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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】大楠賞争奪戦に出場する山田庸平選手を解説!

2022/04/21 (木) 12:00 6

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は武雄競輪「大楠賞争奪戦(GIII)」に出場する山田庸平選手を解説する。

⚫︎山田庸平

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長171cm、公式プロフィールでは体重69kgとあるが、現在はもう少し重たいだろう。しかしトップクラスの自力選手の中では、間違いなく小柄な部類に入る。

 実兄は山田英明選手。今や競輪界で最強兄弟と言われている。兄・英明選手は言わずもがな、先行捲りに加え、横の捌きや位置取りにかけても競輪界屈指の存在だ。庸平選手はS級1班でありながら、長らく兄の陰に隠れていた印象だ。

 しかしここ1年で、そのパワーバランスも変わってきたように感じる。今や弟・庸平選手の自力自在戦が進化しているのだ。手脚も身長に比例して特筆するほど長い訳ではないが、モガきフォームは実にレーサー(自転車)との収まりが良い。キレのある捲りはトップスピードも高く、GI準決勝クラスでも充分に通用する。

 さらに番手戦もこなせる。もう少しモガける距離が伸びれば、古性優作選手や郡司浩平選手、松浦悠士選手、清水裕友選手のような、現代競輪の理想と言える選手にも近づくだろう。

 そんなポテンシャルを秘めた庸平選手だが、大舞台で活躍するには若干厳しい状況にある。所属が九州地区と言うこともあり、ラインの厚みが他地区よりも乏しいのだ。理想型は、GI準決勝クラスで九州若手自力選手の番手を回る事だが、その状況にはまだ遠い。ここ暫くは、山田が先頭でゲリラ戦に近い戦いを強いられる状況が続くだろう。

 逆に言えば、この現状が庸平選手を進化させているとも言える。今後もレースの中で存在感を放ち続けて欲しいと思う。

 兄・英明選手もまだまだ最前線で頑張っている。同県の佐賀には荒井崇博選手という優しくてひたむきに努力しているベテラン選手も居る。最高の環境だ。

 大楠賞争奪戦は、山田兄弟と荒井選手のワンツースリーも考えられるだろう。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 SS級選手が5人と、実に豪華なメンバーとなった。その中でもやはり、松浦悠士選手、平原康多選手、吉田拓矢選手と、自力選手が中心になってくる。

 地元九州勢がこの牙城を崩すのはなかなか困難だが、北津留翼選手を中心として、1人でも多くの選手を準決勝に送り込みたい。山田兄弟が4日間番手を回れるのが理想だが、その為には若手自力選手たちの奮起を促したい。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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