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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志の感謝】牛舎見学で気づいた命の尊さ、忘れがちな“当たり前”を考える

2022/12/23 (金) 18:00 10

 netkeirinをご覧の皆さん、金子貴志です。今年も残すところあとわずかですね。今年最後となる今回のコラムでは「命の大切さ」と「当たり前」について書いていきたいと思います。

今年もさまざまなことに挑戦した金子貴志選手(撮影:島尻譲)

牛舎見学で学ぶ命の大切さ

 先日、愛知県内にある牛舎を知人の方に紹介してもらい、YouTubeの撮影に行ってきました。山田二三補さんとお馴染みの輪蛸さんと3人で見学させていただき、餌やりをはじめ、子牛にミルクをあげることなども体験してきました。

 この日は赤ちゃんが産まれるところに立ち会える予定でしたが、出産のタイミングが合わず叶いませんでした。牛を間近で見ることは日常ではまったくありませんから、その迫力には圧倒されましたね。でも子牛はすごく可愛いくて、すぐに愛着が湧いてきました。

子牛にミルクをあげる山田選手(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

 ただし、この牛舎にいる牛は「食肉用」なんです。以前コラムで「キャンプの時の食事について」触れたことがあり、私は必ず「いただきます」という言葉に気持ちを込めると書きました。キャンプで食べるステーキなどもそうですが、これは命をいただくということ。気持ちを込めるのは“当たり前”です。今回の牛舎見学でその気持ちは一層強くなり、改めて学びました。

「いただきます」に気持ちを込める(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

責任を持って仕事をするTHE・職人

 この見学で牛舎を案内してくれた職人さんは1人で70〜80頭の牛を育てています。私たちも一部体験することで、その重労働を理解し、この仕事を一人でこなしているのかと驚きました。また、すべての牛に名前を付け、すべての牛を見分けていることにも驚きました。餌の食べ方などを見ると普段とは違う雰囲気にも気が付けるらしく、体調変化にはすぐに対応できるそうです。

体験して初めてわかるハードワーク(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

 話を聞いてみると「人生を牛に捧げても良いくらいの愛情」があるとのことでした。その人の牛を見つめる表情からもそれは滲み出ていました。「産まれた牛を育てて出荷し、消費してもらう」という仕事に責任を持って取り組んでいる姿に感銘を受けました。

 愛情を持っているからこそ人には任せられない、自分の責任で仕事をしたいのだと思います。普段は穏やかな人ですが、いざ仕事になると目つきが変わります。まさに職人! THE・職人です。開業して14年、体調を崩しても、台風が来ても1日も休んだことがないそうです。それだけ牛に対して深い愛情を持って育てているということです。

 この職人魂、プロフェッショナル精神には学びがありますし、私にとっての自転車にも通じるものがあります。愛情を持っているからこそ他人任せにせず、自分の責任で全力で取り組むという“当たり前”のことです。異業種とはいえ、仕事に対する職人魂を見せていただき良い刺激をいただきました。

人生をかけて牛を育てていると話す職人さん(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

“当たり前”は忘れがち

 いつだったか『馬主や競馬関係者は馬肉を食べない』と聞いたことがあったので、そんな話をしていたのですが「私は食べますよ」との言葉がとても印象的でした。例えば焼き肉で焦げてしまった網にこびりついたものでも最後までしっかり食べてあげることが、生産者の責任だとおっしゃっていました。農家の人もお米を一粒も残さず食べると聞いたことがありますが、その話と共通するものを感じます。

 生産者の人の“当たり前”に触れることで、色々なことが頭に浮かびました。これは競輪選手としても、一人の人間としても思うのですが、“当たり前”って本当に忘れてしまうものだよな、と痛感します。自転車の話で言えば「普通に走れること」といった“当たり前”などは特に忘れがちで、落車で怪我をしたり、体のケアが必要な時に限って、“当たり前”に感謝しなくてはと思い直すことがあります。

 他にも見過ごしてしまっている“当たり前”がポンポン浮かんできましたし、“当たり前”を日常的に意識することがいかに大切かを思い知りました。日常の中に本当にたくさんの“当たり前”があるんですよね。

2022年もありがとうございました

 それでは今年最後のコラムはここで書き終えようと思います。私のコラムでは競輪のことも植物やキャンプのこともYouTubeのこともさまざまなことを書いています。この1年、植物やキャンプ、YouTube撮影を通じて新たに出会った人がたくさんいました。中には競輪を知らなかった人が「金子さんのレースを観てみましたよ。競輪おもしろいですね」と声をかけてくれたこともありました。こういう表現活動を続けてみて、すごく嬉しくなる瞬間です。

 また、自転車を生業にしている私は世間知らずというか、勘違いしていることも多いと気が付くことも多いですね。来る2023年も競輪とプライベートで色々な出会いを求めて挑戦していこうと思います。それでは読者みなさん、良いお年をお迎えください。1年間コラムを読んでいただき本当にありがとうございました。

来年も好奇心を頼りに挑戦を続けていく(撮影:島尻譲)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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