2023/02/15 (水) 12:00 31
伊東競輪場で第6回施設整備等協賛競輪「花と海といで湯賞(GIII)」が2月16〜19日の日程で開催される。山口拳矢(27歳・岐阜=117期)が抜けた存在で、その戦いぶりに注目が集まる。豊橋記念決勝の後…が続いている。
豊橋では脇本雄太(33歳・福井=94期)を抑えず、レースを作れなかった。批判を受けて仕方のない内容で、心理的なダメージも負ったと思う。だが、すぐに広島で見せた積極的な走りで、前を向いたことは明らかだ。
誰だって失敗はしたくないが、人生にはつきもの。しかも若干大きめの失敗がどうしても飛んでくる。そこでどうするか、が問われる。脇本にしても大きな失敗がある。それも、拳矢のものよりかなりデカいものだった…。
2012年4月30日の名古屋競輪「共同通信社杯(GII)」の決勝だ。前受けの脇本は勝負所を前に先頭誘導員と接触して落車してしまった。残り2周以上残してのそれは、場内を騒然とさせた。23歳のワッキーは大きなショックを受ける。
復帰してから「前受けが怖い」とすら言った。だがそこからだ。丁寧に自分を見つめ直し、ある時、前受けから突っ張ってレースを作った。「これができてよかった」。ノイローゼになりそうな感じだったが、乗り越えて脇本は強さを増した。
何度か書き続けているが、ワッキーは最初から今の強さがあるわけではない。競輪選手の中でもずば抜けて数多く、また深い苦しみに襲われ、そこに立ち向かってきたから今がある。
拳矢も乗り越えて、“必ず”やってくれる。
拳矢が広島で見せた走りは、ワッキーと戦うにあたり、タテ脚の必要さと先行というカードの重要さへの挑戦だ。今は、ただ先行しても勝てないかもしれないが、そのカードを持ってレースを動かすことで他のラインも手を打てる。まずその舞台への一歩があった。
奥深く、険しい道のりには違いないが、時間はある。始まったばかりと言っていい。
始まっていたのか、終わってもいないのかよくわからないのが、松岡貴久(38歳・熊本=90期)だ。GIII優勝は2016年12月当地での1回。「GI獲れる」あたりまでいったのだが、近年は低迷している。ただし、終わってもいない、はず…。
熊本の若手が大いに奮起している。タカヒサがもう一花咲かせる2023年になってほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。