2022/12/09 (金) 19:00 20
netkeirinをご覧の皆さん、こんにちは。金子貴志です。年内最後のGIである競輪祭が終了しましたが、決勝は青森の新山響平君が見事な走りで優勝しました。新山君はいつも北日本ラインの先頭で頑張り、昨年の競輪祭では素晴らしい走りを見せながらも準優勝でした。“届きそうで届かなかった”とも言える昨年の経験を糧に成長し、今回栄光を掴み切ったところに私は感動を覚えました。
いつもニコニコしている新山君とは顔を合わせれば話をするような関係性があります。そんな親近感もあるので、この結果はうれしかったです。周囲への感謝の言葉で喜びを噛み締めるインタビューも新山君らしくて素晴らしいと思いました。新山君、優勝本当におめでとう。これからはプレッシャーもあると思いますが、そのプレッシャーを大きなエネルギーに変えて頑張ってください。楽しみにしています。
さて、話は変わりますが、先日私の弟子が日本競輪選手養成所の一次試験に合格しました。昨年は残念ながら不合格でしたが、その悔しさをバネにして頑張り抜き、今年の一次試験合格を手に入れることができたのだと思います。この1年間は本当に苦しく辛かったと思いますが、一日一日を大切に頑張り続けていたのを近くで見ていたので、結果を聞いた時はすごく嬉しかったです。
「これまで苦しくても頑張ってきて本当に良かった」と嬉しそうに話す顔を見て、自分のことのように嬉しかったです。そして豊橋からはもう一人、元球児の子が合格しました。二人ともこのまま養成所に合格することを切に願っています。これからも気を緩めることなく、トレーニングに励んでもらいたいと思います。
残念ながら不合格だった受験生もいるのですが、まだ終わったわけではありません。来年に向けて気持ちを切り替え、悔いの残らないように今後1年間を頑張って欲しいです。また、選手になるのをあきらめて違う世界に進む人もいます。「プロを目指そう!」と思える精神の強さ、決意を持って挑戦できる心はどんな世界でも通用すると信じています。競輪選手を目指して頑張ってきた日々を無駄にせず、新しい道に活かして欲しいと願います。
私は10月28日〜30日に向日町のミッドナイト競輪に初めて参加してきました。ミッドナイト競輪はずっと走りたいと思っていたので、とても楽しみでした。ミッドナイトのレースは21時くらいからスタートします。実は普段から寝る時間が遅い私にとってこの時間帯は、ゴールデンタイムです。「生活リズムが崩れる」とか、寝るのが早い選手だと「眠たくなってしまう」といった話を聞いていたので、私にとって有利になると考えていました。また、体のケアが必須とも言える今の私にとって、昼間の空き時間も調整に充てられるので、戦いやすさもありました。
そして、この開催は新しい自転車で臨みましたが、これが本当に良い収穫でした。「練習で良くてもレースでは良くないフレーム」もあるので、練習の感触は良くても走ってみないことにはわかりません。不安はありましたが、いざ走ってみると今回のフレームは「練習も良くレースではもっと良い」といった感触があり、自分の今の体の状態とマッチするセッティングが出せるフレームでした。これに改良を重ねて、さらに良くなる期待感があります。レースでは余裕も生まれて、最終日には1着も獲ることができました。これから試行錯誤して、最高の状態を追求して勝利を狙っていきたいです。
そして、この開催には福島県の窪木一茂君が参加していました。窪木君はナショナルチームに所属していて、パリ五輪を見据えています。10月に行われた世界選手権で銀メダルを獲得してS級に特進してきたばかりでした。初日、2日目と結果は残せていませんでしたが、最終日は1着だったので声をかけました。
「銀メダルおめでとう」と祝福したのですが「ナショナルの先輩たちが道を作ってくれたおかげで銀メダルが獲れました」と返してくれました。窪木君によると、私がナショナルチームのメンバーだった頃に「トラやチーターの体の使い方が理想」だと話していたことをテレビで観てくれていたそうです。そんな窪木君が世界選手権で銀メダルを獲得した事実が、なんだか妙に嬉しかったです。窪木君の活躍を観ている子どもたちもいるはずです。その子どもたちが世界で活躍するのを期待したいと思います。
今回のコラムで書いた新山君や窪木君は「ナショナルチームの後輩」なので、私としてはとても近くに感じる存在です。その後輩たちはどんな時もあきらめず、頑張り抜いて結果を出しています。その若い存在、その活躍、私にとっても素晴らしい刺激になり、エネルギーになります。そして、養成所の一次試験に合格した弟子もそうです。改めて『あきらめないことの大切さ』を思い知らされます。
最近はこのコラムで「後輩たちに刺激をもらった」とか「若手の活躍を見てエネルギーがたまった」などを書くことが多くなりました。私を応援してくれている人達からすれば、「金子! エネルギーがたまったなら早く発揮しろ!」といったところもあるかもしれません。私はもちろん、彼らに負けていられないと心から思っています。あきらめることなく、多くのレースを1着でゴールできるように邁進していきます!
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金子貴志
Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。