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伏見俊昭のいつだってフロンティア!

【伏見俊昭の競輪選手あるある】1着だった翌日はとにかく前日と同じ行動を取りたがる! お風呂場の場所、ローラー台、そして…

2023/01/18 (水) 18:00 11

 netkeirinをご覧の皆さま、こんにちは。伏見俊昭です。
 2023年一発目となるコラムは、年末年始の振り返りと競輪選手の職業病についてお話ししたいと思います。

伏見俊昭(撮影:島尻譲)

2023年の初乗りは地元・いわき平開催

 今年の初出走は、2022年大晦日の前検で、2023年の元日から地元のいわき平競輪でFIナイターに参戦しました。いわき平の正月開催は過去に元日前検で2〜4日の昼間開催だったのですが、今年は大晦日前検でかつナイター。正月のナイターは初めてだったのですが、東北地方ということもあり、どのくらい気温が下がるか、「寒さ」が非常に神経質になる部分でしたね。

 日中は日が出るのでまだいいのですが、夜は一気に冷え込みます。寒さは走ってしまえばあまり問題ではないのですが、古傷に影響が出やすいんです。2022年は6月に鎖骨骨折などの大ケガ、さらに9月には肉離れをして、特に肉離れは初めてだったので、どのくらい固まって脚が動かなくなるのかわからなくて不安でした。昔は塗ったことがなかったけど、最近では脚が熱くなるアップクリームを塗り、さらにその上にオイルも塗って二重で対策しています。

 いろいろ対処はしたけど結果は3日間走って確定板に1回も乗れず…。伊東記念から中5日で練習も調整したし、負傷明けからだいぶ調子も戻ってきていました。また地元開催ということもあり気持ちもしっかり入っていたけど、成績にはつながらなかったです。

2023年の初出走は、納得のいく走りができなかった(撮影:島尻譲)

 2023年のスタートは良くなかったけどそこは「この結果が今の自分の現状」としっかり受け止め、良くなかった部分は反省。次の大宮記念までにしっかり練習して立て直していきます。今年初戦は良くなかったけど気持ち的には前向きです!

年末年始を競輪場で過ごすのは寂しい…

 S級S班だった頃は、12月30日にKEIRINグランプリがあったので、それに出場し、住み慣れた我が家でゆっくり年を越すのが定番でした。31日だけ休んで元日に初乗りするのが恒例行事。なので、“競輪場で年を越す”というのは仕事だから仕方ないのですが、あまりゆっくり休むというのはないですし、何より寂しい感じ。

競輪場での年越しはやっぱり…寂しいもの(撮影:島尻譲)

 昨年の初出走は宇都宮FIで、やはり大晦日前検でした。バイキング形式の朝ごはんでは、かまぼこや出汁巻きたまご、数の子などのお節が並んでいたり、お雑煮がでたりと少しでも正月気分を味わえて有難かった。今年のいわき平は…お節は全くなし。「全然、正月気分は味わえないなぁ」なんて思っていたら、昼ごはんのかけ蕎麦に普段入っていないお餅がドーンと。(笑) みんなで「お餅入っているね」ってそれだけでしたね。(笑)

 昔は確か、正月手当として1日1万円くらい出ていましたが、何年か前に廃止になりました。まぁ、お金の話はせーちゃん(中川誠一郎)の専売特許だからここでは控えますね。(笑)

 松阪に戻り、5日から練習再開。コロナ禍ということもあり、忘新年会も自粛していたので、年越しや正月気分は全くなかったですね。4日には白河の鹿嶋神社にお参りに行きましたが、混雑もしてないし、出店などもないし、初詣という雰囲気はなく、いつも行く競走前のお参りと一緒。年越し前から行列に並んで年が明けてお参りするというのが『初詣』って感じがしますよね。まあ、公営競技はお盆正月にレースがあることが多いから、競輪選手でいる間は諦めています。

競輪選手の職業病① 勝負事は実力だけでない、ツキを呼び込むことも大事

先祖の供養や神社参りは欠かさない(撮影:島尻譲)

 競輪選手の職業病ですが、競輪は勝負事なので、実力だけでははかりきれないところもあると思います。昔どこかで聞いたのは、『人間の運は皆、平等に持っている。それでもツイている、ツイていない人に分かれるのは、ツキは自分で呼び込むものだからって。黙って受身になっていてもツキは寄ってこないので、そのツキを自分に持ってくるためにいろんなことをする必要がある』と。なので、僕は神社に行って気を整えて運気を上げることを心掛けています。人間の脳でははかりしれないことが神様のところにはあると信じているので、神社参りはかかさず続けています。

 あとは勝負師だけじゃなくて、皆さんもやっているかと思いますが、お墓参り。ご先祖様の供養や神社参りと同じくらい大事だと思っています。だってご先祖様がいてくれたから今の自分があるんですからね。

競輪選手の職業病② 1着だった翌日は前の日と同じことをする

とにかく競走中は“験”を担ぎます(撮影:島尻譲)

 競輪選手の職業病と言っていいのか迷いますが。競争中はとにかく“験(げん)”を担ぎます。前日1着だったら次の日も前日と同じ行動をしたくなります。例えば、お風呂場の洗い場も同じ場所を使いたいし、乗ったローラー台も同じがいい。昼ごはんが前日蕎麦だったら、翌日も蕎麦。本音を言うと、服も同じものを着たくなりますが、さすがに洗濯しなくちゃいけないので、それは難しいですよね。(笑)

 競争参加の際には、スーツを着ていくのですが、落車でもしようもんならそのスーツはしばらく着ないというか、着れないです。

 験担ぎは家を出るところから始まります。玄関を出る時に体に塩をまいて清めます。これは毎回、絶対やりますね。本当に競走参加中は自分でも疲れてしまうくらい、神経質になっちゃいます。その反面、競走から解放されれば全く験担ぎは頭から離れさせて、メリハリをつけています。

競輪選手の職業病③ 右手に荷物を持ったら左手でも持つ

 そのほか、日常生活から身体のバランスは非常に気を遣っています。右手で荷物を持ったら、次は左手で持つとか。真偽のほどは確認していないですが、松本整さんはバランスが崩れるからと、お子さんを抱っこしなかったそう。それを聞いた時は「本当のプロだな」って思いましたね。

 競走が近くなると車の運転も控えたほうがいいとトレーナーには言われます。アクセルを踏む際に右足だけを使いっぱなしになるので、前脛骨筋が張ってきてバランスが悪くなるんです。どんなスポーツでもそうだけど、特に競輪は2輪車なのでバランスが重要です。バランスが良くないとうまく力を伝えられないし、自転車をスムーズに進ませることができないんです。験担ぎはほかの選手はわかりませんが、バランスに関しては、競輪選手みんなが思っているでしょう。

大宮記念では良い結果を残せるように全力を尽くします(撮影:島尻譲)

 1月19日から大宮記念が始まります。2023年のスタートが良くなかった分、ここでは良い走りができるように頑張ります。



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伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

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