2021/02/22 (月) 21:00 7
自らを"歩く競輪辞書"と語り、無類の競輪愛を長年貫いてきたJRA矢作芳人調教師。昨年は53勝を挙げ、最多勝利調教師・最多賞金獲得調教師・優秀技術調教師の三部門を獲得。名トレーナーによる全日本選抜競輪の渾身予想を公開します。
以前は特別競輪と呼んでいたGI競走、何と55年振りの開催となった川崎競輪場は実に独特の雰囲気を持つ空間だっただけに無観客となったことが何よりも残念であった。ただ、強い風に翻弄されながらも初日から勝ち上がり戦は熱いレースが続き、決勝メンバー中7人がGIウイナーという実績充分の選手たちが決勝戦に到達した。GI覇者以外の2人もグランプリ経験者であり、これだけのメンバーが揃うGI決勝戦は珍しい。
レースは共に2段駆け態勢を取れる南関勢対中国勢の叩き合いを平原康多が捲るという2日目のスタールビー賞と同様の展開が予想される。
先鋒を務める深谷知広と清水裕友、共に先行意欲は満々だろう。深谷は静岡に移籍して初のGI、そして準決勝を上がり11,2秒の好タイムで逃げ切って自身の出来に自信を深めている。ノッている時の深谷は怖い、しかも番手をまわる純地元の郡司には差されても良い心境が推測される。主導権を握る候補としては最有力だろう。
対する清水も完全に復調してきた。準決勝は松浦悠士と2人ともワンツーを決めるんだという気持ちが伝わってくるレースだった。松浦が援護から残し気味に踏んでくれたこともあり、こちらも風を切る覚悟は十分だ。清水が逃げれば松浦の頭で、取りこぼしは考え辛い。
平原は両ラインの叩き合いを睨む立場であるが、ただ展開が向くのを待つのではなく、常に前々に踏んで最低4番手は確保してくるだろう。その経験値は他を圧倒する。
これだけのメンツだけに印は迷いに迷ったが、深谷のカマシ最有力と考えて、◎は地元制覇を狙う郡司浩平、○は力で松浦、▲巧さを見せる平原で、△単騎の守澤太志、×は松浦マークの園田匠とした。車券は力の両立⑦=②から③⑤⑥⑧を本線に据えて、清水主導権の時の松浦の頭②→③⑥→③⑤⑥⑦⑧を押さえたい。力勝負の激戦を期待している。
◎郡司浩平
〇松浦悠士
▲平原康多
△守澤太志
×園田匠
3連単⑦=②→③⑤⑥⑧、②→③⑥→③⑤⑥⑦⑧
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矢作芳人
Yahagi Yoshito
東京都出身。栗東で開業するJRA調教師。父は大井競馬の矢作和人元調教師。東大合格者数日本一の開成中学・高校に入学するも、大学には進学せず競馬界を志す。オーストラリアでの修業の後、JRA競馬学校厩務員課程に入学。厩務員、調教助手を経て、2004年に超難関の調教師試験に合格。翌年厩舎開業。これまで日本ダービー2勝(ディープブリランテ、コントレイル)、米ブリーダーズカップ2勝(ラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌ)、優勝賞金13億6000万円のサウジカップ(パンサラッサ)など国内外のGlを多数勝利。2022年は59勝で通算5度目のリーディングトレーナーに輝いた。日本・世界を代表するトップトレーナーにして、年間365日のうち360日は車券を買うという、底知れぬ競輪愛の持ち主。