2021/03/14 (日) 12:00 1
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている水都大垣杯の決勝レース展望です。
【水都大垣杯】決勝の並びですが、中部ラインは三重の浅井選手-柴崎選手の後ろに、地元の原選手がつけて、決勝では唯一となる3車でのライン。関東ラインは吉田選手の後ろに平原選手。そして郡司選手の後ろには、同じS級S班の守澤選手がつけることになりました。
徹底先行型の上田選手の後ろには、古性選手がついても良さそうなのですが、決勝メンバーを見た時に、古性選手は単騎でレースをしてくると思いました。
これは古性選手が追込選手ではなく、自力選手であること。そして、近畿の選手が同地区の選手以外にラインを組むことはまずないからです。古性選手が今後、GIといったタイトルを取るためには、人を当てにしているようではまだまだですし、単騎でも勝ちに行くぐらいの気持ちで臨んでいくことが、この決勝も含めて、いい結果に繋がっていくと思います。
それだけにこの決勝では、先行するラインがどこになるかが、勝敗の分かれ目となりそうです。オーソドックスに行くとするなら、初日の特選でも、平原選手を引き連れて先行していった吉田選手でしょう。
この展開となるとするなら、吉田-平原の3番手を取った選手が有利となります。前受けをするのも吉田選手になると思いますが、その後ろは車番的にも中部ラインがつけていると思われます。
単騎の上田は抑えにかかるでしょうし、古性も一緒に動き出すはず。となれば、郡司選手はセオリー通りにイン切りをしてくるでしょう。その時に浅井選手は郡司-守澤の後ろに入る作戦もありますが、ひょっとしたら一旦叩いてから、先行してくる可能性もあると見ています。
浅井選手が先行する理由としては、ラインに地元の原選手だけでなく、同県の柴崎選手もついていること。そしてこのメンバーでも、一周ぐらいなら不意をついて、かましていける脚力も持っているからです。
もし、浅井選手が先行した場合に、優勝が見えてくるのが柴崎選手です。過去には怪我で成績が落ち込んだこともありましたが、この2場所は内容も良かった上に、今大会では2日目、今日の準決勝と自分から捲っていくような強いレースを見せていました。上がりタイムも出ているように、今大会は体調もいいのでしょう。
今大会における体調の良さは吉田選手も一緒です。浅井選手が仕掛けてくるよりも前に先行していけるようなら、後ろを回る平原選手の番手捲りが決まりそうですし、郡司選手も早めに捲り追い込みを仕掛けてくるでしょう。蓋を開けてみれば自力で勝るS級S班の選手が、ゴール前で三つ巴のレースを展開している…ということも、あり得るのかもしれません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。