2022/07/15 (金) 12:00 8
玉野競輪の「第18回サマーナイトフェスティバル(GII)」が7月16日に開幕する。12、13日には玉野競輪のPR部隊がスポーツ新聞各社を回り、開催の挨拶を行っていた。選手として参加していたのが片岡迪之(35歳・岡山=93期)だ。
日本競輪選手会岡山支部の幹事を務め、またそのルックスからの選抜でもあろう。しかし、今大会には補欠のところに位置しており、各社を回っている時は出場できない状態だった。
その中で「久しぶりの玉野のビッグレースなので盛り上がってほしい」とアピールしていた。
少し陰のある表情は「走れない…」というとことからだったと思う。だが。欠場者が出てしまってなので素直には喜べないものでも、繰り上がり出場が決まった。レースで、走れる喜びを爆発させてほしい。
東西王座戦が開催されたのが2010年2月のこと。公的な役所の建てつけだと、2009年度の開催に当たるため、2022年度の今年は13年ぶりという表記になる。ともあれ肝心の王座戦の方の記憶はあやふやで、同時開催のS級シリーズの方を鮮明に覚えている。
S級決勝を優勝したのは深谷知広(32歳・静岡=96期)で、脇本雄太(33歳・福井=94期)、坂本貴史(33歳・青森=94期)と、まさにこれからの若者が揃っていた。“誰が一歩抜きんでるか”の戦いを制したのは深谷。
2009年7月にデビューしたばかりの深谷に対し、露悪的な表現で申し訳ないが、94期の2人が“かませ犬”的な役割を強いられたレースだった。ワッキーですらそんな時代があったのだ……というか結構、多かった…。脇本雄太は苦労人です。ダイジェストがkeirin.jpに残っているので、ぜひ見てほしい。
その時の東王座を制したのが武田豊樹(48歳・茨城=88期)で、西王座は市田佳寿浩さん(引退=76期)だった。時は、流れた…。今回、ワッキーなどちょっと名前がなくて寂しいところもあるが、S級S班9人が揃って、華やかに競う。
称号「第18代夜王」を襲名するのは、誰か。当コラムは予想的なことはやっていないが、たまには優勝者を予想してみよう。……。推理の軸は、若手が初日を勝ち上がり、準決で有利な位置を回る上位選手。自力のあるS班選手が有望だが、そんな予想をする体ではもはやない。
新山響平(28歳・青森=107期)!
若手がガツガツにレースを動かす準決を新山よりも若い誰かが、泥臭く勝ち上がるシーンが浮かんできた。そして、ビッグレースの決勝でついに新山の前に誰かがいるーー。
「夜王」感の全くない、さわやかな土曜日の昼番組のMCのような新山が、夜の光を浴びる。
男子は瀬戸内で起こる北のドラマに期待しつつ、ガールズケイリンフェスティバルは一切笑顔なしの戦いだろう。フェスティバルだが、誰もが祭りのセンターの座を力ずくで奪いに来る。
サンバカーニバルで華やかに踊るダンサーたちが前に出ようと、見えないところで肘打ち、頭突き、尻つねり…と、いやいやヨコの動きはダメですよ! これから何度も書こう。ルールに準拠した、『タテに踏む戦いで』だ。
力で制す夜の女王の誕生。このシーンが、ガールズケイリンのこれからの10年に勢いをつけるシリーズとなるはずだ。この大会に出る選手はみなその力を持ち、この大会を制することができる選手は、その道を示すことになる。
ガールズケイリンの、これからをーー。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。