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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【高松宮記念杯競輪決勝予想】落車・番手まくりの多い今節を振り返る…決勝は北日本ラインに注目/ヤマコウ展望

2022/06/19 (日) 12:00 23

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 第73回高松宮記念杯競輪GI決勝メンバーが出揃いました。

 私は競輪選手OBであり、競輪解説の仕事をしています。ファンの皆さんが「車券を当てることが大切」という気持ちも分かると同時に、元選手として、競輪の何が面白いかを常に考えています。「何が面白いか」という観点で見ると、今回のレースはあまり面白くありません。落車と番手まくりが多いからです。

 落車は、ファン自身が買った車券の顛末を見ることなく強制終了させられ、モヤッとした気持ちが次のレースの購入をためらわせます。落車したい選手はいないので不運な部分はありますが、むやみやたらに、当たったり内に入ろうとすることはテクニックではなく、ただ無謀なだけです。競りにも中割りにも方程式があり、そこが分かってないから「かぶるなら出てしまえ!」となる訳です。そして番手まくりに繋がります。

 地元でどうしても勝ちたいから番手まくりと、どのレースでも番手まくりは違います。1度や2度なら「よかったねー」と思えても、毎回毎回だと「もうよくね?」となります。番手まくりばかりだから、今回の決勝のように20代が1人もいない決勝になるのです。先行選手が育つ土壌は、いいマーク選手がいることが条件です。「多少早駆けしても番手の選手に守ってもらえる」が先行選手の育つ土壌であり、「垂れたから番手から出させてもらいました」では先行選手は育ちません。ルールと大ギヤが競輪の魅力を削いでいるのであり、ルール改正に舵を切ることが競輪の面白さを伝えることになるでしょう。

 話が逸れましたが、メンバーとライン構成は以下の通り。

①古性優作(大阪・100期)
⑨郡司浩平(神奈川・99期)ー②諸橋愛(新潟・79期)
⑥小松崎大地(福島・99期)ー③佐藤慎太郎(福島・78期)ー④成田和也(福島・88期)
⑦山田庸平(佐賀・94期)ー⑤荒井崇博(佐賀・82期)ー⑧園田匠(福岡・87期)

 自力4選手の中で、打鐘先行できるのは⑥小松崎です。①古性⑦山田⑨郡司は北日本の4番手をまず狙いに行くでしょう。4番手が取れなければ、ダメ元でかまし先行という手段を取ると思います(単騎の古性以外)。⑥小松崎は、前でも後ろでも先行させてもらえると思っているので初手は拘らず、⑨郡司はライン的に中団が取れます。前を取っても後ろを取っても最終的に後方になる⑦山田は、前受けで脚を貯めたいので、前は九州勢で考えます。

S.⑦⑤⑧ ⑨② ① ⑥③④

 ⑥小松崎の動きに併せて、⑨郡司が動いて中団を取りに行きます。北日本に付いていくのは①古性です。問題は、一度動いて北日本を出させる⑨郡司が①古性を入れるかどうか。この両者は5月佐世保全プロ競輪1日目に、新山響平ー成田和也の3番手を取り合いました(結果は1着成田)。この時古性は「郡司は粘らない」と考えていたと思います。しかし郡司は古性と取り合った。これは郡司のフリだったと考えます。GIではない大会で位置取りの厳しさをアピールし、今後に繋げたと考えるのです。ただ、①古性はそれで怯む選手ではない。もし⑨郡司が粘るようなら、番手追い上げまで考えていると思います。

打鐘〜H.⑥③④ ① ⑨② ⑦⑤⑧

 4番手を獲った①古性はどこで捲りに行くでしょうか? 2角なのか、待って3角過ぎなのか…。2角から行けば、今の古性のデキでは③慎太郎に止められる可能性が高いが、待てば地元で見せ場がなくなる。③慎太郎は準決勝のレースを「番手選手として小松崎を残せなかったのは0点」と言っている上に、可愛がっている後輩の⑥小松崎が先行なら、何が何でも止めに行くでしょう。

       ←⑦⑤⑧
    ① ⑨②
B.⑥③④

・狙い目
3=4ー1972
3=19ー248

 ③慎太郎の後ろが尊敬するマーク選手の④成田なら、差されても悔いはないはずです。これこそがラインの絆と思わせてくれるようなレースを期待します。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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