2020/12/28 (月) 20:30 16
自らを"歩く競輪辞書"と語り、無類の競輪愛を長年貫いてきたJRA矢作芳人調教師。本業では管理馬コントレイルが3冠の偉業を達成。緻密な厩舎運営で53勝を挙げ、3度目のリーディングトレーナーに輝くなど絶好調だった2020年。その勢いに乗ってKEIRINグランプリの予想を披露いたします。No.1調教師の結論は!?
中央競馬は全日程が終了、掉尾を飾る有馬記念はファン投票1位のクロノジェネシスが優勝した。
有馬記念は好きな馬、その年お世話になった馬や騎手を買うのが自分の周囲では定番のようだが、競輪グランプリも今年最も貢献してくれた選手を応援したい気持ちが強い。
そうなれば1月から20回連続決勝進出、抜群の安定感で常に全力で戦ってくれた松浦悠士である。もちろん心情だけの予想ではない。例年なら応援的心情と純粋な予想の狭間で揺れ動くものだが、今年の本命◎に松浦を指名するには迷いがなかった。
まずは枠順が有利だ、3枠ならスタート速い松浦は道中思い通りの位置を取りやすい。そして最大のポイントは冬場の夕方16時30分発走という条件である。空気が重く、速い上がりタイムが要求されない。夏場のスピードバンクなら脇本雄太や新田祐大のナショナルチーム組に敵わないが、この条件なら話は別だ。競馬に例えれば府中のスピード馬場と暮の中山の力のいる馬場の違いと言ったところか。パワーとテクニックを兼備した松浦が最大限に力を発揮できる舞台だと考えている。
対抗○は昨年の覇者・佐藤慎太郎である。44歳にしてなおトップで活躍する彼の努力には頭が下がる思いだし、その明るいキャラクターは競輪界に大きく貢献している。いつ会っても皆に元気を与えてくれる好漢なのだ、捲る新田の後ろから直線突っ込んでくる脚に注目したい。
▲はその新田、位置取り悪くともそのスピードは常に脅威となる。いつも支援している福島の保育園の子供達も精一杯声援を送っている事だろう。
△は枠も良く、クレバーな競走をする郡司浩平。オリンピックのメダルを期待していつも応援しているワッキー(脇本)は怪我の影響が残ると見て泣く泣く無印とした。いずれにせよ、この閉塞した世の中にパワーを与えてくれるような熱い闘いを見せてくれ! 全選手の健闘を祈る!!
◎松浦悠士
〇佐藤慎太郎
▲新田祐大
△郡司浩平
3連単③→①⑧⑨→①④⑤⑦⑧⑨
矢作芳人
Yahagi Yoshito
東京都出身。栗東で開業するJRA調教師。父は大井競馬の矢作和人元調教師。東大合格者数日本一の開成中学・高校に入学するも、大学には進学せず競馬界を志す。オーストラリアでの修業の後、JRA競馬学校厩務員課程に入学。厩務員、調教助手を経て、2004年に超難関の調教師試験に合格。翌年厩舎開業。これまで日本ダービー2勝(ディープブリランテ、コントレイル)、米ブリーダーズカップ2勝(ラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌ)、優勝賞金13億6000万円のサウジカップ(パンサラッサ)など国内外のGlを多数勝利。2022年は59勝で通算5度目のリーディングトレーナーに輝いた。日本・世界を代表するトップトレーナーにして、年間365日のうち360日は車券を買うという、底知れぬ競輪愛の持ち主。