2022/07/27 (水) 12:00 20
弥彦競輪場で開設72周年記念「ふるさとカップ(GIII)」が7月28〜31日に開催される。6月岸和田競輪の「高松宮記念杯(GI)」で決勝に進出した諸橋愛(45歳・新潟=79期)が、今年も地元記念に挑む。67、68、69周年大会を3連覇。無論、主役だ。
高松宮記念杯の準決が諸橋らしかった。まず、並びの面で熟考。時間が限られる中で『単騎』を選択した。今回出走する吉田拓矢(26歳・茨城=107期)がいて番手は吉澤純平(37歳・茨城=101期)が番手。当時、栃木所属だった隅田洋介(岡山=34歳・107期)が一人でいた。
吉田、吉澤の茨城勢との連係は多く、こちらの3番手が自然。
しかし、この準決は2着権利(4個レースの内、3着1人が決勝に上がれるが、諸橋の立場としては2着が欲しい)という状況だった。GIは「決勝に上がることがまず、すべて」が信念、どうするか…悩んだ末の決断だった。
この決断ができるのか、そして、その上で戦えるのか…。人生においても、さまざまな決断の場面が迫られるが、攻めの決断ができるかどうか…。
諸橋はその準決のレースは単騎で前々に位置を確保してきっちり2着で入線。決勝の椅子を確保した。
「残された時間は少ないんで」と決勝を前に悲壮な表情だったことを思い出す。地元記念にしてもそうだろう。いつまで優勝争いができるのかーー。
昨年、70周年大会は生まれ故郷の新潟ということで平原康多(40歳・埼玉=87期)が喜びの優勝を遂げた。平原ももう40歳。全くその年齢を感じさせないのだが、それはやはり、“ひとつのレースに対し常に変わらないから”だろう。
自分がやるべきことに集中し、一切緩めることがない。“このレースはまあ仕方ない”がない。
自身に厳しくそれを課すからこそ、いつまでも若い。大きな責任を負い続ける中で、称賛しかない。今年も期待に応える、それだけだ。
関東勢が充実する中で、荒井崇博(44歳・佐賀=82期)の追加参戦が面白い。26日に最終日を行った佐世保記念(九十九島賞争奪戦)を山田庸平(34歳・佐賀=94期)が制した。九州の力で、中川誠一郎(43歳・熊本=85期)と井上昌己(43歳・長崎=86期)と3人でつかみ取った。
すでにKEIRINグランプリの出場権は、賞金での争いが激化している。荒井も同県の後輩ではあるが、山田と競っている位置にいる。残りのGIは3つ。現在、古性優作(31歳・大阪=100期)が2つ勝って、脇本雄太(34歳・福井=94期)が1つ。
重複が出ているので、賞金の枠が1つ増えている形だ。
そして、ワッキーの強さを考えるともう1つ、2つ…も考え得る。今年、より激化しそうなKEIRINグランプリの出場争い。佐世保の山田の優勝が加速させたことで、今回の弥彦もそこにすでに注目が集まる。平原、吉田、そして諸橋もまだまだチャンスのある位置にいる。
Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitterはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。