2024/12/25 (水) 18:00
1億4000万円のビッグマネーと競輪界最強の称号をかけた「KEIRINグランプリ2024」の車番が、17日に行われた共同記者会見・前夜祭で決まった。1番から順に古性優作、平原康多、郡司浩平、眞杉匠、岩本俊介、清水裕友、北井佑季、新山響平、脇本雄太。古性の1番車は思っていた通り。脇本が9番車を選んだのには驚いたが、愛着があるとのこと。9人、それぞれの思惑が入り交じり、すでに戦いは始まっていることを印象づけた。
昭和風に言えば、「年を越せるかどうか」のグランプリらしい。ただ、このフレーズは死語に近いだろう。それでもやはり1年の総決算なのだから、勝ちたい。収支はマイナスであっても、グランプリで車券を取れれば、気持ち良く新年を迎えられるであろう。
では、1億4000万円に一番近いのは誰か? 筆者の本命は郡司。北井という先導役がいて、後ろは岩本が固める布陣は、近畿、関東に比べて有利だろう。脇本にしても眞杉にしても勝ちたい。先行しては逃げ切るのは至難の業だし、勝ちにいく競走に徹するはずだ。だが、裏を返せば、仕掛けが難しくなろう。その点、北井は脇本、眞杉より自然体で望めそうな気がしてならない。となると、郡司が圧倒的に優位に思える。最終的には、北井を残すのではなく、自らが踏み切れる距離を自力、番手捲りを放つとみている。問題は初出場で緊張感マックスであろう岩本が、しっかり追走できるかだ。この位置を眞杉や新山、清水が狙ってくるかもしれない。重要なポイントは岩本にあると感じる。
脇本と古性はいうまでもなく最強のラインだろう。今年に前半は苦しんだ脇本だが、最後の競輪祭でタイトルを奪取し、勝負強いところを見せてくれた。ポイントは位置だろう。8番手からでは、この相手に通用しない。淡泊なレースをせず、厳しい位置取りも必要だと思われる。近畿ワンツーは脇本に仕掛けのポイントになろう。
不気味なのは新山。前夜祭を伝えたメディアを見ると、ヒゲを蓄えていた。心境の変化なのかは定かでないが、ベビーフェイスらしからぬ雰囲気を醸し出していた。新山も位置を取れるかが鍵になろう。
どこからでも狙えるのがグランプリの楽しさであり、難しさでもある。現時点では郡司推しだが、最後の最後に買う車券は違ってくるかもしれない。夢を買うということなら、岩本か。海老根恵太、和田健太郎とここ一番の強さを千葉勢は持っているように感じる。あとは平常心で走ることができるか、否かだ。
新山にしろ、清水にしろ、後ろがいないのは、グランプリでは逆に有利に働きそうな気もする。しがらみもなく、自分だけのことを考えて走ればいいだけである。1着か、9着か。そんな走りが見られるのが、グランプリだろう。
Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター