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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆVS世界】チャンピオンズリーグの経験を無駄にはできない! 強豪選手を撃破したことよりも自分の成長が嬉しかった

2021/12/17 (金) 18:00 10

今回のコラムはチャンピオンズリーグ参戦について(photo by UCI)

 netkeirinの読者の皆さん、こんにちは( ´꒳`)

 約2ヶ月間、海外を転戦していましたが、無事帰国しました太田りゆです。チャンピオンズリーグ最終ラウンドで予定されていたイスラエルリーグはオミクロン株の影響でキャンセルになってしまい、予定より一週間早い帰国になりました。今回は海外での武者修行の成果を報告していきたいと思います!

チャンピオンズリーグは何もかもがすごかった

世界のトップ選手が集結する最高峰のリーグ(photo by UCI)

 まず、チャンピオンズリーグに参加しての感想は『とにかく凄かった〜( ˙ ˙ )』ということです! 毎回どこの国でもチケットは完売でギャラリーは満員、身体に振動として伝わるほどの歓声や拍手。走路に映し出されるハイクオリティなプロジェクトマッピングと素晴らしい音響。自転車競技トラック種目のかっこよさが存分に表現されていました! そんな素晴らしい空間で行われるレースに招待されたことを心から光栄に、そして誇りに思いました。

華やかなプロジェクションマッピングと超満員の観客が最高の熱狂空間を創り上げる(photo by UCI)

自身の成長を感じた最高の1着

 私が一番印象に残っているのは、リトアニアで開催された第2ラウンド一回戦のケイリンのレースです。オリンピックチャンピオンと世界チャンピオンがいる中、1位を獲ることができました。

 並びの時点で私の前にフランスのマチルド・グロ選手がいました。彼女はロングスパートが大いに考えられる選手だったので、落ち着いてその時を待つという展開になりました。前には絶対王者のエマ・ヒンツェ選手とオリンピック金メダリストのシェーン・ブラスペニンクス選手がいて、その2人もマチルドに飛びつこうとしたために、直線では3車並走になりました。私は一番外側にいました。

 絶対に番手を譲る訳には行かず、ハンドルをぶん回す勢いで操作して一番外側、高い位置ということを活かし、位置をキープ、そのままマチルドが出切って緩めた瞬間を逃さずに自分で仕掛けて、1周逃げての1位となりました。このレースは2位までの勝ち上がり。今までの私だったらそこで2位をキープする走りを考えたはずなのに、咄嗟に自力を出して勝負できた自分の成長がすごくすごく嬉しかったです。このメンバーを相手に勝てた事も本当に自信になりました!

 決勝も本当にすごい豪華メンバーでした。あの中で戦うことが当たり前になり、冷静に勝負できるメンタルを付けていくことを目標にやって行きたいと思いました٩(๑•̀ω•́๑)و

チャンピオン相手にも臆することなく仕掛け、1着を強引にもぎ取りにいったレース。ゴール後は渾身のガッツポーズを披露した(photo by UCI)

まだまだ力が足りないことも痛感した

 スプリントの対戦では悔しさというか驚きというか、レベルの高さを痛感しました。これでもかと高い位置から勢いをつけて仕掛けても、決して私の動きが悪いというわけではないのに合わされてしまうのか…という場面にも多々遭遇しました。普段は1対1ですが、今回は特別ルールで3人でのスプリントになり、それも難しく思いましたが、まだまだ力が足りないのだということを身に染みて感じることになりました。

慣れない3人制スプリントに戸惑うも「それ以前に脚負けするような場面もあった」と話す太田りゆ選手(photo by UCI)

 正直、第1ラウンド一戦目はレース会場のあまりの煌びやかな雰囲気に飲まれてしまい、全く臨戦態勢に入れませんでした。でも、二戦目からはアップ中の音楽をいつも通りAirPodsを耳にはめて聴き、レース中に摂取するドリンク、ゼリーなどもいつも通りの物をしっかり用意して臨みました。こういうレース前の準備やスイッチの入れ方、環境へ順応することの大切さなどを改めて感じる経験にもなりました。

大舞台の雰囲気に順応するのも大舞台を目指す選手の必須科目なのかもしれない(photo by UCI)

苦しみも楽しみも濃密だった海外生活

 生活面の話も少し書きます。私たちが生活の拠点としていたのはスペインのマヨルカ島。普段は雨も降らず温暖な地域らしいのですが、私たちが島に入った一週間はほぼ毎日雨! しかも結構な雨(・∀・)! その雨の一週間は室内ドームが使えず、練習は極寒の雨の中、路上でということもしばしば。室内ドームが不便なく使えて、練習環境に困らない日本の環境のありがたさをとにかく痛感しました。

 その後はしっかり室内ドームでトレーニングもでき、ウエイトトレーニングもできました。雨が降ってないマヨルカ島は海が綺麗だし、治安もいいし、人々もみんなマイペースで過ごしやすくて良い場所でした!

早朝ライドでパルマ大聖堂へ(写真:本人提供)

 食事はキッチンがある宿に泊まれている時は自炊できましたが、キッチンがない場合は毎食外食になってしまい、この点は結構苦労しました。日本食レストランに行ったり、地元のお料理を食べたりしました。外食に行く場合は競輪選手4人(佐藤水菜、山崎賢人、窪木一茂)で行くことが多かったです。

 4人でご飯を食べた時は毎回ミニゲームをしたんですよね。負けた人が全員分を支払いますみたいなやつ(´・∀・`)! これはかなり盛り上がっていました笑笑。でもなんだかんだで、今回の武者修行中はやっぱりケンティ(山崎賢人)がたくさん出してくれたと思います。やっぱりS級は違うわ〜($✧ω✧$)感謝〜!

ナショナルチームの仲間で助け合い苦難の海外生活も楽しみながら乗り越えられた(photo by UCI)

素晴らしい経験を絶対に無駄にできない

 私のこの2ヶ月の武者修行やレースで獲られた糧はとても濃密なものでした。大会側のオーガナイザーとも英語でやり取りをしなくてはいけなかったし、日々のコミュニケーションで必要な対応力もかなり身についたと思います。

 本当に必死すぎて、この2ヶ月は「ほぼ記憶喪失だよ!」ってくらいあっという間にすぎました。そのくらい充実していたのだと思います。大変だったし行くかどうか悩んだりもしたけれど、本当に行ってきて良かったです。素晴らしい経験をしてきたと思うからこそ、今回の経験を絶対に無駄にしないように、またパリに向けて全力で頑張って行きます!

唯一無二の経験を無駄にはできない、パリへ道は続いていく(写真:本人提供)

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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でレースデビューし、初勝利を飾る。同開催では3連勝を果たし、デビュー場所で完全優勝という快挙を成し遂げる。また日本代表・自転車競技選手としても活躍しており、2019年にはワールドカップに出場し、ケイリン種目で銀メダルを獲得。2020年11月には全日本選手権女子スプリントで優勝。国内外のハイレベルな戦いに華麗なダッシュで挑み続けている。2021年・東京五輪ではリザーブ選手として日本代表に選出、2024年・パリ五輪では正代表選手として日本代表に選出されている。趣味はメイクとファッション、パワーの源はコカ・コーラ。

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