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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】湘南ダービーに出場する松井宏佑選手を解説!

2022/04/07 (木) 12:00 2

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は平塚競輪「湘南ダービー(GIII)」に出場する松井宏佑選手を解説する。

⚫︎松井宏佑

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長は165cm、公式プロフィールでは体重74kgとあるが、現在はもっと重たいだろう。自力選手の中で身長はかなり低い部類で、四肢(腕と脚)も身長に比例して短い。だが、筋肉は全体的に丸みを帯びメリハリがある。筋量も充分だ。現在はナショナルチームに所属し、高重量を用いたウエイトトレーニングにも比重を置く。ますます身体は大きくなっている。

 そんな松井選手のストロングポイントといえば、やはり“ダッシュ力”だ。間違いなく日本有数であり、勝負所で後方に置かれる苦しい戦局をこれまで幾度もひっくり返してきた。彼のダッシュ力は強烈すぎるがゆえ、味方のマーク選手が松井選手に付いて行けず、離れてしまう光景も散見された。レースで仇になるほどに彼のダッシュ力は魅力的だ。

 当然ながらトップスピードも高い。今でも忘れられないのがヤンググランプリ2020、そのレース内容を一言で表すと「破壊的で支配的」だった。

 坂井洋選手をはじめ、小原祐太選手、宮本隼輔選手など同世代の強豪がそろう中、松井選手は“力技”で勝利を狙う。なんとS取りの前受けから、いちど8番手まで引き、そこから一気に捲くるというプランを取ったのだ。

 別名「ストロングスタイル」とも呼ばれる上記の作戦は、選手間の力量差がある時に有効な作戦だ。通常、ヤンググランプリなどのビッグレース時に決まる可能性は極めて低い。

 しかし彼は大舞台でこの作戦を成功させた。持っているポテンシャルは間違いなく超一級品だ。年齢も29歳と完全に円熟期に入っている。

 実力はともなっているので、あとは成績が追いつけば申し分ない。今の彼に足りないのは戦術の引き出しだろう。松井選手にはバズーカの様な自力はあるが、その武器を毎レース発揮できる訳ではないのだ。特に出入りの激しい混戦やライバル選手との併走がある局面時に、彼の威力は激減してしまう。力が出し切れずレースが終わってしまう事が多々あるのだ。

 もったいない……。

 松井のレース後、南関東地区のマーク選手達は何度この言葉を漏らした事だろう。松井選手には、南関東にとどまらず、日本を代表する自力選手になれる可能性があるのだ。

 何度も言うが、彼の爆発的な瞬発力とトップスピードはワールドクラスだ。そして20代前半時から貫き通すチョビ髭とカメラ映えする愛くるしいルックスは、間違いなく日本よりも世界向き。彼が競輪界でブレイクした時、あまりにも若者っぽくない雰囲気から、筆者の周りは“チョビ髭界に突如現れたプリンス”とザワめいたのを今でも覚えている。

 今回行われるのは平塚記念(GIII)。彼のホームバンクだ。松井選手と郡司浩平選手のラインは、他のライバル選手にとっては脅威でしかない。4日間、チョビ髭が逆立つほどの高速ダッシュで、競輪ファンを魅了して欲しい。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 SS級が5名出場と、なんとも豪華なシリーズになった。その中でも地元南関東勢が駒を揃えた。郡司浩平選手をはじめ、松井宏佑選手、和田真久留選手、岩本俊介選手など隙は見当たらない。平原康多選手や古性優作選手も脅威だが、南関東勢は総力戦で打開するだろう。

 そんな中、注目したいのは119期の犬伏湧也選手。ゴリマッチョ体型から繰り出されるスピードが、SS級選手相手にどこまで通用するのか期待したい。

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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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