2022/07/11 (月) 12:00 24
福井競輪の開設72周年記念「不死鳥杯(GIII)」は10日、最終日を行った。4ヶ月のあっせん停止からの復帰戦だった菅田壱道(35歳・宮城=91期)がいきなりの優勝。北日本の絆の勝利だったが、決勝のメンバーにちょっと“綾”があった。
3日目(9日)の準決10Rの直前、福井競輪場は豪雨に見舞われた。冠水してしまい、公正安全なレースはできない…との判断で準決3個レースは中止となった。中止の場合は規定により、抽選で決勝進出者が決まる。
「ガラポン」と呼ばれる、商店街の福引きのガラガラと回すものと一緒で、一例には1〜50の玉が入っていて若い方の数を出すと上位認定されるというもの。競輪界においては古くからある抽選方法のひとつだ。
かつてはB級があったころ。全4個レース制で、準決は2つ。9車立てなので、準決5着の2人がガラポンをやるというシステムだった。今回のような中止の際に見なし着順を設定するためにも用いられている。
味わいのある昭和のシステムといえるだろうが、今回の福井の件を経て、『選考』という考え方を用いる時が来たと思う。
昨年、2021年10月の平塚記念(湘南ダービー)の時に、実際の“時”は来ていたのかもしれない。2日目が悪天候のため順延となり、二次予選は次の日に繰り越された。その時「途中で中止になって、郡司(浩平)とか、抽選で二次予選で漏れたら大変だ」という話は上がっていた。
その時は4Rまで行われ、その日のレースはそっくり順延となったので恐れていた事態にはならなかったわけだが、今回は……なった。時折そうした場面はあったが、ある程度、丸く収まってきた。
準決の抽選で優勝候補の脇本雄太(33歳・福井=94期)と松浦悠士(31歳・広島=98期)が漏れた。2人とも規則に明るいタイプで、もちろん文句など言わない(愚痴くらいはこぼすだろうけど)。最終日もしっかり走って1着で期待に応えた。今回は今回でやむを得ないが、動くタイミングだ。
競輪の勝ち上がり規定の基礎として、前走着順というものがある。前の日に走ったレースの格(特選、一次予選など)、そして着順、競走得点、勝率、連対率、当該期間の獲得賞金額…といったものがある。
抽選の不公平感のないものを、選手が培ってきた成績、頑張ってきたもので置き換えることは可能だろう。選手サイドからしても、アクシデントがあった時に判断基準となるのは「これまでの頑張り」であれば、不公平感はない。
個人的にはアクシデンタルなドラマを生む「ガラポン」は大好きなのだが“選手は常に正当に評価されるべき”ということを思うと、制度修正は必須だろう。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。