2021/02/07 (日) 10:00 4
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は高松競輪場で開催されている玉藻杯争覇戦の決勝レース展望です。
玉藻杯争覇戦(GIII・高松競輪)の決勝ですが、注目の並びは眞杉匠選手-平原康多選手-阿部大樹選手が関東ラインを形成。町田太我選手と 松浦悠士選手が並ぶ広島ラインの後ろには、守澤太志選手が付けました。そして東口善朋選手、瓜生崇智選手、松谷秀幸選手の3名は、単騎での競走を選択しました。
今大会を振り返った時、抜群に動きが良く見えたのが、22歳の眞杉選手、20歳の町田選手と共に若い自力型の選手です。ただ、今大会の状態だけでなく、選手としての力量を見ても、町田選手の方が上ではないかと見ています。町田選手は養成所時代に3度に渡ってゴールデンキャップを獲得しているだけでなく、学生時代は中長距離で活躍したように、スピードを長く持続できる脚を持っています。
その町田選手が先に仕掛けてしまうと、眞杉選手が捲るのは難しいでしょうし、そうなると、後ろの選手にも迷惑をかけてしまう。となると、眞杉選手は単騎の3名を上手く引き連れながら先行して、町田選手をその後ろに置くようなレースを想定しているはずです。眞杉選手が先行する展開になった時に、番手捲りが決まりそうなのが、眞杉選手の後ろを走っている平原選手です。
平原選手は準決勝でラインを決勝に残すことを意識したような、余裕のある走りを見せていました。同じレースで2着に入り、関東ラインの3番手を固めることになった阿部選手との上位独占も充分に考えられます。なので、本命は平原選手、対抗は阿部選手とします。ただ、眞杉選手が先行体制をとったのを見計らって、町田選手がもがきあう覚悟で一気にかましていくようだと、また展開は違ってきます。
連戦が続いており、100%の状態ではないとは言えども、自力の高さを証明している松浦選手。そして準決勝の走りを見ても、上手さと強さを兼ね備えている守澤選手のS級S班の2人が台頭してきそうです。その展開を考えると連下は松浦選手、穴は守澤選手です。
単騎の3名ですが、2つのライン共に番手が強く、そこで粘っていても勝機は無いので、ラインの切れ目からのレースを考えているのでしょう。その3名の中で注目しているのは、臨機応変さや捌きの上手さなど、レース巧者ぶりを随所に見せている東口選手です。
高松バンクはこの時期でも風の影響をそれほど受けませんし、カントもあるので先行選手も捲りの選手も活躍できるという意味では、オーソドックスなバンクとも言えます。それだけに自力型の眞杉選手と町田選手の主導権争いだけでなく、その2人の後ろにつける、平原選手と松浦選手とS級S班の争いもまた、存分に発揮されるレースが期待できそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。