2025/12/14 (日) 07:30 13
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
伊東温泉競輪開設75周年記念椿賞争奪戦G3決勝メンバーが出そろいました。今節は来年のS級S班が決まり、上位選手にとっては“リ・スタート”となる開催です。「来年、自分はどう走りたいのか」がレース内容に現れやすい貴重な時期のG3です。
初日特選から気合いを感じたのは深谷知広(静岡)、清水裕友(山口)、松浦悠士(広島)の3人です。深谷は地元なので当然としても、前半戦で痛めた膝の影響、競輪祭での落車もあり、末脚にはやや甘さを感じました。清水は競輪祭後に“攻め切れないのが良くなかった”と語っていたが、佐世保G3や今節は積極的に動いて位置を取る姿勢が目立ちます。準決勝は中野慎詞(岩手)を早めに叩いての1着。この走りは手応えを感じたはずです。ただ、私は違う見解を持っていますが…。そして松浦は、次に控える地元広島G3という大一番に向け、明らかに調子が上がって来ましたね。一方中野は、迫力という点で物足りなさが残ります。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①深谷知広(静岡・96期)ー⑧簗田一輝(静岡・107期)
②清水裕友(山口・105期)ー⑦松浦悠士(広島・98期)
③三谷竜生(奈良・101期)ー④村田雅一(兵庫・90期)ー⑥椎木尾拓哉(和歌山・93期)
⑨中野慎詞(岩手・121期)ー⑤成田和也(福島・88期)
まず①深谷と⑨中野、どちらが先行意欲が高いでしょうか。①深谷は初日、2日目と先行。準決勝はまくりですが、実質休む場面はありませんでした。対する⑨中野は、初日に深谷に主導権を取られ、2日目は先行したものの、格下相手に位置取りをしての主導権確保でした。格下相手なら突っ張り先行で魅せるレースでもよかったのかな…という印象でした。準決勝は前受けから突っ張りを狙ったが、最終ホームで清水に叩かれ万事休す。スピードが十分上がっていなかったことに加え、中野自身にも一瞬の迷いを感じました。そこを②清水が見逃さなかった。さらに⑤成田も余裕を持って清水をブロックしており、清水のダッシュが特別良かったわけではなかったと思います。総合的な気配は①深谷が上と見ました。
次に位置取りが鍵を握る②清水と③三谷を比較します。清水は初日、深谷ラインの後ろを確保します。2日目は不意を突かれて6番手外並走となりましたが、展開に助けられた面は否めないですね。ただ、準決勝の走りは見事でした。“攻める清水”を強く印象付けました。対する③三谷は初日予選、2次予選ともに前受けから一旦引いてのまくりが決まっています。2次予選の⑦松浦の外をねじ伏せた迫力は満点でした。準決勝も前受けから変化を付けた仕掛けで②松浦のまくりを差し3連勝、調子の良さは明らかです。
①深谷と⑨中野は先行できなければ8番手に置かれる可能性が高く、前受けは避けたい。特に①深谷は1番車を最大限に生かしたいところです。スタートは連日前受けが決まっている③三谷を想定します。
←⑨⑤
S.③⑥④ ①⑧ ②⑦
←①⑧
H.⑨⑤ ②⑦ ③⑥④
←③⑥④
←②⑦
B.①⑧
⑨⑤
・1=8-2735
・8-37-3712
地元で必勝を期する①深谷ですが、調子を取り戻してきた選手が多く、一筋縄ではいかない実力拮抗の決勝となりそうです。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。
