2022/07/31 (日) 12:00 6
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は弥彦競輪場で開催されているふるさとカップの決勝レース展望です。
【ふるさとカップ】の決勝に進んできた9名ですが、地元の諸橋選手、追加参戦となった荒井選手、準決勝を勝利した成田選手と、平原選手と40代の選手が4名と、ベテラン選手が揃いました。中でも注目したいのが現在賞金ランキングで10位と、グランプリ出場圏内にいるのが荒井選手です。
荒井選手は今年44歳。年齢的にもグランプリ出場は残り少ないチャンスとなっていますが、練習と休養、身体のケア、自転車のセッティングなど、全てが充実している印象を受けます。
また、どのレースでも落ち着いて走れていますし、準決勝でも福島の3車に切り替えてから、大外強襲で3着に来ているあたりからは、コンディションの良さもうかがえます。
荒井選手は、同年代の佐藤慎太郎選手の活躍も刺激になっているのでしょう。今後も年齢を感じさせないような熱い走りを見せてくれそうです。
ベテランの頑張りとは対照的に残念だったのが、準決勝の菊池選手でした。あんなところで強引に動いていって、その結果、アンコになって落車するとは誰もが思ってなかったはずです。
そのアクシデントがありながらも、自分から仕掛けていきながら2着となり、決勝に進んできた平原選手はさすがでした。その平原選手を含めて、関東ラインはこの決勝では4車で連係しています。
並びは前から順に吉田選手-平原選手-諸橋選手-横山選手。また、福島の3名は飯野選手-小松崎選手-成田選手の並びとなり、荒井選手は三谷選手の後ろとなりました。
一見、先行してきそうなのは4車となった関東ラインに見えますが、吉田選手としては、後ろに同じS級S班の平原選手も付けていますし、捨て身の先行はあり得ないと思います。
となると先行してくるのは、福島ラインの先頭を任された飯野選手ではないかと見ています。前受けをするのは1番車に諸橋選手がいるだけに、関東ラインとなりそうです。
その後ろが三谷選手-荒井選手で、7番手から飯野選手が先行体制に入るはずです。その福島の並びで注目したいのが、準決勝でバックを取った小松崎選手が番手となった点です。
これは飯野選手の後ろから番手捲りをしてくる狙いなのでしょうし、この作戦が決まるようだと、4車と言えども関東ラインは苦しくなります。
三谷選手は荒井選手が付けてくれたことで、飯野選手の後をついていくだけでなく、一度インを切ってから、飯野選手の仕掛けを待つ判断もできます。それでも吉田選手はまだ6番手ですし、そこから早めに巻き返していくのは可能かと思います。
吉田選手がスピードの違いで福島ラインを捲り切った時には、番手に付けた平原選手の出番です。直線で前を行く吉田選手を交わし去っての優勝。2着候補には吉田選手だけでなく、諸橋選手も加えておきたいところです。
ただ、小松崎選手の番手捲りが決まった時には、関東ラインは吉田選手しか届かない可能性も出てきます。それを見越して吉田選手が頭で、相手に平原選手と小松崎選手となる三連単も買っておきたくなります。
いずれにせよ、関東ラインと福島ラインの二分戦が濃厚となるだけに、その狭間に入った感もある、三谷選手と荒井選手の出番は少なくなりそうです。ただ、百戦錬磨の2人だけに、何とかしてくれるのではとの期待もしています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。