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【オートレース入門コラム】森泉宏一のオート語らんまいけVol.2『熱走路の注目ポイント』

2025/08/24 (日) 10:00

鈴木圭一郎選手(浜松32期)の史上最年少グランドスラム達成で幕を閉じた、SG第29回オートレースグランプリ。

その舞台となった伊勢崎オートレース場がある群馬県伊勢崎市は、8月5日に最高気温41.8度を記録。報道でもありましたが、日本の観測史上最高気温を更新しました。

前回の「湿走路」に続き、今回のテーマは「熱走路」です。
オートレースは他の公営競技と比べて、天候によって選手相場、そして結果が大きく変わってくる珍しい競技です。

まず「熱走路」とは……。
文字通り高い気温により熱された走路のこと。明確に何度以上というのはありませんが、50度を超えれば立派な熱走路と表現していいでしょう。
夏真っ盛りになれば、走路温度が60度を超えることも珍しくありません。

続いて「熱走路の特徴」とは…?
オートレースは走路温度が上がれば上がるほど、タイヤが滑りやすくなります。熱い走路にゴムタイヤが触れることでタイヤがさらに熱を持ち、消耗が激しくなり、タイヤに負担がかかることでグリップが効きづらくなり、勢いが落ち、タイヤが滑るようになります。
滑ることで、後ろから追う選手は、前を走る選手を捌いて追っていくことが難しくなります。タイヤの食いつきが冬場より悪くなり、食いつかないとグリップ力が減少し、捌きづらくなる。
同じ条件で走るので、全選手がグリップが悪くなるものの、逃げる選手に比べて追う選手の方が人を捌いていく分、負担がかかるため、逃げ選手より不利になるパターンが多くなります。

前述のグランプリ直後に行われた、飯塚オートでは、走路温度60度超えを記録。 開催2日目の7Rでは、走路温度58度の中、大久保哲司選手(飯塚20期)がマイペースに逃げ切り、3連単10万円超えの高配当を演出。
大久保選手は試走タイムはワーストながら、スタート先行からの逃げ展開。マークする同ハンデの畦坪孝雄選手(山陽26期)は仕掛けるまでには至らず、追走がいっぱい。大久保選手がそのまま6周回を押し切りました。
これは「試走タイムが全てではない」「高配当を取る時はこういう展開だ」という、典型的なパターンとなりました。
大久保選手は、特にこういった熱走路で活躍、高配当を提供するイメージがあります。ファンの間では「夏のコマテツ(大久保選手の競走車名)狙い」は、つとに有名。大久保選手以外にも、夏場に狙いたい選手が多く、後ろの選手が試走タイムを出して売れている時は、なおさら狙ってみたくなります。

また、着外ではありましたが、8月4日の伊勢崎3R。1番車の竹島繁夫選手(伊勢崎14期)がレース後半まで逃げ粘りを披露。終盤に捕まり着外とはなりましたが、試走タイム3.50(再試走)ながら見せ場を作り、3着の可能性を見出せたレース。オッズをみると、2連単は比較的落ち着いているものの、3連単はやはり高配当。メンバー構成も加味して、こういったところを狙ってみるのも面白いレースだなと思いました。

このように、夏場はハンデが前の位置に陣取る選手による逃げ、粘りが目立つようになります。
そうなると、基本的にはスタートで序盤の展開を作ることができる選手は軽視できなくなります。
ですが、ハンデが後ろの選手が全く来ないかというと、そんなことはありません。 エンジン状態が良く、滑りへの対策もしっかり施している選手については、しっかり捌いて追い込んでくるため、試走の雰囲気、近況、相手選手との兼ね合いをしっかり見定めることが必要になります。
もし分からない場合は、過去の熱走路成績を調べてみるといいかもしれません。 その選手の夏と冬、走路が冷えている時と比較して、成績が上昇している選手を狙うのも一手。

まとめると、
・夏場の熱走路は追い込む後ろの選手より、ハンデが軽い(前にいる)選手狙い。
・スタートから序盤の展開が重要。そのまま6周回も十分あり得る。
・したがって試走タイムが全てではない。

「試走タイムよりも展開重視!」
このあたりが熱走路を攻略、なおかつ高配当を掴むヒントではないでしょうか。

※掲載写真はイメージです。

(P-Navi編集部より)
前回から「森泉宏一のオート語らんまいけ」にコラムタイトルが変更となりましたが、以前のコラム「実況天国」も引き続きご覧いただけます。

オート語らんまいけ

森泉宏一

生まれは東京、育ちは広島、富山。学生時代に喋りの仕事を志し、2009年にボートレース実況でアナウンサーデビュー。2017年からはオートレース実況も始める。現在はYouTube配信番組などにも多く出演。パーフェクタナビでは「森泉宏一の実況天国」コラム連載中。プライベートでは2022年に年間100本の万車券的中を達成。試走タイムが出ない選手や逃げが得意の選手を好む傾向にある。公営競技を含めた日々の仕事の様子などを投稿している「森泉宏一のモーリーチャンネル」も更新中。

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