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鈴木誠のハイブリッド展望

【道後温泉杯争覇戦予想】S級S班不在の大会らしい大混戦! 根田の先行に乗ったゴール前で福田が抜け出してG3初制覇を狙っていく!/鈴木誠の展望

2022/10/16 (日) 15:00 3

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松山競輪場で開催されている道後温泉杯争覇戦の決勝レース展望です。

PIST6参戦効果が走りにも表れている、根田の先行力にも注目!

【道後温泉杯争覇戦】が行われる松山競輪場は、プロ野球の公式試合も行われる坊っちゃんスタジアム(正式名称は松山中央公園野球場)に隣接しています。

 現在の場所に移転する前は500バンクで開催が行われてきましたが、2005年に現在の場所に移ってからは400バンクとなり、それと同時に宿舎も新しくなりました。

 新しくなったのは宿舎だけではありません。食堂を運営していた業者が変わったことで、食事の内容も一新されました。

 現役時代は斡旋で様々な競輪場に行くのも1つの楽しみでしたが、新しくなった松山競輪場は、どの競輪場よりも食事が美味しく、無農薬の素材を使うなど、健康に気を使ったメニューがずらりと並んでいました。

 また、宿舎に備えられたサウナも広くて快適だったので、今で言うところの「整う」には絶好の環境でした。【道後温泉杯争覇戦】という大会ながら、残念なことに宿舎に温泉は出ていませんでしたが、あの美味しい食事を食べたいなと今でも思います。

 今大会は寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントを控えていることもありS級S班が不在。しかも、決勝の9名も3連勝で勝ち上がってきた選手がいないという、誰が優勝してもおかしくない大会となりました。

 決勝の並びですが、地元愛媛の佐々木選手の後ろに、福岡の両名(渡邉選手-坂本選手)が付けました。また根田選手-福田選手の南関東ラインの後ろを選択したのが、宮城の阿部選手です。中近ラインは稲毛選手と森川選手。杉森選手は単騎となっています。

 まずはスタートからですが、車番やこれまでのレースを見ても、スタートを取るのは稲毛選手となりそうです。3番手は単騎の杉森選手で、その後ろは南関東ラインと阿部選手、最後方が中国-九州の3名となるでしょう。

 打鐘の前に佐々木選手が稲毛選手を抑えにいくはずですが、佐々木選手は決勝メンバーでは唯一の地元選手で、優勝は至上命題と思っているはず。しかも、捲りを得意としているだけに、抑え先行はしてこないでしょう。そうなると同じ3車である、根田選手の先行が濃厚となります。

 根田選手は自転車競技のスプリントでも活躍を見せており、そのスピード能力の高さを、競輪では捲りで生かしてきました。

 最近は早めの先行も見せるようになるなど、レースに幅も出てきています。前回出場したPIST6では、4走全て突っ張り先行での完全優勝と、本人も長くいい脚を使えることに自信を深めているのではないのでしょうか。

 しかも、400バンクながらも傾斜の無い松山バンクは、捲りの出にくい傾向にあります。根田選手が先行した場合、他の自力選手たちは捲りに切り替えますが、それでもかかりきった根田選手を捕らえるのは困難かもしれません。

 ただ、直線が長いだけに、ゴールまでに残し切るのは難しいとも見ているので、その根田選手の後ろから発進していく福田選手が本命。そして、南関東の後ろを選択した阿部選手が対抗となりそうです。

 決勝まで1-1-2で来ている福田選手ですが、4、5年前から身体を絞っており、それ以降は走りに切れも出てきました。競輪は体重移動の競技でもありますし、それに合った身体作りを行っている、福田選手の走りが安定しているのも頷けるところです。

 ただ、佐々木選手も地元のファンの前で、見せ場を作るレースを見せたいと思っているでしょうし、南関東ライン+阿部選手の後ろを取れたのならば、早めに捲っていく可能性もあります。また、位置が悪くなりそうな稲毛選手ですが、流れが緩くなったのを見計らって、一気のカマシも考えているでしょう。

 単騎となりましたが、杉森選手も準決勝では11秒3のタイムで捲っているだけに、切れ目からの一発は充分にあると思います。G3を優勝したことのない選手にとっては、格好の機会ともなった決勝だけに、ゴール前は大混戦となっているのではないのでしょうか。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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