2024/09/02 (月) 18:00
秋以降、改修のため1年以上開催がなくなる小田原競輪場で、8月24日から開設75周年記念競輪G3が開催された。松浦悠士がオールスターで落車した影響もあり欠場したのは寂しいが、脇本雄太に加え、郡司浩平や北井佑季といった地元のタイトルホルダーも参加して、大いに盛り上がった。途中、台風の影響が心配されたが無事に行われ、目標の53億円を超えたことは喜ばしい限りである。
ただ、この原稿を書く前からネット上で激論がかわされているのが、決勝での南関東勢7人の連携である。メンバーが決まった時、果たしてどうするのか?筆者を含めたファンが同じことを考え、固唾を呑んでいたのではなかろうか?しばらくしてスポーツ紙のWEBに並びが載り、公式サイトにも載った。
筆者はプロである以上、勝負権のない位置は回るはずもなく、南関東勢は別れると思っていた。ならば、仮に別れた時はどうなるのかだ。神奈川には川崎、平塚、小田原と、競輪場が3つある(以前は花月園もあり4場)。新村穣に郡司、3番手に千葉の鈴木裕。北井に松井宏佑、和田真久留、松坂洋平の平塚4車、と考えていた。しかし、フタを開けてみれば7車で連携だった。
最強の脇本にしても、2車で7車を相手にするのは厳しい。加えて、地元番組。これはいつもそうだし、どこの競輪場でも地元優先で郡司が1番車。郡司がスタートを決めて、あとは7車が並ぶ。案の定、脇本は8番手から早めに仕掛けていったが、及ぶものではない。北井が最終ホーム、番手から発進。確か、松井・北井・郡司で3連単は300円だった記憶がある。だが、松井がバックから捲る。北井もまだ踏んでいて、よもやのもがき合いになろうとは。松井が出切ったが、最後は南関東4番手の郡司が追い込み、大会連覇を達成した。
筆者はこのレースを買っていない。別れるのなら買ったかもしれないが、連携では……。もちろん、この7人連携は賛否両論ある。競輪として見れば、これもありかなと思えるが、まだ競輪歴が浅いファンや、五輪を見て競輪に興味を持ったファンには、何が起こったのか理解できないものであったろう。333走路の6、7番手で、果たして勝つチャンスはあるのだろうか?プロなら絶えず1着を目指すべきだと考えるからだ。 だが、選手を責めるのではないと、筆者は過去何度も書いてきた。地元選手をあまりにも多く呼びすぎるからだ。多く呼べば、ホームアドバンテージがあるのだが、これも時代にそぐわない。今回の小田原の場合、入場人員は2000人前後。全国発売の中で、ホームアドバンテージをわざわざする必要があるのだろうか?競輪業界はいまだに地元意識が強い。 斡旋(あっせん)も考えるべきであろう。地元選手、同地区の選手を集めすぎたからこそ、今回のようなことがおき、物議を醸し出しているのだ。グレードレースはあくまでも全国発売である。本場の売り上げに力をいれるのなら話は別だが、今回のことを教訓に考え直してもらいたい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター