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鈴木誠のハイブリッド展望

【春日賞争覇戦予想】地元中井兄弟の前に立ちはだかるのは、あのベテラン選手/決勝レース展望

2021/02/14 (日) 10:00 5

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラムです。

奈良はダッシュのいい自力型向き

 春日賞争覇戦(GIII・奈良競輪)が行われる奈良バンクは、333バンクの中でも小回りで、直線がとても短く、4コーナーを回るとすぐにゴールが来るような印象がありました。準決勝までのレースを見ていても、バック戦を取れたラインが有利となっています。どの選手も仕掛けのタイミングが早くなる一方で、早めに踏み出したがばかりに後半のスピードが落ちて、捲りが届くこともあるように、展開一つで結果がガラリと変わることもあります。今大会もごちゃつくレースが見られましたが、早めに仕掛けたいという心理の影響もあるのかもしれません。

333バンクの中でも小回りで、直線がとても短く、4コーナーを回るとすぐにゴールが来る奈良バンク。バック戦を取れたラインが有利だ。

 このバンク向きと言えるのが、ダッシュのいい選手、そして長い距離をもがける選手です。ダッシュのいい自力型が稲毛選手、宿口選手、中井(俊)選手。ダッシュ力がありながら、長くもがける自力型が松本選手です。決勝にこの4人が残ったのも、納得がいくところです。

ダッシュ力がありながら、長くもがける自力型が松本貴治選手。今大会も調子の良さが目立つ

地元期待の中井兄弟は展開次第で可能性あり

 並びですが、近畿勢が稲毛選手-山田選手-村上選手で並び、地元奈良の中井兄弟は、弟の中井(俊)選手が前を走り、兄の中井(太)選手がその後ろを走ります。埼玉ラインが宿口選手-武藤選手。そして、今大会は調子の良さが目立つ松本選手の後ろを、福島の佐藤選手が回ることになりました。

並び予想
9稲毛健-8山田久-1村上博
7松本貴-2佐藤慎
5宿口陽-3武藤龍
4中井俊-6中井太

 中井(俊)選手も状態は良さそうなのですが、準決勝の11レースで先に森口選手に捲られたところを見ても、まだ、もろさがあるのではと思わされます。あと、上手さを見せているのが稲毛選手です。調子もいいのでしょうが、準決勝の10レースでも、内が開いたところを一気に先行していきました。ただ、本来のレースぶりは前受けをして、行けるところから行くというスタイルであり、この決勝でも先行は無いと見ています。

 自力型4人の中で先行をするのは、松本選手となりそうです。体調の良さだけでなく、前を佐藤選手に任されているだけに、思いっきり踏み出していくはずです。宿口選手だけでなく、中井(俊)選手も捲りを得意としており、そして中井(太)選手と兄弟で勝ちたいということを考えれば、先行するであろう、松本選手-佐藤選手の後ろを取りにいくのではないのでしょうか。そして、いったん下げた稲毛選手が、その後ろからかましていけるかどうかが、レースの鍵となりそうです。ただ、松本選手のかかりがよくて、稲毛選手が捲れず、そして佐藤選手の後ろを中井(俊)選手が無風で回れるとするのなら、中井兄弟に優勝の可能性が出てくるのかもしれません。

地の利、そして展開を味方につけ、頂を目指す中井兄弟(左俊亮、右太祐)
稲毛選手の後ろを回り、展開面で一発を秘める山田久徳選手

 まとめとなりますが、本命はS級S班らしいレース巧者ぶりを、三日間共に見せている佐藤選手で、対抗が前を任された松本選手。連下は中井(俊)選手で、穴は稲毛選手の後ろを回る山田選手と見ています。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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