閉じる

【G1直前賞金状況】深谷知広は9枠目を死守できるのか!? グランプリ行き最後の切符を掴むのは…?/競輪祭

アプリ限定 2025/11/16(日) 16:30 0 5

「寛仁親王牌(GI)」(以下親王牌)が終了し残るビッグレースもいよいよあと1つ。今年最後のGI・競輪祭を控えたこのタイミングで、競輪界の中心的存在であるS班の活躍と次期S班の座を狙う有力選手について獲得賞金状況から考察した。(※賞金11月10日時点)

2024年競輪祭決勝(撮影:北山宏一)

GP争いも佳境

 10月に行われたGI・親王牌は嘉永泰斗が悲願のビッグレース初制覇を果たすという結末で幕を閉じた。

 今年は寺崎浩平南修二嘉永泰斗と夢のタイトル初制覇を叶える選手も多く、さらにダービーでは元・S班の吉田拓矢がカムバックを決めるなど、S班以外の選手の躍進が目立つ年となっている。

 タイトル争いに加えて賞金争いも激しくボーダー付近は大混戦、目まぐるしく変動するグランプリ争いを今一度整理していこう。

7位までは安全圏か

 さて、ここで競輪界の頂点に位置するS班の賞金状況を見てみよう。7月から繰り上がってS班となった松浦悠士、そして24年末にS班から陥落した選手も含め、賞金ランキング50位以内に入っている11選手をグラフで紹介する。

 まずS班の中で現状グランプリ圏内に位置しているのは古性優作眞杉匠脇本雄太郡司浩平の4人だ。

 古性優作は今年はケガに悩まされる一年だったが、その中でも近況は直近5場所で連続優出を果たすなど持ち前の安定感をキープし続け、GI未勝利ながらついに賞金ランキング1位の位置までたどり着いた。競輪祭でも脇本不在の近畿勢を牽引すべく、タテにヨコにフル稼働する。

 今年すでに2度GIを制している4位脇本雄太は前走親王牌の初日に「これぞ脇本!」とファンが唸るような豪快な捲りを放つも、3日目に練習中の事故で当日欠場。競輪祭どころかグランプリ出場すら危ぶまれる大怪我を負ってしまう事態となったが、ここは焦らずしっかりとリハビリをして、また元気な姿を見せてほしい。

 5位眞杉匠は本来の実力を考えれば近況はあまり納得のできる結果は残せていないが、親王牌二次予選で見せたような、ツボにハマった時の捲りは破壊力満点。このパンチ力に加えて安定感が備われば、もはや敵なしの無双状態に突入すること間違いなし。競輪祭でもしっかりと自分の力を出しきって、初のグランプリ制覇に向けて弾みをつけていきたいところ。

 6位郡司浩平は賞金的には余裕もあり、小田原記念では松井宏佑を優勝へ誘うなど、一見順調なようにも映るが、実はグランプリ出場は危機的な状況となっている。「オールスター競輪(GI)」の最終日負け戦で先行する松井を庇おうとするあまり山口拳矢を押し上げて失格、そして前走の親王牌初日で松浦悠士を落車させてしまいまた失格。これによってグランプリの選考除外基準である「選考期間内のGI・GIIにおける失格回数が3回以上となった者」にリーチが懸かってしまった。競輪祭は冷静にクリーンな走りを心掛けたいところ。

郡司浩平(撮影:北山宏一)

S班キープ危機的な5人

 一方、現状グランプリ圏内から漏れているのは新山響平犬伏湧也岩本俊介清水裕友松浦悠士の5人だ。

 11位新山響平は10月の松阪GIIIを制すなど、全く成果を残していないわけではないがビッグレースではダービー以来優出なしとやや精彩を欠いている。先日の小田原記念では準決勝で敗れ、最終日負け戦でも着外と悪いムードが漂うが、競輪祭はGI初制覇を果たした思い入れのある舞台だ。4年連続のグランプリ出場へ向けて最後の最後でS班としての意地を見せられるか。

 12位の犬伏湧也は前々走の親王牌で優出を果たし、番組的にも他のS班は古性優作清水裕友のみと初タイトル奪取には絶好のチャンスが訪れたが、結果的には後手を踏まされ捲り不発の7着に終わってしまった。しかし、準決勝までのらしさ全開なカマシ・捲りはやはりタイトルを獲るだけの力があるということを十分に感じさせる内容といえるだろう。迎えた最後の舞台・競輪祭で昨年の準優勝以上の結果を残し初のグランプリ出場への道を切り拓く。

犬伏湧也(撮影:北山宏一)

 清水裕友はジワジワと順位を上げて15位に。前半戦は全日本、ダービーとGIで2回連続二次予選で敗退するなど、かなり厳しい結果に終わってしまった。しかし、夏を超えて9月には岐阜記念優勝、そして親王牌では優出を果たすなど冬に強い清水らしくここにきて上昇ムードが漂ってきた。前走小田原記念では着に絡んだのが最終日負け戦の1度のみというのがやや気がかりではあるが、競輪祭に向けてどこまで状態を上げていけるか注目だ。

 16位の岩本俊介は年間通して決して悪くはないがワンパンチに欠ける走りが続いている。特に後半戦はビッグレースで準決勝の壁を突破できず苦しい走りが続いている。しかし先日の小田原記念で南関勢が上位を独占したように地区的には今、非常に勢いがある。この流れに乗り遅れず、しっかりと予選をクリアし、ここぞの場面で郡司浩平深谷知広らの後ろを回ることが出来れば一発回答も十分にあり得るだろう。

 松浦悠士は賞金50位圏外と苦しい。今年は静岡記念、宇都宮記念、サマナイと落車が相次ぎ、オールスター、共同通信社杯欠場と散々落車に悩まされてきた中、ようやくたどり着いた親王牌でまたしても落車を喫するなど、不運の一言で片づけられないほど痛ましい状態に陥っている。しかし、今の中四国には犬伏湧也太田海也取鳥雄吾石原颯など信頼できる自力選手が多く揃っているため、これらの選手が松浦の救世主となってくれる可能性は大いにある。追走集中で好展開をモノにしたい。

松浦悠士(撮影:北山宏一)

深谷知広が迎える正念場

 またS班陥落からの即復活を狙う選手たちも奮闘中。

 深谷知広は「全日本選抜競輪(GI)」での決勝3着から始まり、常に上位戦線で活躍し続け上位をキープしていたが、嘉永泰斗南修二など、下位からの突き上げも激しく、じわじわと順位を落とし、いつの間にか当落線上の9位の位置にまで下がってしまった。賞金10位でグランプリ出場を逃した昨年の悪夢を払拭するべく“平成の怪物”がこの土壇場で再度奮起する。

深谷知広(撮影:北山宏一)

 18位山口拳矢はタイトル獲得が近いようで遠い。前々走の親王牌では強力メンバー集う初日特選、ローズカップを連勝で勝ち上がったが、準決勝で惜しくも敗退。続く地元地区のGIII・四日市記念でも3連対で決勝まで勝ち進むも眞杉匠の先行に屈して7着に沈んだ。ただ、本来の山口の持ち味は“勝負強さ”。ビッグレースで決勝に勝ち進んだ3回の内、2度優勝を果たしているように、ここぞで出すパワーは凄まじい。賞金的に獲るしかない競輪祭、最後の最後で大逆転を狙う。

 佐藤慎太郎は賞金50位圏外でグランプリ出場するための条件は競輪祭優勝しか残されていない。親王牌では3度着に絡んだものの、その3回すべてで前の選手を抜けないという、タテ脚シャープな佐藤とは思えない苦しい走りが続いた。しかし佐藤はこれまで不屈の魂で何度も何度も苦境を乗り越えてきた男。状態さえ万全なら新山響平中野慎詞の走り次第でミラクル大逆転! のシナリオは十分にあり得るところ。

S班崩しの候補は?

 最後に、S班以外の賞金上位選手を見ていきたい。

 ダービー王・吉田拓矢は賞金1位の座こそ古性に明け渡したが、気配は良好だ。親王牌は3日間確定板入りで優出を果たすと、決勝戦は5着に敗れはしたものの気迫溢れる先行勝負を披露。そして続く富山競輪でも守澤太志や別線勝負となった関東の新星・森田一郎を封じて優勝を果たし、いい流れのまま競輪祭を迎えられそうだ。最後のGIで吉田と眞杉が達成したいミッションとしては、グランプリ4車出場が濃厚な近畿勢に対抗するために、もう一人関東の心強い仲間を連れていきたい。森田優弥佐々木悠葵あたりがその候補となりそうか。

 3位寺崎は親王牌、四日市記念と準決勝で敗退し、無双状態だったオールスター、共同通信社杯の頃と比較するとややデキは落ちてきているように映る。しかし、競輪祭では同県の偉大な先輩・脇本が欠場となってしまったため、寺崎には近畿を牽引するリーダーとしての活躍が求められる。この苦境をバネに、さらに一枚二枚と殻を破ってスケールアップしていきたいところ。

 南修二は前走の大垣競輪でまさかの準決勝敗退を喫するも、連日本職ではない自力番組を組まれながら②⑥①と着をまとめており、全く悲観する必要はない走りだった。現在ランキングは7位、賞金額も既に1億円突破と安全圏と言えるポジションではあるが、「まさか」の可能性を排除するためにも、最後の最後まで気を引き締めて初のグランプリ出場権を確実に守り抜きたい。

 そして注目すべき存在は8位に浮上した九州のエース・嘉永泰斗。前々走の親王牌決勝で悲願のGI初制覇を果たし、19年の中川誠一郎以来6年ぶりとなる九州勢のグランプリ出場を決めた。そして今回その勢いのまま迎えるのは地元地区の大舞台・競輪祭。GI制覇のみで満足せず、グランプリ制覇を狙うとなれば、ラインを形成できる方が有利であることは間違いない。そのためにも今開催で九州戦士からもう一人、グランプリへと誘えるかどうかがカギとなるだろう。

寛仁親王牌を制した嘉永泰斗(撮影:北山宏一)

 松本貴治は親王牌前の17位から賞金でのグランプリ出場が十分狙える10位までジャンプアップ。その親王牌決勝では前を託した犬伏湧也が捲り不発に終わる絶望的な展開となったが、空いたインコースを見逃さずにスルリと強襲し何とか2着に食い込み大きく賞金を積み増した。タテヨコ共に強力で番手戦ならもちろん、自力戦でも親王牌準決で飛び付き策を敢行したように、レースを動かす策はいくつも持っている。20年ぶりの四国勢グランプリ出場へ向けて、競輪祭でも持ち味を活かした走りで活躍を誓う。

大逆転の一撃を狙うのは

 13位松井宏佑も地元グランプリ出場へ向け、逆襲の体制は整った。夏〜秋ごろの時期はなかなか積極的に仕掛けられずに後手を踏まされてしまうシーンも多かったが、前走の地元記念では郡司浩平の気合に感化されたのか、二次予選、準決勝と積極的な仕掛けで2着に残るグッドな走りで魅せた。そして決勝戦では郡司浩平の番手という絶好のポジションを回り、2月の奈良記念以来となるGIII優勝を果たした。今年のグランプリの舞台である平塚は松井のホームバンクであるため、人一倍今年に懸ける想いが強いことは間違いない。一昨年、決勝2着で涙をのんだこの舞台で今度こそ初タイトル、そして地元グランプリへの切符をつかみ取る。

松井宏佑(写真提供:チャリ・ロト)

 浅井康太は年明けからずっと9〜10位とボーダー付近の位置をキープしてきたが、共同通信社杯の初日欠場、親王牌初日での落車棄権が響き、ここにきて14位まで後退してしまった。しかし、ケガの影響が心配される中で迎えた地元記念では、その不安を払拭するパワフルな走りで優出を果たし、中でも二次予選では山口拳矢の捲りを抜き去るなど、結果だけではなくその中身も濃い走りだった。ラストチャンスとなる競輪祭でも、山口拳矢との強力コンビで最高の結果を目指す。

 そして最後に取り上げたいのが21位太田海也だ。先日行われた世界選手権ではケイリン種目でメダルまであと一歩の4位、スプリント種目は準々決勝で敗れたものの、最終的に銀メダルを獲得したマシュー・リチャードソンと接戦を繰り広げるなど、世界のトップ選手と互角に渡り合ってきた。今年はトラック競技だけでなく競輪の方も順調で、宮記念、サマナイ、オールスター、共同通信社杯と4連続でビッグレースで優出の活躍で存在感を示した。賞金的には決勝2着でもグランプリ出場は厳しいが、一発回答でミラクル大逆転を決める力は十分に備えている。

太田海也(撮影:北山宏一)

 いよいよ今年のGIもこれでラスト。今開催が終わればグランプリに出場する9人が確定する。深谷が逃げ切るか、ボーダー下の選手が賞金差でかわすのか、はたまた“大穴”が一発回答のミラクルを起こすのか、クライマックスの瞬間を見逃すな。


つづきはnetkeirin公式アプリ(無料)でお読みいただけます。

  • iOS版 Appstore バーコード
  • Android版 googleplay バーコード
閉じる

競輪ニュース

ニュースランキング

ニュース&コラムを探す

検索する
投票