2022/04/10 (日) 12:00 7
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
平塚競輪開設72周年記念湘南ダービー決勝メンバーが出揃いました。
今節の主役は郡司浩平(99期・神奈川)です。しかし、彼のホームバンクは川崎競輪場で、平塚競輪場をホームバンクにしているのは和田真久留(99期・神奈川)です。その微妙な地元意識が初日特選の「和田ー郡司」の並びとなって表れたのでしょう。誰が見ても「郡司ー和田」の並びの方がしっかりしている。しかし、和田も「俺もホームバンクなので頑張りたい」という気持ちが「郡司の前」という選択になったのだと思います。初日に失敗したことで、潔くこれからは郡司の番手を回る気持ちになったことでしょう。前を回ることだけが頑張ることではない。後ろに回って援護することも立派な仕事だと思います。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①古性優作(100期・大阪)ー⑧神田紘輔(100期・大阪)
④山田庸平(94期・佐賀)ー⑦井上昌己(86期・長崎)
⑤郡司浩平(99期・神奈川)ー②和田真久留(99期・神奈川)ー⑥大塚玲(89期・神奈川)
⑨平原康多(87期・埼玉)ー③佐藤慎太郎(78期・福島)
本格先行が不在で、どの選手も先行できる非常に難解なレースとなりました。では、どのラインが先行するのか?
私は1番先行する可能性が高いのは前を取るラインだと思います。地元神奈川勢は3車揃うので先行しそうに見えますが、郡司は自分の優勝を狙いに行くと思います。今節の郡司は、狙って獲れる脚力があるので前中団か後ろ中団。確実に3番手を取りたいなら後ろ中団です。
意識して前を取れるのは枠的に①古性ですが、後攻めを嫌がる選手が前を取りに行くことも…。そう考えているのは④山田ではないでしょうか。山田ラインは枠も悪いので、意識的に前中団、後ろ中団を狙えないので、通常営業なら後ろになってしまいます。後ろから攻めて、斬って斬られてブーメランの様に最終ホーム8番手になる可能性が高い。それならば、前を取ってワンチャン混戦待ちや、ペースが上がっていなければカマすこともできます。差されても⑦井上なら仕方ないな…と考えているのではないでしょうか。それが初日特選の走りだったと思います。ただ、凡走になる可能性もあるのでそこは紙一重でしょうね。
枠的に有利な①古性や⑤郡司は、前中団や後中団を狙っていると思います。九州ラインが前受けすると⑨平原ラインが後ろになるので、平原は前を考えているかもしれません。ここでは九州ラインを前受けで考えます。
S.④⑦ ①⑧ ⑤②⑥ ⑨③
⑨平原が動いた後⑤郡司が動き、さらに①古性が動いて打鐘を迎えるでしょう。
打鐘.①⑧ ⑤②⑥ ⑨③ ④⑦
このまま①古性が先行させられたら、優勝は3番手捲りの⑤郡司だと思います。
←⑤②⑥
B.①⑧ ⑨③ ④⑦
・買い目
5ー2ー6938
次は、①古性を④山田が叩いてカマすパターンを考えます。
←④⑦
H.①⑧ ⑤②⑥ ⑨③
←⑤②⑥
←①⑧ ⑨③
B.④⑦
この時、優勝に近いのは⑦井上だと考えます。①古性は九州ラインに飛び付いて捲る脚が残っていないのと、⑤郡司は外を回らされて苦しいのではないか。
・穴目
7=1ー8523
7=5ー213
今節、⑥大塚が約3年ぶりに決勝進出を決めました。彼は大きな事故を何度も乗り越えて、地元の晴れ舞台を走ります。「3着取って競輪祭の出場権を取りたい」と謙虚なことを言ってましたが、優勝目指して頑張って欲しいと思います。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。