アプリ限定 2025/12/07 (日) 18:00 13
今年も残すところあとわずかーー。グランプリ出場予定選手も決まり、競輪界は一気に年末の雰囲気へ。2025年の激闘を振り返るべく、今回は“現場”を知る競輪記者の「記憶に残る一戦」をお届けする(企画・構成 netkeirin編集部)。
競輪用語のひとつでもある“2段駆け”。前の選手が全開で逃げて後ろを回る選手がスパートする戦法。賛否両論あるが、自分はこの2段駆けに心を打たれて競輪にのめり込んだ。
基本的には格下の選手が格上を引っ張ることが多いが、時々逆のパターンもある。今年の小田原記念の決勝ではS級S班の郡司浩平が同県の後輩である松井宏佑の為に一肌脱いだのだ。
郡司と言えば誰もが認める南関東の絶対エース。緩めばすかさず仕掛ける姿勢、お手本のような捲り、同地区の選手からもファンからも絶大な信頼を集めている。
準決勝が終わり地元勢は4選手が勝ち上がりを決めた。郡司浩平、松井宏佑、和田真久留、菅原大也。全員が自力を兼ね備えているということもあって並びが決まるのに少し時間がかかった。最終的な結論は郡司-松井-和田-菅原の順で落ち着いた。
この経緯について郡司は「いつまでも宏佑におんぶにだっこではいられない」と前でやることを決意。地元記念の決勝で先頭を自ら買って出たことになる。
実際のレースは前受け全ツッパの2周半先行。中野慎詞、杉浦侑吾に一瞬の隙を与えず全開でもがき切った。その気持ちに応えた松井が番手捲り。和田、菅原まで綺麗に続いて地元3人で確定板を独占したのだ。
レース後のコメントも清々しかったのが印象的で「行くだけになってしまったので、今後はそうならないようにしたい。でも、前から大事な場面で宏佑の前を回りたいというのはあった。南関の結束力を今後も示していけたら」と自らの思いをレースで体現した。
S班という立場でありながら引き出し役になってしまったのは様々な声もあったが、一人の人間として見たときに後輩の為に、ラインの為にあのレースができる郡司浩平は男だと思った。熱いハートの持ち主であり、うるさいことは決して言わない。走りで魅せることができる選手。この小田原記念の決勝戦は間違いなく今年のベストバウトだと思った。
| 着順 | 車番 | 競輪選手名 |
|---|---|---|
| 1着 | ⑨ | 松井宏佑 |
| 2着 | ⑤ | 和田真久留 |
| 3着 | ⑥ | 菅原大也 |
| 4着 | ② | 山田久徳 |
| 5着 | ⑦ | 中野慎詞 |
| 6着 | ⑧ | 橋本強 |
| 7着 | ③ | 鈴木玄人 |
| 8着 | ④ | 杉浦侑吾 |
| 9着 | ① | 郡司浩平 |
netkeirin取材スタッフ
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