2024/12/14(土) 12:00 0 4
12月28〜30日に「KEIRINグランプリ2024シリーズ」が開催される。この年末の大勝負が行われるのが静岡競輪場だ。当地での開催は3年ぶりだが2021年はコロナ禍で入場者数を制限しており、全国のファンを迎えるのは2018年以来となる。そこで今回は現地で味わえる静岡競輪場グルメをご紹介。あったかグルメを味わいながら、熱いレースを“生観戦”しよう!(取材・構成=netkeirin編集部)
まずご紹介するのが静岡競輪場の開設以来、約70年にわたり営業を続けている老舗『天寅』。
出迎えてくれた店主は「私は二代目です。お客さんも代を重ねて、三代で来てくれている方もいますね」と笑顔。
豊富なメニューが破格でいただけるのが一番の特徴で、店頭には大きく『1本100円』の文字。おでんもフライも種類がたくさんあり、つい目移りしてしまう。
手際よくフライを揚げていたおかみさんにオススメを聞くと「珍しいのは大きなヤングコーン。サービスでウインナーをつけて一緒に揚げています。みんな『珍しい』『美味しい』って言ってくれます」と教えてくれた。
静岡名物の黒はんぺんやアジフライ、ちくわも人気だそう。「ちくわは一口大で食べやすいようにして揚げてみたら好評で。美味しいですよ」勧められるままにちくわフライをいただくと、サクッとした衣とみずみずしいちくわの組み合わせが美味! 特製ソースをお好みでかけて召し上がれ。
おにぎりやカツ丼、やきそばなど主食メニューも充実。カレーは350円、カツ丼は450円とこちらも激安だ。おにぎりを並べていたのは店主夫妻の息子さんで「おにぎりは全部手作りです。だからこそできる価格ですね」と“安ウマ”の秘密を明かす。
おにぎりも6種類の味が並ぶが、人気のツートップは“鶏めし”と“豆”だそう。「豆のおにぎりって珍しいですよね。グリーンピースを多めに入れて炊いたごはんを握っています。年齢が高めの方も多いので、あっさりしたメニューも人気です」
そして一番の“推しメニュー”が静岡おでん。練り物や大根、こんにゃくなどのタネに静岡ならではの黒い出汁が染みて輝いている…! 写真手前の黒っぽい串がこちらの一番人気『フワ(牛の肺)』だ。
「一番よく売れるのがフワかな。60年前くらいから売り始めました。うちはフワを売り始めた最初のお店なんです」
耳慣れない『フワ』という部位。今は静岡おでんならではの具材として親しまれているが、店主はフワを仕入れ始めた経緯をこう話す。「昔は廃棄されていて、お肉屋さんから『なんとかしてくれないか』と相談されました。それでおでんにしてみようと。そうしたら、だんだん口コミで人気になって」
さらに『天寅』では『フワ軟骨』という別メニューにも発展した。「フワ軟骨は関節がついているもので、血管が入っている。なぜ美味しいかっていうと、脂のノリがいいもんで。天寅でしか食べられないのでオススメです」と店主のお墨付きだ。
「僕らもこっちのほうが好きなんです。ビールに合うでしょうね」。そこまで言われたら、食べないわけにいくものか! とさっそくいただくと、よく脂の乗ったふわふわの食感と、よく染みた出汁、臓物特有のクセまでたまらなく絶品。まさに『酒飲みのため食べ物』かもしれない。
おでんにはオリジナルの白みそを添えるのがオススメ。濃い出汁とまろやかな白みその相性はバッチリだ。研究を重ね、舌の肥えたベテラン競輪ファンの胃袋を掴んでいる。
「ウチは安さが売り。スーパー行くよりお得だから、競輪場のお客さん以外にも買いに来てくれる方がいますよ」
500円もあればお腹いっぱい食べられそうな『天寅』。なぜそこまで安いのか? こんなに安くて大丈夫なのか、こちらが心配になってしまうほどだ。
「出血大サービス。もう崖から半分くらい足が落ちてる」と大笑いする店主。KEIRINグランプリとなれば、たくさんのお客さんが足を運ぶに違いない。
「たぶんお客さんには並んでもらうことになるでしょうね。仕入れの量も比較にならないくらい多いです。コンビニに寄らずに競輪場に来ていただいても大丈夫なように準備しますので、ここでちょっと食べて、1日中遊んでもらえたら」
つぎにお伺いしたのは、改修後の11月から出店を始めたという『高木商店』。店頭でたこ焼きを焼いていたのは「コテコテの関西人です」という店主。
「浜松オートでも営業していて、このたび静岡競輪場にも出させていただくことになりました」
なんだか競輪選手のような屈強ないで立ちに「もしかして元選手ですか?」と聞いてしまったが、「いやいやこの道30年です」と笑顔。カメラを向けると、無駄のない動きでたこ焼きをクルクルと焼いてくれて、いい香りがただよう。
たこ焼きのお味はソースマヨ、辛口ソースマヨ、だし醤油の3種類で、いずれも8個入550円。こちらもお財布に優しい価格設定で嬉しくなる。
年の瀬に行われるKEIRINグランプリ。寒さはもちろん、静岡といえば“遠州のからっ風”と呼ばれる強い北風も有名で、現地では温かい食べ物が恋しくなるはず。
そんな冬にぴったりのグルメが『たい焼き』だ。こだわりの餡を使用した定番のつぶあんに、カスタードクリームとチーズクリームを加えた3種類を用意している。いずれも1枚150円とリーズナブルで、店主も「冬はたい焼きがよく売れますね」と話す。
ここは定番のつぶあんをいただくことに。ホカホカ温かいたい焼きは、たっぷり詰まった餡の甘みがほっとする。皮の部分も香ばしく、パリパリに焼けたバリが美味しい!
競輪場グルメで甘味メニューはやや珍しく、お祭り気分にもなれる“粉もん”が揃った『高木商店』は家族連れにもうれしいお店だ。
このほかにも場内には3店舗の飲食店がある。今回編集部では訪ねることができなかったが、なかには競輪場では珍しい寿司屋もあり、いつもお客さんで賑わっているのだそう!
静岡市中央卸売市場に本店を構える本格的な寿司店だそうで、店頭のメニューには「にぎり寿し」「鉄火丼」「とろ刺身定食」などいかにも美味しそうな文字が躍っている。
格安グルメも贅沢なお寿司も味わえる静岡競輪場。KEIRINグランプリシリーズで本場に足を運ぶ皆さんには、レースのお供に競輪場グルメを楽しんでいただき、美味しく2024年を締めくくってほしい。