一番心が折れたエピソードがあれば教えてください。

郡司 デビュー前に本当にやめようと思ったことがありました。高校野球の予選が終わって、今までの厳しい環境から解放されて、みんな一気にエンジョイし始めます。部活あるあるというか(笑)。友達は髪を伸ばしたり、髪を染めたり、バイトを始めたり、放課後みんなでだべったり。今までたまっていたエネルギーを遊びの面に大放出していました。

 そんな中、自分は競輪に挑戦しようと決めた時期だったので、自転車に乗りに行かなくてはいけませんでした。友達とはっちゃけたい時に「オレ帰るわー」ってものすごく嫌でした。くじけそうになったことは何回もありますけど、この時期が一番あきらめそうになったかもしれません。この頃のことは印象に強く残っています。

ーー郡司選手の思う競輪の魅力、競輪の楽しさは?

郡司 “人間味”が一番の醍醐味でしょうか。初めて観る方には難しい話になりますが、人の気持ちのやりとりが歴史になっていく部分に魅力を感じます。ラインのために頑張った選手がラインに助けられて優勝することがありますし、その“経緯”が楽しめるんですよね。『競輪にはドラマがある』なんて言ったらカッコつけ過ぎかもしれないけど、レースを走っていてドラマを感じることあります。観ている人はどうでしょう?

ーー感じていますし、そこが面白いです。気持ちがストーリーを紡ぐスポーツだと思います。

郡司 ここまで人の気持ちが交錯して、全面に出ているスポーツって、他のチームスポーツでもなかなかないと思うんですよ。どのスポーツにもドラマはありますが、気持ちで作る競輪はそれが強い。絆という言葉がラインに詰まっています。

郡司浩平=心配性の努力家

ーーそれでは最後の章では郡司選手の人柄や性格を聞かせてください。まずは休日の過ごし方からお願いします。

郡司 休みは基本的にはゆっくりケアに充てて疲れを取ることに専念しています。自転車のことを完全に忘れてリセットしたい時は買い物に行ったり、ライブに行ったり、キャンプに行ったりします。去年はMr.ChildrenとMISIAのライブに行きました。自然の中で頭を空っぽにできるので、キャンプも好きですね。

ーー「座右の銘」と「尊敬している人物」を教えてください。

郡司 コツコツ積み重ねを大事にしているので、座右の銘は「継続は力なり」です。尊敬している人物は父親というか師匠というか。「郡司盛夫」ですね。

ーーさいごに「郡司浩平」の性格を教えてください。

郡司 コツコツ地道にやる人間だと思います。自分で言うのも変ですが努力家タイプです。でも僕の場合、「強くなるために努力する」って気持ちよりも「弱くなるのいやだな」とか「レースで負けないかな」という不安が先行しての努力が多いんですよね。全然前向きなトーンじゃないんですよ(笑)。

 だから自分を説明する時に「心配性の努力家」みたいに表現することがあります。人から自分がどう見えているかわかりませんけど、比較的「強気な人間」に思われがちなところがあります。でも結構違います。弱気ではないんですが、いつも「大丈夫かな?大丈夫だよな?」と考えていて、心配だから努力するって感じです。

ーー「心配性の努力家」ですか。まさかの「二番打者」でしたし、イメージと違いました。

郡司 イメージと違う、これは本当によく言われますね。

ーー今日はインタビューありがとうございました。競輪には関係ない質問まで答えてもらい嬉しかったです。さいごに「女性の服装で好きな服装は?」で締めてください。

郡司 自分の性格の話で最後だったじゃないですか! 結構おさまりいい話ができた気がしますし…。(しばし上を見ながら考えて)「タートルニット」が好きですね〜(笑顔)。


郡司浩平選手は3/18(土)〜21(火)に別府競輪で開催される「第7回ウィナーズカップ(GII)」に出走予定。第1回開催(当時郡司選手は26歳)の覇者として、大躍動する姿が楽しみだ。

カメラマン:飯岡 拓也
Hair & Make-up:堀川 知佳
取材・文:篠塚久(netkeirin編集部)
企画・構成:伊藤千裕(netkeirin編集部)
(取材日:2023年2月7日)


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