2022/03/21 (月) 12:00 10
宇都宮競輪場で3月21日に最終日を迎える「第6回ウィナーズカップ(GI)」の決勝に、脇本雄太(32歳・福井=94期)が3連勝で勝ち上がってきた。さすがワッキー!! なのだが、本人は内容には納得できておらず、「まだまだ…」と話している。
細かな情報は現地からのニュースなどを見てもらうとして、それでも今回感じるのは「ワッキーがいること」の意味である。思いもよらないレアなケガで戦線離脱。ビッグレースは昨年8月の「第64回オールスター競輪」以来の出場だ。
もちろん、前半戦は東京五輪出場のため、走っていない。
その間の競輪の盛り上がり、上位選手たちの成長は確かだったのだが、ワッキーが戻ってきたことで“ラスボス”が誰なのか、もう一度明確になった。決勝にワッキーが乗ったことで、緊張感が増す。
“倒せるのか…。いや、やっぱり…。”ファンの胸は高鳴るばかりだろう。
しかし不安は残っている。
勝ち上がりの3走はまくり。それでも2日目と3日目は上がりタイム『13秒3』ととんでもないものだ。体の深奥部分を疲労骨折。世界に3例しかないようなケガをし、まだ完調ではない。おそらく体への負担はあるだろうし、まだリミッターは外し切れてないのではと思う。
ただし決勝は終生のライバル・深谷知広(32歳・静岡=96期)がいて、ワッキーが最も恐れる「ラインを生かす時の松浦悠士(31歳・広島=98期)」がいる。ドラマのある競輪。今回はワッキーが完全に主役だ。
ビッグ初出場組の若手や関東勢は振るわなかった。まだ上にはいろんなものがある。関東からは神山拓弥(36歳・栃木=91期)が一人、決勝進出を決めた。準決12Rは平原康多(39歳・埼玉=87期)の番手だった。その、平原の走りーー。
平原は準決12Rで強引に仕掛けた。目の前が並走になっていたので、待つよりかは…だったか。いや、何度も見た光景だったと思う。後ろは地元の神山。自分だけが3着以内を確保する走りはしてこなかった。カミタクにもチャンスのある走り、また苦しくてもラインで決まる可能性がある走りを自身に求めた。
大外を深谷が伸びてきたため平原は3着内に入れなかったものの、この走りこそ、平原が伝えたい何かだったのではないか。
最終日の決勝、また9Rのガールズケイリンコレクションがどんな戦いになるか。それは、5月に控えるいわき平のダービーとガールズケイリンコレクションへの、重要な1章になりそうだ。
それにしても、ラスボスが成長していくゲームってクリアできるんかな…。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。