2024/12/19 (木) 17:00
「KEIRINグランプリ2024」が間近に迫ってきたが、「ヤンググランプリ2024」「ガールズグランプリ2024」もある。どうしても、KEIRINグランプリとガールズグランプリに目が行きがちだが、今年のヤンググランプリは今までとは違うだろう。
理由は至って明確だ。太田海也(岡山)、中野慎詞(岩手)が出場するからだ。
昨年も両名は出場しているが、今年はパリ五輪が開かれ、太田と中野は参加している。昨年とは立場が違うと言えるだろう。太田は世界選手権(デンマーク・バレラップ)のチームスプリント、スプリントで銅メダルを獲得した。ちなみに太田は昨年ヤンググランプリを制し、連覇がかかる。
オリンピアン2人が参加する大会なのだが、盛り上がりに欠けているように思えてならない。前に一度書いたが、前夜祭にはヤンググランプリのメンバーだけが呼ばれない。これは摩訶不思議な現象だ。百歩譲っても、今年はやはりパリ五輪があり、競輪を知らない人でも太田や中野の名前は聞いたことがあると思う。極論を言ってしまえば、競輪のトップレーサーより太田や中野の名前を知っている国民は多いかもしれない。いや、名前だけ聞いたことがあるなら太田や中野の方が多いだろう。
ならば前夜祭にも呼ぶべきではないだろうか。そうなれば競輪ファンだけなく、一般の人も、実際に見にいってみようと思うかもしれない。競輪場に行って見るのは抵抗がある、そういった人のためにも前夜祭に参加して欲しかったと思う。どういうわけで毎年、グランプリとガールズグランプリだけなのか、その理由が全くをもって理解できないのである。
オリンピアン2人が登場する場を一般の人に見てもらいたいという感覚はないのだろうか。五輪イヤーを生かせていないことを、腹立たしくさえ感じてしまう。
優勝候補はやはり、この太田と中野の争いになるだろう。共に、競輪に専念していてくれたら、タイトルの一つや二つ、獲っておかしくない逸材だ。2028年のロス五輪へ向けて、本格的な戦いが始まるまで、しばらくは以前より多く、太田と中野の雄姿を目にすることはできるだろう。
ギャンブルではあるが、お金をかけなくても太田と中野の走りは一見の価値あり。そこで興味を持って、競輪の面白さに繋がっていってくれればと思う。中央団体の広報戦略については、過去に何度も書いてきたが、現状は何も変わっていないと感じる。熱狂に包まれたパリ五輪、まだ余韻が残っている人も多くいるだろう。世間にアピールする場を、みすみす逃してしまったようにも感じる。売り上げが堅調な今だからこそ、生きたお金を使って、国民に「競輪」を知ってもらいたい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター