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熾烈を極めるグランプリ出場権争い

2024/11/18 (月) 11:00

今年最後のG1「第66回朝日新聞社杯競輪祭」の開幕が間近に迫ってきた。
毎年のことだが、やはり競輪祭と言えば、年末の大一番で「KEIRINグランプリ」の出場権が話題となる。すでに権利を持っているのが、郡司浩平、平原康多、北井佑季、古性優作の4選手。これに賞金ランキング5、6位の清水裕友、眞杉匠までは当確。7位には直線の四日市記念で優勝した新山響平。8位が脇本雄太で、9位は岩本俊介となっている。

新山響平

新山は四日市記念に勝負がかかっていた、と言っても過言ではないだろう。優勝すれば、脇本を賞金で抜くことができたからだ。そのチャンスを生かした新山を素直に褒めたい。賞金的に競輪祭の準優勝や3着で逆転を狙えるのが深谷知広、吉田拓矢、窓場千加頼あたりか。優勝して出場するのが前提だが、どうしても一戦、一戦の勝ち上がりが気になる。メディアも連日、賞金額を詳細に報道するのも競輪祭ならではだろう。

松浦悠士

昨年の覇者・松浦悠士は今年、苦戦を強いられている。度重なる落車の影響で身体はボロボロ。それでも松浦はプライドを持って走っている。松浦がグランプリに出場するためには、競輪祭の優勝しかないのだが、逆境に強い松浦なら、実現できるかもしれないと密かに期待している。

ガールズケイリンに目を向けると男子以上に混沌としている。今年のG1優勝者である児玉碧衣、石井貴子、そしてこの「競輪祭女子王座戦」を勝った者が出場できる。賞金的には坂口楓華、尾崎睦、尾方真生は大丈夫そうだ。
最後のG1を果たして誰が獲るのか?
やはり佐藤水菜だろう。史上初の世界選手権女子ケイリンで金メダルを獲得した世界チャンピオンは、平塚開催を3連勝している。
ここにきて、猛チャージをかけているのが石井寛子だ。5場所連続優勝とグランプリ出場への執念が見て取れる。追加配分で調整期間もない中で、結果を残している。

尾崎睦

驚いたのは、尾崎が6日に終わった平塚の後、中0日で玉野に参戦したことだ。外から見れば当確と思えるのだが、尾崎には尾崎なりの考えがあってのことだろう。
以前は、男子もこの時期になると勝負のかかる選手が追加、追加ということがあった。しかしこれは、公平性に欠け、いつの頃からはなくなった。全体の競走数を分け隔てしたくないならば、1月から計算して斡旋すればいいだけのことであろう。間隔が詰まることにより、本来のパフォーマンスを発揮できなくなる恐れもある。女子王座戦で勝負するのが筋だと思うが、そこまでに力を使い果たしてしまっている懸念も広がる。

最後の椅子を巡る争いは熾烈(しれつ)を極めるだろう。個人的には、あくまで男子も女子も賞金のことを考えず、タイトルを獲って出場することを期待したい。

Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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