2022/07/18 (月) 15:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は玉野競輪場で開催されているサマーナイトフェスティバルの決勝レース展望です。
【サマーナイトフェスティバル】が開催されている玉野競輪場は、今年の2月に場内施設を対象としたリニューアル工事が完了。選手宿舎を兼ねたホテルも建設されました。
選手たちも快適な施設でレースに臨めるだけでなく、宿泊される方も海に隣接しているホテルだけに眺めも最高なはずです。しかも、バンク側の部屋からはレース観戦も楽しめますし、競輪ファンなら誰もが宿泊したいホテルではないのでしょうか。
ただ、傾斜が緩いというバンクの形状は以前と変わりは無く、その上、直線も短いので捲りづらいバンクともなっています。それにもかかわらず、2日目は風の影響もあったのか、人気を集めていた先行選手が残せずに、高配当も続出しました。
初日からのレースを見ていても、直線の外は伸びる傾向がありました。結果的にも4コーナーまでに捲りきっているか、遅めの捲り追い込みで直線勝負にかけた選手が、車券に絡んでいた印象を受けます。
その中で準決勝でも先行を見せて、決勝へと進んできたのが犬伏選手です。
しかもレース内容も圧巻で、準決勝でも先行体制に入った眞杉選手を、ホームからのダッシュ先行で一気に交わしきっての3着。スプリンターらしい踏み出しの良さは、ラインの3番手を固めていた園田選手が離されてしまう程のスピードでした。それについていった松浦選手はさすがだと言えます。
決勝の並びは犬伏選手-松浦選手の中四国ライン、新田選手-佐藤選手の福島ライン、岩本選手-和田選手の千葉ライン、山田選手-荒井選手の佐賀ラインと4分戦となり、森田選手は単騎となりました。
この中で先行意欲が強いのは、やはり犬伏選手と言えるでしょう。それだけに、中四国ラインの後ろを誰が取るのかがポイントとなります。
スタートを取るのは1番車を引いた新田選手になりそうです。そうなると、犬伏選手が3番手、岩本選手が5番手、その後ろには森田選手、そして山田選手かと思います。前を抑えに行くのは位置が悪い山田選手となりますが、そこで岩本選手がインを切ったところを、犬伏選手が一気に先行していくはずです。
この展開となった時に、中四国ラインの3番手に付けられそうなのは岩本選手です。
今大会の岩本選手は初日の予選で先行した町田選手を捲り切って、10秒8の時計も記録しており、準決勝でも3番手から直線で伸びて2着に入着。出来の良さは明らかです。 展開的に有利なのは、犬伏選手の番手を回っている松浦選手ですが、この展開となれば、岩本選手も充分に車券圏内へと入ってきます。
ただ、新田選手が前受けを嫌った場合、前受けをするのは犬伏選手となります。山田選手が抑えにかかり、岩本選手のイン切りも一緒ですが、この展開だと新田選手が中四国ラインの後ろに入れます。
ただ、その位置とは言えども、今大会の犬伏選手の先行を、新田選手が捲り切るのは大変と言えそうです。
初日は前を行く小原選手の後ろからの番手捲り、準決勝も捲りを見せて連勝していますが、共に展開に恵まれた印象もあります。
前検日の落車による欠場から、高松宮記念杯を挟んで出走してきた新田選手ですが、本人のコメントにもあるように、まだ完調までは至っていない印象を受けます。
それならば、新田選手の後ろを回る佐藤選手に妙味があります。森田選手は先行したラインの後ろから捲りを狙ってくるレースになりそうですし、佐賀ラインの先頭を任せられた山田選手は、荒井選手が後ろにいるだけに、必ず見せ場を作ってくるはずです。
本命は地元かつ、サマーナイトフェスティバル2連覇がかかる松浦選手となります。ただ、中四国ラインの3番手を取ったラインから2着、3着候補を入れた上で、広めに流しておいた方が、高配当を狙えそうです。
今大会のガールズケイリンは見どころのあるレースが続いていますし、決勝佐藤(水菜)選手、児玉選手、そして尾方選手の3人の走りが楽しみです。
またS級S班が出走している特秀競走だけでなく、特選競走にも自力型の若手の戦いが繰り広げられそうなだけに、こちらも面白いレースとなりそうです。祝日のナイター開催でもありますし、現地に行けない方も中継などを通して、【サマーナイトフェスティバル】を楽しんでください。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。