2021/03/07 (日) 10:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は広島競輪場で開催されている瀬戸の王子杯争奪戦の決勝レース展望です。
【瀬戸の王子杯争奪戦】の決勝が行われる広島バンクは、400バンクの割に直線が長く 追い込み、捲りが有利な印象があります。
冬場は空気が重たくも感じますが、それでも昨年末に開催された【ひろしまピースカップ】より時計も出ていますし、今開催で選手が感じている重さは、そこまでではないのかもしれません。
決勝の並びですが、注目の中国-四国ラインは太田選手の後ろに岡山の取鳥選手-岩津選手で並び、初日の特選とは並びが逆となった、清水選手-松浦選手と分かれてレースをすることになりました。そして黒沢選手-和田選手の東日本ライン、山田選手-小川選手の九州ラインと四分戦になります。
【瀬戸の王子杯争奪戦】は玉野バンクがリニューアル工事のために、広島バンクでの開催となりました。そこで玉野バンクを本拠地とする岡山の2人が、太田選手の後ろを主張したのではないかと思います。
ただ、松浦選手にとっては地元バンクでの開催となりますし、いくら【瀬戸の王子杯争奪戦】とは言えども、本場で行われている記念となれば負けられないところです。
松浦選手はこの開催に向けて仕上げてきた印象もあります。準決勝でも前受けをしながら、先行した選手を早めにとらえていった走りは強いの一言でしたし、決勝で前を走る清水選手も、今開催は非常に出来がいいです。
前受けするのは車番的にも清水選手-松浦選手となりそうです。その後ろには東日本ライン、中国-四国ライン、九州ラインで並んでいき、九州ラインが清水選手を抑えに行った時に、一気に先行するのが岡山の2人から前を任された、太田選手だと見ています。
取鳥選手は太田選手のスピードに乗って、番手捲りを狙ってくると見ていますが、早め早めの仕掛けをしてくる清水選手が、その上を超えてきそうですし、清水選手が出切った時に勝機が出てきそうなのが、松浦選手となりそうです。
注目しているのが、準決勝でもコースを探した走りが目を引いた和田選手です。前を任された黒沢選手も、昨年のグランプリレーサーが後ろに付けてくれるとなれば、早めに仕掛けなければという気持ちも出てくるはずです。
本命は松浦選手。対抗となるのは清水選手ですが、捲っていった時に太田選手も抵抗してくることで脚を使わされるはずです。となると取鳥選手や、怪我明けであることを感じさせないレースぶりを見せている岩津選手も充分、車券圏内に入ってきそうです。
山田選手も仕掛けどころでいい位置に入っていれば、伸びてくるだけの脚は持っています。松浦選手の頭は堅いと思いますが、組み合わせ次第では高配当も望めるレースとなりそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。