2017/09/17 (日) 13:37
シェーン・パーキンス、マティエス・ブフリにテオ・ボス。ガールズケイリンではアナスタシア・ボイノワ、ロリーヌ・ファンリーセンら。短期登録制度で来日している外国人のスパースターたち、競輪ファンならば名前は知っているであろう。各地で彼ら、彼女らが参加するレースは活況だ。その強さに圧倒されると共に、世界の走りをライブで見られるからだ。
それに対して2012年から正式に対抗戦となった日韓競輪はどうか?2012年は日本・伊東温泉、2013年は韓国・光明(カンミョン)、2015年は日本・京王閣、2016年は韓国・昌原(チャンウォン)で開かれた。日本で開催される時、韓国人選手は短期登録制度を適用する。しかしながら、ハッキリ言ってしまえば盛り上がりに欠けている。まだ日本開催の時は各メディアもそれなりには扱うが、韓国開催であれば「やっていたの?」と、なってしまうのが現実だ。
今年も9月8~10日の日程で、韓国・光明競輪場で開かれた。日本からは佐藤友和(岩手)、早坂秀悟(宮城)、佐藤慎太郎(福島)、会沢龍(宮城)、中村浩士(千葉)、東龍之介(神奈川)、稲川翔(大阪)、沢田義和(兵庫)、園田匠(福岡)、小川勇介(福岡)、松岡貴久(熊本)、松川高大(熊本)の12名が参加した。佐藤慎太郎が優勝して幕を閉じたが、日韓競輪を取り上げたマスコミは少なかった。ファンも「そんな大会をやっていたのか?」という具合に、後になって気付く程度のものだった。
9月15日には武雄競輪場で、G2共同通信社杯が開幕した。ビッグレースを前に、わざわざ韓国まで出掛ける主力選手の気持ちはいかに。参加選手を募っても集まらないので……半ば強制的に出場させられたといった話しを聞いたことがある。加えて「韓国の選手はラフプレーが多い。落車が怖いのは事実だ」という声もある。一体、何のために日韓競輪をやらなければならないのか?有名なところではサッカーの日韓戦がある。歴史的な背景からか、この対戦は非常に盛り上がる。韓国側にしてみれば、国と国との威信をかけた戦いといったところだろう。しかしながら競輪は威信どころかエキシビションの域を超えてないと考えてしまう。それなのにG2を控えた大事な時期に、トップ選手を海外に派遣するのはファンを馬鹿にしていないか?もしも落車してビッグレースに参加できなくなったら?これがGP争いをしている選手だとしたらと思うと、ゾッとしてしまう。競輪はあくまでも賭けである。賭けの対象となる選手が帰国してすぐビッグレースに参加する。これが世界選手権やワールドカップというなら話しは分かるが。
筆者にはこの日韓競輪が日本の見栄としか映らないのである。そこまでしてやらなければならない理由が、果たしてあるのだろうか?どう考えても浮かばない。それでも、どうしても続けたいのなら、韓国開催の時に日本でも車券を発売できるシステムにすべきであろう。そうすれば、日本のファンでも少しは興味を引くであろう。逆に、日本開催の時には韓国で発売できる。競馬の馬券が海外のG1を買えるようになり、売り上げは堅調だと聞く。競馬でできて、なぜ競輪でできないのか不思議でならない。きっと「ルールやシステムの問題で」との言葉が返ってくるのだろう。一体、日本の競輪界はどこに向かって進んでいるのだろうか?日本の競輪をアピールするのは良いが、日本でもあまり報道されない日韓対抗戦の意義をシッカリ分かりやすく、ファンが納得する説明を求めたい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター