2020/11/11 (水) 14:41
ガールズケイリンの『ガールズフレッシュクイーン』が11月3日、防府競輪G3周防国府杯争奪戦中に行われた。ガールズフレッシュクイーンは単発レースで、ガールズケイリンの次代を担うスター選手の登竜門として昨年4月、高知競輪で始まった。出場できるのはデビュー2年未満で、品性、技能、共に優れた選手が選ばれる。第1回のクイーンは梅川風子(東京112期)。第2回は今年の4月に西武園競輪で開催される予定だったが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で中止になってしまった。
その第2回がスライドして、今回の防府で実施され、優勝は久米詩(静岡116期)。114期の柳原真緒(福井)や佐藤水菜(神奈川)、116期の吉岡詩織(広島)との対戦で、実力から考えても、この3人の中からクイーンが誕生すると思われていた。しかし、蓋を開けてみれば柳原、佐藤、吉岡は完敗。赤板前から動き、3番手の位置を回った久米は前を走る比嘉真梨代(沖縄114期)が早目に抜け出したところをさらに外から追い込んで優勝を飾った。
久米の父は__現在、日本競輪選手養成所で教官を務める康徳氏(京都70期・引退)。競輪ファンならご存知だろうが、京都の追い込みとしてトップクラスで活躍していた名選手だ。
勝った久米は賞賛するが、敗れた柳原、佐藤の2人は、いつガールズのタイトルを獲ってもおかしくない実力を持っている。ガールズグランプリ出場争いに関して言えば、佐藤は賞金ランク9位で、柳原は18位(11月9日現在)で、チャンスはまだ残っている。そのような抜きんでた2人が期待を裏切るとは……。なお、吉岡は賞金ランク20位で、その他の4選手は21位以下である。
ガールズケイリンの売り上げが好調なのは車券が当たりやすいからである。配当が低くても当たる。これは、JKAが目論むところでもある。男子の7車よりもガールズは的中しやすいと思っているし、実際にそうであろう。ましてや今回はデビュー2年以内という形であれば、堅く収まると思っても当然だ。筆者もこの柳原と佐藤の表裏から、ソコソコ勝負していた。しかしながら、目を覆いたくなる結果に終わった。
また、フレッシュクイーンというネーミングにも違和感を覚える。“クイーン”という言葉を、簡単に使いすぎではないだろうか?その割に優勝賞金はそれ程まで高くない。マスコミの報道も決して大きくはなかった。正直、盛り上がりに欠けていた感は否めないだろう。柳原や佐藤クラスが実績的に格下の相手と戦うこと自体、無理があったのではないだろうか?それでも、2人は負けてしまったのだから、大会自体の意義が感じ取れない。柳原と佐藤には奮起を促したい。実力が抜きん出ている選手がいるからこそファンは買いやすいのだ。そして、配当が低くても車券が獲れたら、次を買うことができる__。トップクラスの選手たちには当たり前のことではあるが、今一度、自分のポジションをシッカリ考えたレース、走りを見せて欲しい。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター