2022/04/13 (水) 12:00 11
4月10日に最終日を行った平塚記念(湘南ダービー/GIII)の決勝で、郡司浩平(31歳・神奈川=99期)は失敗した。
明らかに郡司らしくない走りで、レースの流れを作れず自滅した。本人が一番感じていると思うが、一度先頭に立つのが自然だった。ずっとそうしてきた。
打鐘で平原康多(39歳・埼玉=87期)をいつもなら叩いている。「気の迷い」としか思えない。3番手に固執して流れを止めてしまった。こちらの推計によると郡司には33回に1回くらいある失敗レースだった。
一般の社会でもそうだと思うが、100回の成功より1回の失敗の方が取り上げられやすい。郡司クラスになれば、成功するのが普通。失敗すれば、極度に非難される。しかしその失敗は、郡司本人は成長の糧にするもの。ただ、失敗を取り返す姿には、また称賛が送られる。
14日に開幕する川崎競輪のGIII「開設73周年記念桜花賞・海老澤清杯(GIII)」は信頼を取り戻す戦いになる。
とはいえ郡司は一人で背負い込む必要はない。ラインのない競輪であれば一人で頑張るしかないが、男子の競輪はラインがある。南関の仲間は郡司の葛藤が痛いほどわかるだろうし、そこを慰める選手もいれば叱咤する選手もいるだろう。
そうした思いを伝えることが、仲間。
「よし、グンジ、今回はやるぞ」「俺たちも頑張るから」。南関全体がどんな走りを見せてくれるのか、を胸で受け止めてほしい。
でも、厳しい言葉をかけてくれる人ほど、大事なんだよな…。
その存在は内藤秀久(40歳・神奈川=89期)か。“熱い”。昔、「シラケ世代」というのがあって、どんな物事に対しても冷ややかに対応するのが主流と思われた時代がある。しかし、シラケたところで前には進めない。
それにしても平塚記念の決勝は強烈だった。全員のレベルが高いからこそ、郡司が失敗するという事態が起きる。平原康多(39歳・埼玉=87期)と佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)はカッコよすぎた。
すでに気になるオールスターのファン投票だが、この2人の争いとなるのか…。1位を目指している松浦悠士(31歳・広島=98期)もこれからのアピールが必要だし、脇本雄太(33歳・福井=94期)は名実ともにナンバーワンだ。
川崎は下半期から長期の改修工事に入るので、また工事が終わった後の展開が気になる。
一度は見てみたい川崎ダービーか川崎グランプリ。“怖い”と言われたことの川崎はもう過去の話。それでいて、川崎の熱気は変わらない。川崎で起こる何か、が待っている。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。