閉じる
伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【オールスター競輪予想】前受けはリスクもあるが…ナショナル寺崎はどうするか/ヤマコウ展望

2022/08/15 (月) 15:00 30

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 オールスター競輪、決勝メンバーが出揃いました。日本選手権とオールスター競輪は、選手も気合いが入っているので迫力があり、寺崎浩平と菊池岳仁らが本格化してきました。ナショナルチームを辞めた菊池と、今もそこで頑張っている寺崎。進む道が変わっても強くなるには根拠があります。菊池は「何が何でも先行」をやめて、緩急を付けられるようになったこと。対して寺崎は、脚力に特化して鍛錬し、豊富な資質が花開いたことです。これからどうなっていくのか楽しみです。

 メンバー、ライン構成は以下の通り。

⑥寺崎浩平(福井・117期)ー⑨脇本雄太(福井・94期)ー①古性優作(大阪・100期)
②松浦悠士(広島・98期)
⑤吉澤純平(茨城・101期)

⑧新山響平(青森・107期)ー④小松崎大地(福島・99期)ー③守澤太志(秋田・96期)ー⑦成田和也(福島・88期)

 決勝は2つラインができました。どちらかが前を取って突っ張ればもう一つのラインを潰せます。前受けのリスクは、後ろのラインが赤板(残り2周の線)目掛けて全力でかますと叩かれることです。それでも⑥寺崎は前を取ると思います。後ろ攻めで⑧新山に突っ張られたら、同郷でナショナルチームの先輩の⑨脇本、グランプリユニフォームの①古性に合わせる顔がない。⑥寺崎の取る戦法はただ一つ、前受けからの突っ張り先行です。

S.⑥⑨① ② ⑧④③⑦ ⑤

 この体勢で突っ張られると、北日本勢は全滅する恐れがあるので⑧新山は全力で叩きに行くでしょう。問題は⑨脇本がしっかり追走できるかどうか。⑨脇本は生粋の自力選手なので、ピッタリ追走することに慣れてません。どうしても半車空けて追走します。そして、近況位置取りも意識している⑧新山は、⑥寺崎に突っ張られると、半車遅れて追走する⑨脇本に「引こうとしているのかな?」と言う気持ちも相まって横で並走するでしょう。

   ←⑧④③⑦
打鐘.⑥⑨① ② ⑤

 ⑨脇本は内に包まれ、外並走の④小松崎の自転車の進みも鈍ります。その時フリーになっているのは②松浦⑤吉澤です。緩んだところを一気に捲るチャンスが来ます。

  ←④③⑦  ②⑤
   ⑧
H.⑥⑨①

・狙い目
2=5ー317
2=3ー4715

 新山、寺崎は28歳、競輪選手として一番脚力が充実する年齢です。30歳を越えると必ず脚力は衰え、それを経験や知見でカバーし長くトップで走る術を得ます。その大切な時期を、何回もタイトルを取った選手の前で発進して、自分が弱くなったら後輩に助けてもらう図式はおかしいと思います。「自分がタイトルを取って、次はこの人に…」が本来ある姿だと思います。何のために先行するのか?人の為が優先され過ぎて、本来ある競輪の面白さが消えています。もっと競輪の奥深さを見せて欲しいと思います。

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

伝説ヤマコウ 炎のレース展望

山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

閉じる

山口幸二コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票