2025/12/14 (日) 12:00 8
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は伊東温泉競輪場で開催されている「椿賞争奪戦」の決勝レース展望です。
【椿賞争奪戦】が行われている伊東温泉競輪場は、2028年度のリニューアルオープンに向けて、改修工事が続けられています。
現在はエリアを縮小しての開催となっていますが、初日から様々なイベントが行われており、ステージの前にもより多くのお客さんに来ていただいている印象がありました。
自分も開催初日は特設ステージで、予想会をさせていただきました。この日は好天に恵まれていたこともあってか、ステージ上にいると汗が噴き出てくるほどでした。
ただ、準決勝が行われた3日目は、それほど気温も上がらず、風を切っていく先行選手にとっては、重たい空気に苦労したはずです。
それでも決勝に勝ち上がってきた9名の顔触れには、SS班の清水選手、松浦選手。そして、地元の深谷選手といった実力者が揃いました。この辺は気候条件に関わらず力を発揮できているだけでなく、333バンクへの対応力も示していると言えるでしょう。
清水選手、松浦選手といった特選組とは別に、一次予選から連勝を重ねて、決勝に進んできたのが三谷選手です。決まり手は捲り、差しと臨機応変な走りができているだけでなく、タテ脚もしっかりと使えているあたりを見ても、状態がいいのでしょう。
簗田選手は番組に恵まれた感はありますが、それでも一次予選から着をまとめてきました。二次予選、準決勝では深谷選手の番手で、しっかりとレースができています。
その南関東の2人ですが、決勝もまた、①深谷選手-⑧簗田選手の並びとなりました。中国ラインは②清水選手-⑦松浦選手。近畿ラインは③三谷選手-④村田選手-⑥椎木尾選手。北日本ラインは⑨中野選手-⑤成田選手となります。
今大会では特選、二次予選と先行を見せてきた深谷選手ですが、1番車に入ったとは言えども、先行意欲が強い中野選手を相手に、突っ張ってくることはしないはずです。
並び的に8番手となっている中野選手は深谷選手を抑えに行って、そのまま先行態勢に入るかもしれませんが、三谷選手が中野選手を切って、隊列が短くなったのならば、清水選手の先行もあり得ると見ています。
この展開となれば、清水選手の番手から抜け出してくる松浦選手が有利となりますが、捲りに切り替えた深谷選手の優勝も考えられます。
今年は怪我に泣かされた松浦選手ですが、優勝を決めた【九十九島賞争奪戦】と同じように、今大会もレースを使いながら調子を上げてきた感があります。
ここで記念競輪の連続優勝を果たすようならば、来年の【全日本選抜競輪】に向けて、弾みも付けられそうですが、そのチャンスが巡ってきたとも言えそうです。
深谷選手も今大会の内容は悪くなく、その上、地元では今年最後の記念競輪だけに、勝ちたい思いは強いはずです。ただ、捲りに回った場合だと、仕掛けが遅くなりそうなので、その時は番手の簗田選手だけでなく、2着、3着の相手は広めに買っておいた方がいいでしょう。
印としては◎①深谷選手、〇⑧簗田選手、△⑦松浦選手、×③三谷選手に打ちます。
今大会好調の三谷選手は決勝では唯一の3車の並びとなりますが、捲りとなりそうなだけに、機動力があって、先に抜け出した選手を捕らえるのは難しいかもしれません。それでも3連単の2着、3着には入れておくべきでしょう。
【椿賞争奪戦】の最終日も、伊東温泉競輪場では、様々なイベントが行われます。その目玉企画と言えるのが、軽自動車のプレゼントです。このイベントは最終日の来場者だけでなく、公式ホームページや特設サイトからの応募も可能です。
最終日はCSやYouTubeでレースをご覧になられる方も、プレゼントに応募していただいて、表彰式で行われる抽選会まで大会を楽しんでください。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。
