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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【阿波おどり杯争覇戦予想】能ある鷹・小倉竜二の一声で地元別線へ、勝利の栄光を掴むのは/ヤマコウ展望

2022/07/03 (日) 12:00 25

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 小松島競輪GIII阿波おどり杯争覇戦、決勝戦を迎えました。

 メンバーとライン構成は以下の通り。

②眞杉匠(栃木・113期)
③松浦悠士(広島・98期)ー④室井健一(徳島・69期)
⑤山田庸平(佐賀・94期)
⑥高久保雄介(京都・100期)ー⑧志智俊夫(岐阜・70期)

⑦太田竜馬(徳島・109期)ー⑨阿竹智史(徳島・90期)ー①小倉竜二(徳島・77期)

 決勝戦の特徴は、地元徳島勢が2つに分かれる事です。変則的な並びなので、時間を要したように見えますが、①小倉が瞬時に判断してこの並びとなりました。私は、何に対してもブレないオグの姿勢が、カリスマ性を高めているのだと思います。競りも一流の彼は「俺は専守防衛の自衛隊やから」と言って、決して自分から刀を抜きません。横が弱ければ話になりませんが、横も強いので説得力が増します。「能ある鷹は爪隠す」を地で行っているのです。

 後輩へのアドバイスも愛情があり、簡単な一言で相手にわかりやすく瞬時に伝えます。例えば原田研太朗には「誰でもこんな時期はあるから、これからどうするかやね」と話していました。研太朗自身に、何が足りないかを考える余地を与えています。今回の並びも「健さんは松浦の後ろでいいやろ」と即決しました。こんな師匠を持つ阿竹や犬伏は幸せだと思います。

 さて、決勝はどんなレースになるでしょうか。普段連係している中国、四国勢が別線で走ります。③松浦は「別線になった以上はガチンコ勝負」と言っていますが、⑦太田とやり合ったら②眞杉や⑤山田の捲りごろになるので、基本的には、太田ラインを出させて中団狙いだと思います。⑦太田はカマして主導権を取りたいので前受け、そこに②眞杉、③松浦と続くでしょう。

S.⑦⑨① ② ③④ ⑤ ⑥⑧

 後ろの⑥高久保が動き、さらに③松浦が動いて打鐘を迎えるでしょうが、問題は最後に動く⑦太田ラインに⑤山田が付いて来るかどうかです。もし付いてきたら、この一車は大きいですから③松浦も難しい判断になると思います。しかし、よく考えてみると、それは⑤山田にとっても得策ではなく、ジッとしていたら②眞杉の後ろが転がり込んで来ます。高松宮記念杯競輪決勝のように、一か八か②眞杉の後ろで優勝を狙うと判断しました。

     ←⑦⑨①
打鐘.③④ ⑥⑧ ② ⑤

        ←② ⑤
H.⑦⑨① ③④ ⑥⑧

      ←② ⑤
    ←③④
B.⑦⑨①   ⑥⑧

 今節、絶好調の⑦太田に対して、②眞杉は自転車の進み具合はあまり良くありません。展開は徳島勢有利に進むと思います。

・狙い目
7=9ー1235

 穴目は、4番手確保の③松浦が捲り、さらに外を捲る②眞杉、⑤山田です。
3=25ー123579

 ⑤山田は、先日行われた高松宮記念杯競輪決勝、自力勝負ではなく古性優作を前に入れて優勝を狙い、2着で終わりました。郡司浩平を叩けなかったことや、古性を入れたことは、要所でムダ脚を使うことが嫌だったのでしょう。今回の決勝は、自ら捲り優勝を狙うのか、それとも②眞杉に乗って優勝を狙うのかが、もう一つの焦点です。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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