2017/09/29 (金) 17:47
G2「第33回共同通信社杯」(武雄競輪場)が9月19日に幕を閉じた。競走に対して妥協はせず、同じ関東同士でも競りを辞さない諸橋愛(新潟79期)が初のG2制覇を成し遂げた。彼の戦い方には賛否両論あるが、タイトルを獲った選手の中では高く評価されている。これで諸橋は年末に平塚競輪場で開催される「KEIRINグランプリ2017」への出場が現実味を帯びてきた。
さて、諸橋のことはこれくらいにして、競輪界の言い訳について書いてみたいと思う。
今回、武雄競輪の掲げた売り上げ目標は4日間で80億円。それこそ10年前の記念クラスの売り上げ額だ。結論を先に書くと67億2,032万7,500円という数字が売り上げ総額、目標額を13億円弱も下回ったのである。決勝翌日のスポーツ紙を見ると「台風の影響を受けた」と、足並みを揃えたかのように書かれていた。確かに台風の影響で2日目が中止になり、開催が1日順延されたのは事実だ。それでは、台風が発生しなければ、目標に掲げた80億円を突破できたのか?1日の遅れが13億円相当であったのか?
売り上げが目標額に届かないと、必ずと言っていいほど、目先の理由を見つけ出す。今でもよく言われるのが「年金支給月」だ。ご存じの通り、年金は偶数月の15日に支給される。直後の開催は売れるという神話!?がある。売り上げがアップすることは否定しない。ただ、それは微々たるものだろう。そして、年金受給者を頼りにしている時点で、この業界の未来はないと言わざるを得ない。
また、最近は冒頭の武雄の例とは逆に、目標を低く設定する競輪場が増えてきた。大きな成果を残すよりも失敗しないことを重んじる。そういう風潮では、その場限りの反省だけで終わってしまう。シッカリと総括をして、次に活かすべきあろう。少し古いが「反省ならサルでもできる」のだから。
台風などの天候や年金以外にも、この業界には様々な言い訳がある。「有名選手が途中欠場」した結果、売り上げに響いたというのも「耳にタコ」状態だ。じゃあ、その選手が最後まで走っていれば、目標額をクリアできたのか?それこそ何億だろう?今、何億もの売り上げを1人で上げられる選手はいるのか?そのような少し考えれば(考えなくても)分かる言い訳に終始、それをまともに取り上げてしまうメディアもいかがなものか。売れないのには理由はある。それが何であって、改善するための努力をしているのか?公営競技といっても「株式会社」と同じだ。結果(売り上げ)を残せなかったら、競輪自体の存廃問題が出てくるのは当然だろう。「昔は何十億も市の財政に貢献していたのに、売れなくなったら、やれ廃止だなんておかしい」そう語る関係者は多い。そういう人間に限って、時代を読めていないと感じる。昔の、若かりし頃の写真を見せる男や女がいるが、見せられる方の大半はそれを望んでいない。要するに、変わり果てた今を受け入れられないと懐古する者だけが昔の写真を引っ張り出してくる。それと同じことをしていては仕方がない。もちろん、反省は大事だが、それ以上に必要なのは前述したように総括を次に活かす(活かせなければ総括ではない)こと。これが出来なければ、淘汰されても文句は言えない。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター