木三原さくら「恋して競輪ハンター」156 Hunting

「明日から休みだ」と気づいたのは、4月25日の昼過ぎ。その日のミッドナイトの仕事が終わった後は、2連休でした。
最近はゴルフに誘ってもらうこともあり、少し変わったところもありましたが、もともと先々の予定を立てるのが得意ではなく、計画的に生きられる人間ではないので、休みの日の予定は、大体空っぽ。洗濯や家の片付けをしてウーバーイーツで食事を頼み、眠くなったら寝る。そんな風に2日間の連休を持て余して終わるのが、いつもの私の休日です。

ただ、この日、私は思ってしまったのです。
「久留米行けるなあ……」

翌日からはG1第2回オールガールズクラシックが久留米競輪でスタート。昨年、松戸競輪で第1回が開催され、そこからより一層、ガールズケイリンの魅力を知った思い出が深い大会です。
そう思った心が、ソワソワウズウズ。しかし、計画性もなければ行動力もない上に、行けない理由を考えるのは得意です。久留米競輪に行ったことないし、ナイター開催で日帰りはさすがに無理ということは、宿も取らなきゃ。直前すぎて旅費も高額、車券もマイナスだし、お金使えないよね。この車券が当たったら行こう、なんて花占いのようにポツポツと車券を買っても、当たることはなく、ますますお金が減っていく。誰か一緒に行こうって言ってくれたらなあ。

昔はこういうとき、私を連れ出してくれたのは、みいちゅんでした。彼女とは関東南関の競輪場はもちろん、弾丸でいわき平記念や松阪のF1など、各地に足を運びました。競輪選手となった今でも、彼女は持ち前の行動力で、あちこち他の公営競技の旅打ちに行っているようですが、私はあっという間に引きこもり、プライベートで競輪場へいくことは、はたとなくなってしまいました。

しかし、翌朝になっても、この衝動を消すことはできませんでした。やっぱり大好きな選手がG1で頑張る姿を応援したい！
航空券の画面を見つめながら決意した朝9時。買うのにぐずぐずした数分間で、5千円も値上がりしていました。これ以上、あれこれやっていたら行けなくなる、スキンケアもパンツも現地調達だ！と、着のみ着のまま、財布と携帯電話だけをカバンに入れて、飛行機に乗り、高速バス、タクシーと乗り継いで、たどりついた久留米競輪。来てみると、孤独な旅打ちの不安は、あっという間に興奮に変わっていきました。

やっぱり、現地観戦って楽しい！
行けるところまで散策し、いろいろな場所でレースを見ました。1人でも気合い入れて応援するぞと思っていたら、仲間がいて一緒に声を出してエールを送りました。日野選手の選手紹介を見ながら、一緒に競輪の旅打ちに行けなくなっても、こうして私の旅打ちの原動力となってくれていることに嬉しさが込み上げます。現地で車券は当たりませんでしたが、今年のオールガールズクラシックも大切な思い出と記憶に残る開催となりました。

心を突き動かす選手たちの魅力。現地に行きたくなる競輪場の魅力。いちファンとして楽しみながら、いつも会いに来てくれる皆さんの気持ちを考えました。いろいろな都合をつけながら競輪場へ足を運んでくれる皆さんの競輪愛に、尊敬と感謝の気持ちがあふれました。
今回の久留米で行ったことある競輪場が30場に。まだまだ全場制覇には遠いですが、これからも、ちょこちょこ旅打ちして、楽しい競輪ライフを送っていきたいです。
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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
155Hunting「締切1分ダッシュ買い」
154Hunting「開花目前！橋本宇宙選手」
153Hunting「車券下手の罪悪感」
152Hunting「三谷竜生の地元記念連覇」
151Hunting「大我くんから田中大我選手へ」
150Hunting「北井選手の異次元の強さ」
149Hunting「2024年万車券初め」
148Hunting「広島記念で帯チャレンジ」
147Hunting「玉野競輪初のS級ミッドナイト」
146Hunting「この涙を忘れない」

【略歴】

木三原さくら（きみはら・さくら）

1989年3月28日生　岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行！
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。