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平原康多の勝ちペダル

【#32】全日本選抜を終え “ここでいったんリセット”「どんな状況でもやるべきことをしっかりやるだけ」

2023/03/03 (金) 18:00 42

今年最初のG1を終えて(撮影:島尻譲)

今年最初のG1「全日本選抜競輪」は、脇本雄太を差した古性優作の連覇で終了しました。奈良G3のけがが心配された平原康多選手は、決勝には進めませんでしたが、元気な姿を見せてくれました。G1戦線はまだ始まったばかり。近畿コンビの牙城を崩すべく、今後の関東勢の巻き返しに期待です。


◆ここに競輪場があったらいいなという土地は…

ーー今年初のG1参加お疲れ様でした。高知は20年ぶりのG1開催でした。高知といえば「ひろめ市場」が有名ですけど、何か美味しいものは食べましたか?

 埼玉の4人で前泊していたので、ひろめ市場ではないんですけど、毎回寄らせてもらうお店で定番の鰹の塩たたきを食べました。めちゃくちゃ美味しかったですね。

ーー競輪の仕事をしていると、こうやって全国を回れるのは楽しみのひとつですよね。

 確かに普通なら旅行じゃないと行けないようなところに行けますからね。

ーーあっせんが来るとテンションが上がるような場所はありますか? 函館参加を楽しみにしている選手の話を良く聞くんですけど。

 あっせんが来てテンションが上がるまではないですけど、福岡はご飯が美味しいので、帰りに食べていきたいなとか、お土産を買って帰ろうと思いますね。

ーー小倉は美味しいだけじゃなく、価格が安いですよね。

 コスパの面でもそうかもしれませんね。福岡はいいですね。

ーーここに競輪場があったらいいなという土地はありますか?

 それは沖縄でしょう。

ーー確かに沖縄で競輪あったら、出張は取り合いになると思います。何かいい思い出が?

 昔、太田真一さんに誘ってもらって何度か沖縄とか宮古島なんかで合宿を張ったんですけど、できれば遊びで来たいなと思っていました。

ーーそれっていい思い出ではなさそうですね?(笑)

 はははは。やっぱり仕事よりプライベートの方がいいかな。

ーー話は変わりますが、全日本選抜の開催中に、中川誠一郎選手が某配信番組にゲスト出演していました。

 中川さんは、“こっち”にいるべき人でしょう、ははは。

コラムという名の“交換日記”のお相手でもある、中川誠一郎選手(撮影:島尻譲)

ーー前回の中川選手のコラムで平原選手のネタが出てましたね。稲村亜美さんの写真を待ち受けにしていたとか。

 あれはホントです。神スイングがCMでやっていた時に、パワーをもらえそうだなと思って待ち受けにしたんです。宿口(陽一)もしていたと思いますよ。見ると、一発狙ってやろうみたいな気持ちになりました。

ーー稲村さんが、「平原選手に初めて会った時、愛想がなくて嫌われているのかと思った」と言ってました。

 だって競輪祭の表彰式ですよ。ヘラヘラ出来ないじゃないですか(笑)。ホントの所は話したくて仕方なかったです。

ーーなるほど、ぐっとこらえて澄ましていたんですね。

 そうですね、はははは。

◆脇本選手とその他との圧倒的な違い

ーーでは、競輪の話をお願いします。奈良記念のけがは影響しましたか?

 体の面では影響がなかったです。ただフレームがダメになってしまったので、同じような寸法で使っていなかったものを引っ張り出しました。そこは影響しましたね。

ーーコンディション的には、日に日に良くなっていった印象を受けました。

 日に日に良くはなっていったんですけど、最後まで本気で勝負ができるポジションは見つけきれなかったですね。

ーーセッティングの面ですね。

 そうです。新しく認可されたロード用のサドルを今年は試していたんですけど、全日本までは使ってみようと思っていました。でも、なかなかいいパワーポジションが見つからなくて。でも、ここで見切りを付けて、大垣からは元に戻そうと思っています。

ロード用のサドルを今年は試していたという平原選手(撮影:島尻譲)

ーー今年は例年にないスロースタートになってしまいました。

 一年を通してみれば、けがをしたり悪い時期はあります。それが今年は最初に来たんだと思って、これから頑張りますよ。

ーー思うような結果が出ない時に、ゲン担ぎをしたりすることってありますか?

 けが以外で結果が出ていない時は、だいたい何かを試していることが多いです。今回でいうと、サドルなんですけど。だからゲンを担ぐというよりは、元に戻せばそれなりの走りは出来ると思っています。

ーー前にも言っていたゼロポジションというやつですね。

 そうです、そうです。戻るべき場所があるので、ここでいったんリセットですね。神頼みもたまにはしますけど、ははは。

ーーまずは初日特選から振り返って下さい。吉田拓矢選手との呼吸が合わなかったのですか? 踏み出しで少し口が空いたので、あれ?と思いました。

 集中もしていたし、気を抜いていたわけではないんですけど、ちょっとした判断とか波長の部分を自分が合わせられませんでした。

ーーそういう時は、2走目の前に何を変えるのですか?

 今回はサドルまわりとハンドルまわりをいじりました。

ーー2次予選は、坂井洋選手との連係でした。町田太我選手の中団が取れてチャンスと思いましたが、町田選手が強かったですね。

 坂井は自信を持って戦ってくれたけど、町田が上でした。自分は外を踏んで2着。まだ踏み込みが完全に伝わっていない感じでした。それでも初日よりは体と自転車が半分ぐらいマッチしてきた感覚がありましたね。

2次予選では「体と自転車が半分ぐらいマッチしてきた感覚」(撮影:島尻譲)

ーー練習の段階からマッチングの部分では違和感を抱えていたのですか?

 練習では悪くなかったけど、レースはまた全然感覚が違うので。走りながら合わせていく作業ですね。

ーー準決勝の目標は眞杉匠選手。そして脇本雄太選手との対戦でした。

 初日に眞杉が新田(祐大)の3番手から突き抜けていたし、いい勝負が出来るかなと思っていました。でも、ワッキーに駆けられたら眞杉は車が出なかったですね。まだ僕たちがやるべきことは山積みということです。

ーー脇本選手が誘導を残したまま下げたんですが、あれは普通だとかなりリスクがありますよね?

 普通ならです。そこが彼とその他との圧倒的な違いですね。誘導を使われることが気にならないんですから。

ーー平原選手は直線で浅井康太選手と絡んで4着止まりでした。初日もそうでしたが、大事な場面で浅井選手と平原選手が絡むシーンって良くありますよね。

 きっとそういう星のもとにいるんでしょう、はははは。

ーー決勝には勝ち上がれませんでしたけど、最終日は一番いい走りが出来たんじゃないですか?

 外のコースがないから真っ直ぐ突っ込むしかない状況でした。自分的にはスッキリはしなかったし、こういう悔しさも味わって次につなげたいですね。(吉田)拓矢が、松井宏佑と力勝負が出来て、割とすがすがしい感じで終えたのは良かったです。

ーー準決勝に勝ち上がった関東勢は4人でした。これをどう見ますか?

 確かにたくさんいれば有利なのは間違いないですけど、数のせいにはしたくない。どういう状況でも、自分がやれることをしっかりやるだけですよ。

ーーサドルやフレームを試行錯誤しているということですが、光は見えましたか?

 試行錯誤している時は、だいたい失敗の方に行くんです(笑)。その中でたまに大きな当たりや発見があるから、続くんですよね。

ーーそれって競輪ファンと同じじゃないですか。車券はだいたい外れるけど、たまに大きい配当を取るから止められない(笑)

 はははは、まさにそんな感じですね。

ーー競輪に携わる者は、形は違えど、一生同じことをやり続けるんですかね。

 今は僕を応援してくれるお客さんには迷惑をかけてしまっているけど、自分なりに頑張っているので、一緒に喜べる時を待っていて下さい。

(※文中敬称略)


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平原康多

Hirahara Kota

埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。

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