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【オールスター競輪】守澤太志インタビュー前編「勝つためには何でもする 自己流を捨て僕は生まれ変わった」

アプリ限定 2022/08/05 (金) 18:00 32

昨年から競輪界の"トップオブトップ”S級S班9人の1人として奮闘を続ける守澤太志選手。今年は怪我の影響や1か月の斡旋停止がありながらも、粘り強い走りを見せ、賞金ランキングはグランプリ出走圏内の8位。後半戦での巻き返し、そして目前に迫ったオールスター競輪での活躍が期待される守澤選手にお話しを伺いました。インタビュー後編はこちら

(取材・文=八角あすか/アオケイ)

オールスター競輪前にリモートインタビューに応じてくれた守澤太志選手

レース中の駆け引きや自転車を進ませる技術はロードの経験が活きている

ーー自転車との出会いを教えてください。

 自転車を始めたのは高校からです。たまたま、近くに自転車競技部の強い高校(大曲農業高)があって。その頃は競輪も知りませんでしたし、とりあえずやってみようかなと思って始めた感じですね。

ーー種目は?

 ポイントレース(※)です。高校生は24㎞を走ってポイントを競う種目です。あとはロードレースを。中長距離種目をやっていました。

※約20名で2km毎に1回、通過順位で与えられるポイントの合計点を競う種目。

ーー大学へ進学してからも競技を続けられ、その頃から競輪選手になる意識を?

 自分は自転車しか仕事していく選択肢がなかったので、ロードレーサーになるか、競輪選手になるか。どちらにしても自転車で食べていこうとは考えていましたね。

ーー競輪選手への道を選択したのはなぜでしょうか?

 高校のときからロードをやっていて、ツール・ド・フランスに憧れていたんです。でも、日本で出場となるとレベルが全然違いますし、ロードで食べていくのは金銭的にも厳しい。それに引退の年齢も早くて。僕の同級生は、もう誰もやっていないんじゃないかな。それに比べて競輪選手は賞金も稼げるし、選手寿命も長い。50歳を過ぎても練習されている選手も多いですし。そういう点では仕事としてみたら、競輪選手の方が魅力があるなと感じ、この道を選びました。

ーー競輪選手になって良かったと感じていますか?

 思いますね。きっとロードレーサーを選択していたら、もう引退しているだろうし、ツール・ド・フランスに出場できるような選手にはなれていなかったと思う。それに競輪選手として、自分が思っていたよりも成功できているので良かったなと思います。

競輪界約2,300人の頂点に君臨するS級S班の9名。前列左から2番目が守澤選手(撮影:島尻譲)

ーーロード出身の守澤選手ですが、競輪でプラスになっている点は?

 ロードレースは基本的に長い距離を走るので、その分、ラクに自転車を進ませる技術が求められます。自転車の種類は違いますが、競輪においても、ロードレースで培った技術を生かして走れているとは感じますね。あとは、ロードには駆け引きの要素があって。相手の顔色を伺い、自分がキツイと感じる場面でも、相手がキツそうだから勝負に出るだとか、色々な駆け引きを覚えることができた点は良かったですね。

 ロードは集団で走るんですが、エースを決めて他の選手はアシストに回って、各々が自分の役割を果たしながら優勝を目指します。競輪も全員が1着を目指すけど、先行選手、番手、3番手、4番手もそれぞれに役割があるので、「しっかり考えながら走る」という点は共通していると思います。

ーー守澤選手が感じる競輪の魅力はどういったところですか?

 人と人が走るスポーツなので、選手間の人間関係がすごく重要になってきますよね。人間臭さが魅力かなと。でも、競輪を始めたばかりの方にとっては、ラインが分かりづらく感じることもありますよね。人間関係の背景的なところが魅力だとは思いますが、同時にそこまで理解しないといけないとなると難しいのかな、って。なので、ラインのないガールズケイリンや新しく始まったPIST6など、色々な切り口から入っていけるのは魅力的だと思います。

身体の使い方を見直したことが飛躍のきっかけに

ーー普段の練習はどのようにしていますか?

 ここ2年くらい、ほとんど外へロード練習に行くことはなくなりました。ズイフトで短いレースに参加していたりします。始めたキッカケはコロナの影響もありますが、選手同士で勧められて。ダラダラと1人でロードに行くよりも、全然キツイ。それに夏は涼しい室内でできるので、集中力を切らさず走れますしね。

ーーズイフトは多くの競輪選手が参加していますよね?

 競輪選手が集まったレースに参加すると、必死。「あいつ弱かったな」と言われるのが嫌なので、頑張っちゃうから本当にキツイ(笑)。

ーーライバルはいますか?(笑)

 大西健士さん(88期)!結構強くて。たまに勝てるんですが、大体負けるのは自分。大西さんと一緒のレースになると、かなり気合が入る。何とか負けないようにと勝手にライバル視しています(笑)。

ーー練習拠点を静岡・伊豆に移されましたよね?

 もう伊豆を拠点にして5、6年くらいになりますね。たまにバンクで練習することも。CSC(サイクルスポーツセンター)で練習するときは、渡邉一成さんや高橋晋也君とやっています。地元の選手の方もいるので、その都度いるメンバーでやる感じですね。元ナショナルチームの一成さんがナショナルチームでやってきたことを生かして、競輪にも繋がるような練習メニューを組んでくれるので凄く勉強になっています。

ーー伊豆に移したキッカケは?

 行きつけの整体があるんです。ずっと昔からお世話になっている先生がいて、自転車の乗り方などを教えてもらっています。その先生に診てもらって、アドバイスをいただくようになって強くなっていったんです。

ーー自転車の乗り方ですか?

 それまでは自己流でやってきたので、足の指や足首の動かし方を意識して、自分の身体に適した乗り方にシフトチェンジしました。すぐに定着はしないので、感覚が噛み合うまでの4、5年は地道に試行錯誤を繰り返しながらやってきました。

 すぐに成績には結び付かないけど、感触が良くなっていった実感があった。例えば、今までは足首を動かして自転車に乗っていたけど、自分でもこの乗り方って本当に良いのかな?とずっと思っていて。それが、先生のアドバイスのとおりに乗ってみたら、こっちの方が絶対に自転車が進みそうだな、という手応えを感じました。

ーーその先生は元競輪選手ですか?

 違います。でも、先生に診てもらっている競輪選手は多いです。マッサージの腕も確かですし。先生自身は自転車の経験がないので、固定概念がないのが良いんだと思います。

自己流を捨て、試行錯誤しながら身体の動きを見直したことが、選手としての成長とS班につながった(撮影:島尻譲)

ーー身体の使い方をかなり意識されていますが、自転車のセッティングやフレームにこだわりはありますか?

 自転車は空気抵抗との戦いなので、極力、軽量化できるように細かい工夫はしています。少しでも1cmでもいいから進んでくれたら、勝てるかもしれないので。できることは、ほぼやっていますね。

 フレームに関しては…こだわりはないですね。カラーリングは、格好いいロードレーサーを見つけて、こんな感じでお願いします!と、ざっくりオーダー(笑)。以前は年間に1本作るかどうか。S班になってからは年間3、4本。基本的には新しいものを使っています。寸法が合わないときは一つ前のものに戻したり。新車が届いて乗ると、確かに進むんですけど、修正したい箇所が出てくる。そこを細かく修正していく感じですね。今、使っているフレームは武雄記念あたりから使い始めたもの。オールスターも換えずに同じもので挑みます。

インタビュー後編では、マーク選手として活躍する守澤選手の競輪観や個性的な髪色や食生活などのプライベート、目前に迫ったオールスター競輪に向けての意気込みを語ります。公開は8月6日(土)18時です。

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