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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【北条早雲杯争奪戦予想】別線の南関勢!先行意欲の強い深谷に注目/ヤマコウ展望

2022/08/28 (日) 12:00 34

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 小田原競輪開設73周年記念北条早雲杯決勝戦のメンバーが出揃いました。

 今節、新人の北井佑季(神奈川・119期)が小田原GIIIを盛り上げました。先行一本で戦う彼のレースに注目した方も多いと思います。初日、2日目と前受けからの突っ張り先行で1着、2着。初めての9車立てを感じさせない走りでした。しかし、トップクラスの選手は北井の組立てが分かり、早速対処しました。準決勝の長島大介(栃木・96期)は、前受けの北井をかまし気味に叩いて近畿勢を出させました。富山記念決勝の松浦悠士(広島・98期)のような走りでした。前受けから突っ張る選手に対して非常に有効だと思います。自分も脚を使いますが、併されて終わるより爪痕を残せます。そして何より1着を獲れる最善の策だと思うのです。叩かれた北井は、慌てて巻き返しますが先行できずに7着敗退。トップの厳しさを感じたことでしょう。

 町田太我(広島・117期)も戦法を読まれるようになって、併されることが多くなってきました。しかし、今節の町田は何とか現状を打破しようと意欲的に走っていたと思います。これからどう変化するのか楽しみです。

 メンバー、ライン構成は以下の通り。

①郡司浩平(神奈川・99期)ー⑤和田真久留(神奈川・99期)ー④松谷秀幸(神奈川・96期)ー⑥佐藤龍二(神奈川・94期)

②清水裕友(山口・105期)
⑦深谷知広(静岡・96期)ー⑧田中晴基(千葉・90期)
⑨浅井康太(三重・90期)ー③坂口晃輔(三重・95期)

 南関勢が6人乗り並びが注目されましたが、①郡司が「5番手、6番手の選手にチャンスがない」と言って、⑦深谷と連携しないことを決めました。私もこれを支持します。郡司が「深谷さんの後ろ」と言ったら、他の選手は何も言えない。郡司自身が決断する以外なかったと思います。それと①郡司が⑦深谷と先行争いするかどうかは別物です…。

 私は、①郡司の走りは3番手、単騎の②清水を入れたとして、4番手を確保するレースになると思います。彼は、松井宏佑(神奈川・113期)が先行して番手捲りで2020年の競輪祭を獲りました。その翌年、地元川崎全日本選抜競輪で深谷知広の番手から二度目の優勝。番手捲りで2つタイトルを獲った上で大切なことは、他の選手にも希望を与える走りをすること。

 2021年平塚GIII決勝、郡司の番手は平塚がホームバンクの番手が和田真久留でした。神奈川のエースですから自らの優勝を掴むのは当然のこと。問題は和田にもチャンスが来る走りが出来なかった。和田にも優勝するチャンスを与えていたら、郡司はもっと持ち上げられGIの成績はもっと違ったものになっていたはずです。過去に南関の自力選手の「幸せ配達人」をしていた頃とは違い、大物になり過ぎたのも原因でしょう。賞金争いでも一歩出遅れている①郡司は、人のことまで気にする余裕はないと思います。もしそうでなかったら、素直に郡司を讃えます。

S.⑨③ ①⑤④⑥ ② ⑦⑧

 先行にブレないのは⑦深谷なので、枠がいい②清水や①郡司は、⑦深谷の3番手が欲しいでしょう。⑦深谷の動きに併せて①郡司が動きます。

     ←⑦⑧
残り2周.①⑤④⑥ ② ⑨③

H.⑦⑧ ①⑤④⑥ ② ⑨③

 今節、抜群の気配を誇る⑦深谷を①郡司が捲れるでしょうか。難しいと思いますよ。自力は4人いますけど、⑦深谷が先行一車の構成です。

         ←⑨③
B.⑦⑧ ①⑤④⑥ ②

 ここから導かれる狙い目は…。

7ー8=21
7=21ー125

 ②清水も再浮上のきっかけが欲しいので、当然狙いにいくでしょうから⑦深谷ー⑧田中晴基の後ろは、誰でも狙いたい位置なのです。

 これで、⑦深谷が俄然有利になったことでしょう。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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